演奏者別CDリスト

1枚(1組)のCDに、2人以上の作曲家による作品を収録したCDのリストです。演奏者別に纏めました。
1人の作曲家による作品を収録したCDに関しては「作曲家別CDリスト」をご参照下さい。


● DuO T&M(豊岡 智子・正幸)

CDタイトル DUO T&M ,Bizet:Suite from "Carmen"
演奏者 DuO T&M(豊岡 智子・正幸)
収録曲  
J.Sibelius Karelia Suite Op.11 for a piano, 4 hands(arr. DuO T&M)
A.P.Boridin Polovetzer Tanze from Prince Igor , for a piano, 4 hands (arr. DuO T&M)
J.Bizet Suite No.1 from Carmen , for a piano , 4 hands (arr. DuO T&M)
M.de Falla Danza ritual del fuego from El amor brujo , for a piano, 4 hands (arr. DuO T&M)
J.Strauss I Radetzky-Marsch, for a piano, 4 hands (arr. DuO T&M)
CD番号 Live Notes WWCC-7255
録音データ 秋川キララホール(東京):20〜21/Oct/94
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★




● Katia & Marielle Labeque

演奏者 Katia & Marielle Labeque
収録曲
G.Gershwin An American in Paris, for 2 pianos
P.A.Grainger Fantasy on G.Gershwin's "Porgy and Bess", for 2 pianos
CD番号 EMI CDC 7 47044 2
録音データ 1982 ??
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 聴く人を幸せな心にするCD。死ぬ前に、一度は聴いて損はありません。
こうした演奏/録音に対する批判があることは承知しています。
それでもなお、人に勧めたくなる1枚です。音像がくっきりしている上に、幅広い残響。

さて、演奏。

"Porgy and Bess"は、楽譜を相当にいじくりながら、楽曲本来の持つ力感と美点を驚くほど鮮烈に残しています。
ある批評/解説ですと「楽譜にかなり手を入れた」としてありますが、「かなり」ではなく「ほとんど」というのが実際です。
第一/第二奏者の入れ替えは頻繁。むしろ本来第二奏者が弾くべきパートを、小節数にして6割を第一が弾いています
(注:最初の弾き出しを第一/第二とした場合)。
出だしの7小節目までこそ、向かって左が第一、右が第二になっていますが、後は適宜左右(第一/第二)を交代しています。
そして、装飾音の付けまくり。さらに、改変の連続。
楽譜を参照しながら聴いて「あれ、落としたかしら??」などと、思わないこと。
特に有名な「Strawberry Call」「Summe Time」など、原譜と別物です。
それでもなお、Graingerの編曲/ピヤノ書法が完全に生かされています。それもとても良い意味で。
いわゆる「原典主義者」の方々には受け入れられない演奏ですが、曲の持つ魅力を極端にまで引き出した、
それは素敵な演奏です。「楽譜の再現」と「解釈の自由」の極限を見せつけられる演奏と言えましょう。

もう一方の「An american in Paris」は、楽譜を参照していないので、改変等については、ノーコメント。
ただし、表現の幅が非常に広い、ダイナミズムに溢れた胸のすくような演奏であることは間違いありません。
本当に楽しんで聴くことができます。

CDタイトル Tchaikovsky Fantasy
演奏者 Katia & Marielle Labeque
収録曲
A.Scriabin Fantasy in a minor op-pass, for 2 pianos
P.I.Tchaikovsky Capriccio Italien op.45, for 4 hands, arr composer
  Swan Lake op.20a, for 4 hands, arr. C.Debussy
  The Sleeping Beauty op.66.a, for 4 hands, arr. S.Rachmaninoff
  Slavonic March op.31, for 4 hands, arr. A.Batalin
CD番号 Philips 442 778-2
録音データ May/1995
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 タイトルは「Tchaikovsky Fantasy」ですが、何故か1曲Scriabinが混ざっています。しかも、このScriabinが絶品!
もともと録音の少ないこの曲に、いきなりこんな演奏は狂喜モノ。曲の持つ浪漫性を全面に打ち出し、
かつ冴え切った技巧で弾きまくります。実演/録音取り混ぜて、この曲を何度も聴いていますが、
これほど満足できる演奏は初めてです。

もちろんこのCDのテーマとなっているTchaikovskyも素晴らしい!
「Slavonic March」の譜面は未確認ですが(まるでUFOみたいだな。未確認楽譜物体だからUFNか?)、
他はすべて連弾用作品として書かれております。しかしながら、例によって2台のピヤノで演奏、
しかもプリモとセコンダ(2台だと第一/第二になりますね)を、頻繁に入れ替えて弾いています。
加えて、この両名(あるいはプロデューサ)のやること。原譜にない装飾音や倍音をあちこちに加え
それは華麗な仕上がりです。楽しいったら、ありゃしない!
編曲者がDebussyだって? Rachmaninoffだって? そんなのどうでもいいじゃん。
楽しくやればいいのよ! あなた、文句、ある?!
」と言わんばかりの強烈な演奏。

連弾が好きな方、編曲物が好きな方。一聴の価値あり。




● Chick Corea & Friedrich Gulda

CDタイトル The Meeting
演奏者 Chick Corea, Friedrich Gulda
収録曲
F.Churchilli/L.morey Someday my prince will come
M.Davic Put your little foot out
E.Pauer Poem No.3
J.Brahms Wiegenlied
CD番号 Philips 410 397-2
録音データ 27/June/82 Munich (live)
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 聴く人を、幸福にする演奏。特に「いつか王子様が」が絶品。モダン・ジャス風の、ちょっととっつきにくい
開始です。2人で、何か「モソモソ」やっていて、ちょっと退屈。しかし、あの有名なテーマが出るあたりから
それは素敵な2重奏が始まります。この素敵な瞬間を迎えるために、延々7分以上も、2人で「モソモソ」
していたのです。何故「モソモソ」していたのか。それは「モソモソ」に続くインプロヴィゼーションが、すべてを
語ります。

相手の弾く「テーマ」を聴きながら、それぞれ絶妙のオブリガートをつける。そして1コーラス
終わったら、ソロを「もぎ取って」、トランスクリプションをかける。さっきまで自分が弾いていたオブリガートへ
綺麗に続くように。そして、そのトランスクリプションに、もう一方は自分のオブリガートを付けて。それが
終わると、またまた「ソロをもぎ取って」・・・。この「せめぎ合い」が、実にゴージャスに響きます。
他の曲も素敵ですが、この「いつか王子様が」を聴くためだけに、このCDを購入しても良いのではないか、
という、素晴らしい演奏です。

これを聴くといつも考えるのです。「こんな風に、自由に、そして素敵に弾けたらいいな」、と。
自由奔放。それでいて、相手の音楽を正面から受けて、一度自分の手の内に入れてから、強烈な自己主張を始める。
それを相手も全身で受けて流れに乗って、そしてさらなる自己主張を展開する。その繰り返しによって
次々と壮麗で鮮烈な瞬間が生まれる・・・。まさにピヤノ・デュオの権化です。

ちなみに、このデュオを「生」で聴いたことはありません。ただし、コリアのソロ、そしてグルダの弾くコンチェルト
は、生で聴いてみましたが、それぞれ絶品でした。



● Christian Ivaldi& Noel Lee

CDタイトル Floraison du piano a quatre mains en France
演奏者 Christian Ivaldi , Noel Lee
収録曲  
E.Chabrier Cortege Burlesque
  Souvenirs de Munich
G.Bizet Jeux d'Enfants Op.22
J.Massnet Premiere Suite Op.11
  L'Annee Passee
C.Gounod 4 Sonate
G.Faure Dolly Op.56
G.Faure + A.Mesager Souvenirs de Byreuth
C.Debussy Six Epigraphes Antiques
M.Ravel Ma Mere l'Oye
A.Caplet Un tas de petites choses
E.Satie Trois Morceaux en forme de poire
CD番号 Arion ARN 268170
録音データ 1980(?)
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★



● Dana Muller& Gary Steigerwalt


演奏者 Dana Muller , Gary Steigerwalt
収録曲  
G.Auric Cinq Bagatelles, for a piano , 4 hands (original)
P.Hindemith Sonata fot a piano 4 hands (original)
A.Schonberg Sechs Stucke fur Klavier zu vier Handen (original)
F.Busoni Finnlandische Volksweisen Op.27 , for a piano ,4 hands
A.Casella Pupazzetti Op.27 for a piano 4 hands
  Pagine di Guerra Op.25
  Fox Trot
M.Ravel La Valse for a piano 4 hands (arr. L.Garban)
CD番号 Centaur CRC 2127
録音データ Mount Holyoke College,South Hadley,MA,USA:Sep/91
演奏評/資料評価 ☆☆/★★★



● M.Argerich & N.Freire

演奏者 Martha Argerich & Nelson Freire
収録曲  
S.Rachmaninoff Suite No.2 for 2 pianos Op.17
M.Ravel La Valse for 2 pianos arr. By composer
W.Lutoslawski Variations on a Theme by Paganini for 2 pianos
CD番号 Philips 411 034-2
録音データ La Chaux de Fonds, 08/1982
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★
備考 聴いた途端、脳天に一撃食らった演奏です。正直言って目眩がしましたね。スピード感、ダイナミズム、そして正確なアンサンブル。この演奏を聴いた後は、他のどの演奏も色あせてしまう…と最初に聴いた時は感じました。録音も抜群に良く、演奏の細部まで鮮明に聞き取ることができます。パワー全開の名演です。ただし、この後、ArgerichはRabinovitchとRachmaninoffおよびRavelを再録音しています。好き嫌いはあるでしょうが、筆者はどちらかというと再録音の方が、より優れた演奏と受け止めています。もっとも、この演奏が現存する録音で、1、2を争う名演であることは疑いようもありません。加えて、LutoslawskiのVariations on a Theme by Paganiniに限れば、いまのところ、これを越える演奏はありません。聴いて損なし。



● M.Argerich & N.Economou

演奏者 Martha Argerich & Nicolas Economou
収録曲  
S.Rachmaninoff Symphonic Dance po.45 for 2 pianos arr. By composer
P.I.Tschaikovsky The Nutcraker Suite op.71a for 2 pianos arr. By N.Economou
CD番号 DG 410 616-2
録音データ 03/1983
演奏評/資料評価 ☆☆/★
備考 Tschaikovskyは、愉悦感溢れる、素敵な演奏。聴いていて、幸せになります。音色、特に「粒立ち」が素晴らしい! しかもダイナミズムを失わない。編曲も実に効果的です。4手用「The Nutcraker Suite」として、編曲/演奏ともに最良の出来。これはお勧め。
一方のRachmaninoff。これは、ダメ。「きれいに弾けたよ」というだけの、実につまらない演奏。何の特色もなく、曲の魅力を全然出し切っていない。Argerichが残した録音の中で、最悪の部類です。Rabinovitchと組んだArgerich新録音は、この曲最良の演奏であるのに。聴くなら新録音がお勧め。



● M.Argerich & A.Rabinovitch

演奏者 Martha Argerich & Alexander Rabinovitch
収録曲  
P.Dukas L'apprenti sorcier for 2 pianos arr. By A.Rabinovitch
M.Ravel La Valse for 2 pianos arr. By composer
R.Strauss Sinfonia domestica op.53 for 2 pianos arr. By O.Singer
CD番号 Teldec 4509-96435-2
録音データ 03/1995
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 DukasとRavelは実に聞き応えのある演奏。Ravelは「ピヤノ・デュオの定番名曲」ですが、Dukasがこれ程ピヤノ向きにできるとは! 驚き! Ravel同様、単なる「管弦楽の置き換え」ではなく、「完全なピヤノ・デュオ」となって、聴く者の前に立ちふさがります。曲の構造が非常に良く把握できるだけでなく、ピヤノ曲としての魅力充分。ここまで来ると、管弦楽とは別作品ですね。この演奏者の組み合わせでライヴでも聴きましたが、絶品です。ただし、この組み合わせと言えども、合わせるのに結構神経を使っていました。ライヴで「見る」と良くわかるのですが、個々のパートが非常に難しい上、ものすごく合わせ難い曲です。ちなみに楽譜は出版されていません。
Ravel。Argerichの旧録音と比較すると、曲全体から細部に渡るまで、テンポの揺れが非常に激しい演奏。より表現の幅が広がりました。好き好きはあるでしょうが、こちらの演奏の方が、お勧め。細部への彫り込みが深くなった上で、熱気と推進力が、いっそう増しています。この曲の他奏者録音と比較しても、断然トップの演奏。この録音がある限り、他の演奏は不要。
R.Strauss。確かに良い編曲、良い演奏なのですが…。ピヤノでやるには、長すぎます。どうしてこのデュオ、この曲を選んだのかしら? 疑問が残ります。



● The Malinova Sisters (Margarita & Olga Malinova)

CDタイトル The memories of the Bolshoi
演奏者 The Malinova Sisters (Margarita & Olga Malinova)
収録曲  
P.I.Tchaikovsky The Nutcracker Suite Op.71a, for a piano 4 hands
S.S.Prokofieff Romeo & Juliet, for a piano 4 hands
A.Khachaturian Spartacus, for a piano 4 hands
CD番号 Koch International 3-7172-2H1
録音データ American Academy & Institute of Arts & Letters NY USA:Jun/91
演奏評/資料評価 ☆/★★★



演奏者 The Malinova Sisters (Margarita & Olga Malinova)
収録曲  
S.Barber Souvenirs op.28 for 2 pianos
V.Persichetti Serenade No.8 op62, for a piano 4 hands
  Sonata for 2 pianos op13
  Concerto for piano, 4 hands op.56
CD番号 Koch International 3-7213-2H1
録音データ Master Sound Astorina NY USA:Jan/93
演奏評/資料評価 ☆/★★★
備考 このデュオ、確かに意欲的な録音はしています。
しかし「さあ、録音しましたよ」というだけで、何の特徴もないのです。
曲を把握する上では十分な演奏ではあります。
無味乾燥ではないにしても、聴いて楽しくない、こころに余裕のない、つまらない演奏です。



● Duo Crommelync (桑田妙子 & Patrick Crommelync)


演奏者 Duo Crommelync (桑田妙子、Patrick Crommelync)
収録曲  
A.Dvorak Symphony No.9 "From the New World" for a piano, 4 hands (arr. Composer)
B.Smetana The Moldau, for a piano, 4 hands (arr. Composer)
CD番号 Claves CD 50-9316
録音データ Salle du Conservatoire Lieges : 21〜23/Dec/92
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★
備考 何かに取り憑かれてでもいるような、緊迫感に溢れる名演。
このデュオは素敵な演奏をたくさん残しましたが、このCDは中でも最上の演奏です。
極度の求心力の中に、限りない絶望感を覚えます


CDタイトル French Masteroieces for Piano four Hands
演奏者 Duo Crommelync (桑田妙子、Patrick Crommelync)
収録曲  
M.Ravel Ma Mere l'Oye
G.Bizet Jeux d'Enfants
G.Faure Dolly
A.Messager Trois Valses
G.Auric Cinq Bagatelles
F.Poulenc Sonate
D.Milhaud Enfants
CD番号 Claves CD 50-9214
録音データ Villa Gallot, Lausanne : 29-31/Mar/92
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 すべてフランス人によるオリジナル連弾曲。落ち着いた中にも緊張感のある演奏。
特にビゼーとフォーレは特に絶品。よく聴くと響きはかなり硬質ですが、限りない暖かさがあります。
聴いていて幸せになる録音です。聴いて損なし



● Stefano Malferrari & Carlo Mazzoli

演奏者 Stefano Malferrari , Carlo Mazzoli
収録曲  
N.Rimsky-Korsakov Sheherazade after "Thousand and One Night" for a piano 4 hands (arr. Composer)
M.Ravel Sheherazade , Ouverture de Feerie, for a piano 4 hands (arr. Composer)
CD番号 Nouva ERA 7205
録音データ 27-28/Sep/94
演奏評/資料評価 ☆☆/★★★
備考 指がくるくる回って、聴いていてとても楽しい



● Natalla Zusman & Inna Heifetz 

CDタイトル The Revisionist's Tale
演奏者 Natalla Zusman , Inna Heifetz
収録曲  
A.Schnittke The Revisionist' Tale after Gogol; for 2 pianos 4 hands (arr. Composer)
D.Shostakovich Waltz from Jazz Suite No.1, for 2 pianos 4 hands (arr. Composer)
  Concetrino op.94, for 2 pianos 4 (Original ???)
R.Gliere 6 Pices op.41, for 2 pianos
A. Borodin Tarantella, for 2 pianos 4 hands
original version is the piece for a piano 4 hands (arr. Composer)
CD番号 Sonora Productions S022566CD
録音データ 1995 (?)
演奏評/資料評価 ☆/★★★★
備考 Shostakovich作品の録音は他にもありますが、その他はなかなか聴くことができない作品ばかりです。
Schnittke作品は有名曲(Beethoven 交響曲第5番など)の断片が聞こえる楽しい曲
Gliere作品は、Arenskyの組曲と似た感覚の小品集。聴き応え:弾き応えがあります
ただしBorodinのタランテラは「連弾版とどこが違うの?」。
2台ピヤノにした効果が、ほとんど現れていません。資源の無駄遣いです
演奏は、ごくごく平凡な出来。「どんな曲か」が掴める程度



● Adriano Bassi & Maurizio Carnelli 


演奏者 Adriano Bassi , Maurizio Carnelli
収録曲  
F.Liszt Les Preludes; for a piano 4 hands (arr. Composer)
E.Grieg Peer Gynt, for a piano 4 hands (arr. Composer)
C.Debussy La Mer ,for a piano 4 hands (arr. composer)
CD番号 Europa 350-219
録音データ 1990 (?)
演奏評/資料評価 ☆☆/★★★★
備考 LisztとDebussyは連弾だとかなり弾きにくいにも関わらず、1台のピヤノで弾いています。
実に正直で真面目なこころです。ご苦労なことです
Griegは通常連弾で演奏される「第1,第2組曲」では」なく、劇音楽からの抜粋です。実に珍しい。資料的価値は十分です
演奏は、歯切れが良く楽しい。特にLisztは聴いて損なし
ただし、Debussyは「あの」Duo Crommelyncが弾いた緊迫した名演があるので、それを聴いた後ではちょっと……負けますね。
ちなみに解説の表紙は、ローランサン風の素敵なデザインです(東郷青児的パクリという説あり)。
うら若き女性の後ろ姿。後ろ姿なのに「若い」としたのは独断です(だって、そう見えるんだもん)。
実際に弾いているのは、陽気なイタリー人の兄さんたちです



● Zoltan Kocsis & Adrienne Hauser 


演奏者 Zoltan Kocsis , Adrienne Hauser
収録曲  
B.Bartok Le Mandarin merveilleux op.19, Sz.73; for a piano 4 hands (arr. Composer)
A.Schoenberg Erste Kammersinfonie op.9, for a piano 4 hands (arr.Composer)
CD番号 Harmonia Mundi France QUI 903021
録音データ Aug/88,Oct/89
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★
備考 よりによって弾きにくいこの2曲を、実に鮮やかに弾き切っています。聴いていて飽きません。
Bartokは通常の管弦楽だと聞こえにくい微細な部分まで明瞭に聞こえます。
ピヤノ愛好家だけでなく、すべてのBartokファンにお勧め。
一方のSchoenbergもなかなかの名演。切れ味良く、迫力満点の演奏です。
声部は交錯、手は接近と交差の連続であるこの難曲が、実に楽しそうに聞こえてきます。
しかも、ちゃんと1台で弾いています。買って損なし、聴いて損なし



● Yaara Tal & Andreas Groethuysen 



演奏者 Yaara Tal , Andreas Groethuysen
収録曲  
A.Dovorak From the Bohemian Forest op.68; for a piano 4 hands
A.Rubinstein Six Characteristic Pictures op.50, for a piano 4 hands
S.Rachmaninoff Six Pieces op.11, for a piano 4 hands
CD番号 Sony SK47199
録音データ 22-24/Nov/90
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★
備考 聴く人を幸せなこころにする演奏です。しかも「ウソがない」録音。この演奏自体、相当にハイレヴェルで、
連弾の資料としても演奏を楽しむ上でも十分なのですが、ここに収録されている曲のうち
Rachmaninoffは実演でも聴いたところ、録音を遙かに上回る良い出来でした。
このRachmaninoff、現在市場に出ている録音の中ではダントツの仕上がりです。
またRubinsteinは、この録音以外に見あたらず、楽譜も絶版。
この素敵な曲が、こうした充実した演奏で聴くことができるのは、とても幸せです

CDタイトル Wagner: PianoTranscriptions for 4 hands
演奏者 Yaara Tal , Andreas Groethuysen
収録曲  
R.Wagner Die Meistersinger von Nurunberg, Prelude, arr. Carl Tausig
Eine Faust Ouverture, arr. Hans von Bulow
Parsival, Prelude, arr. Engelbert Humperdinck
Der Ritt der Walkuuren, Die Walkure, Act-3, arr. Carl Tausig
Tannhauser Overture, arr. composer
F.Halevy Le Guitarrero, Overture, arr. Richard Wagner
H.Herz Grande fantasie sur la Romanesca, arr. Richard Wagner
CD番号 Sony SRCR 2166
録音データ May/97
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★
備考 連弾や編曲物愛好者には堪えられない1枚。実に聴き応えのあるディスクです。
7曲の4手連弾、いずれも世界初録音。
しかも編曲者の面々が、Tausig、Bulow、Humperdinck、そしてWagner
前者3名の編曲が華やかで充実しているのは、ある意味で当然。もちろん3名とも、ソロ編曲と同様に、
超絶技巧医師・夏井さんの表現するところの「体育会的超絶技巧」を駆使していることは言うまでもありません。

ここで驚かされるのが、Wagnerの編曲技法。実に自然なピアニズムが展開されるからです。
「ほぉ、Wagnerも、これだけの“ピヤノ曲”を書いていたのか」という、新鮮な驚き。
ただし、他の3名、特にTausigと比べると、「ピヤノを鳴らし過ぎ」の感があるところも否定できません。
「目の前で聴いたら、とても五月蠅いかもよ」(Tannhauser Overtureを試聴しての、妻・ゆみこの感想)。

こうした編曲作品群を商業ベースのCDとして録音した、Yaara Tal & Andreas Groethuysenに、盛大な拍手。
しかも、シャープで生きの良い、それは新鮮な演奏。実演も含め、このデュオの演奏で失望したケースは、
今のところ皆無です。買って損なし、聴いて損なし!



● Guher & Suher Pekinel 


演奏者 Guher & Suher Pekinel
収録曲  
S.Rachmaninoff Suite No.1 "Fantaisie Tableaux" for 2 pianos op.5
  Suite No.2 for 2 pianos op.17
I.Stravinsky Le Sacre du printemps for a piano 4 hands
CD番号 DG 473 650-2
録音データ Jul & Nov/80(Rachmaninoff), Oct/83(Stravinsky)
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★
備考 非常に線の細い鋭角的な演奏。しかもペダル操作は最小限に抑えられています。
だからといってダイナミズムに欠けるわけではありません。「上から叩きつぶす」「ぶん殴る」というよりは
「突き刺す」という表現が妥当です。

特にStravinskyの演奏に、その傾向が強く現れております。鋭い刃物で斬りつけるようなLe Sacre du printemps。
管弦楽とはひと味違った魅力があります。
ちなみにこのLe Sacre du printemps、2台のピヤノに振り分けて弾いています。
まあ、当然でしょうね。録音として残すなら、何も不自由な--しかもこの曲に関して言えば、
1台でやったところで何の良いこともない--ことをする必要はないのですから。

もう一方のRachmaninoff2題。両曲とも、前進気勢の強い演奏。シャープで非常に切れ味が良い。
こうしたRachmaninoffを嫌う人、多いでしょうね。

事実、このStravinskyとRachmaninoffが最初に日本で出たとき(最初は別々のLPで、初出時期は別です)、
両録音ともに批評家のみなさんからは「それこそボロクソ」の評価を頂いておりました。
複数の批評が出ましたが、どれを読んでも「何らの価値もない録音」という意味の文章が書き連ねられておりました。
まあ、批評ですから何を書いても良いのですが、「おい、ちゃんと楽譜見ながら、きっちり全部聴いたのかよ!
と言いたい批評があったことも事実です--と言うより、そうしたいい加減な批評が殆どでした。

そうした酷評を、ここで全部征伐いたします。


Rachmaninoffは既存のイメージを払拭する清冽かつ鋭角的な、そしてStravinskyはピエール・ブーレーズの演奏に通づる
--ブーレーズが振るLe Sacre du printempsを生で聴くことができたのは、わたくしたちにとって最良のライヴ体験でした--
精密かつダイナミズムに溢れた素晴らしい演奏です。買って損なし、聴いて損なし。


演奏者 Guher & Suher Pekinel
収録曲  
M.Infante Dance Andalouses for 2 pianos
M.Ravel Rapsodie Espagnole
E.Granados Quejas o la maja y el ruisenor
CD番号 TELDEC 2292-44931-2
録音データ Nov./89
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★
備考 実にエレガンス。かつダイナミックで理想的な演奏。
スペイン的なものがそれほど好きではないわたくし(デュオの下手な方)にも、とても楽しめました。

ちょっと地味な演目で、CD店でも目立たない存在です。しかし、聴いてびっくり玉手箱
このデュオの、湿り気のない硬質な、しかもどこかに暖かさを含んだ演奏は、ここで演奏している3曲に、
実によく“合って”おります。InfanteやGranadosも良いのですが、Ravelが出色。音が“生きて”いますね、この演奏。

RavelのRapsodie Espagnoleはたくさんの録音がありますが、この演奏は現存する録音中、
最も優れたものの1つでしょう。少なくとも、わたくしがこれまで聴いた演奏の中では最良の出来です。
ピヤノ・デュオ好きはもとより、もっと広い層に聴いていただきたい1枚です。楽しく聴けます。これは、お勧め!

買って損なし、聴いて損なし!


演奏者 Guher & Suher Pekinel
収録曲  
L.Bernstein Symphonic Dances from West Side Story for 2 pianos & percussion (arr. Paul Mckibbins & Robert Phillips)
G.Gershwin 3 preludes (arr. Gregory Stone)
B.Bartok Sonata for 2 pianos & percussion Sz.110
CD番号 TELDEC 8.44146 ZK 243 719-2
録音データ Jun./88
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 実に切れ味の良い演奏。こちらに収録されているBernsteinの「West Side Story」、同様の録音をしているLabequeが「スウイングしている演奏」ならば、こちらは鋭い切れ込みが入るパフォーマンス。どちらも素敵ですが、魅力の観点は別。

同じCDにBartokの「2台のピヤノと打楽器のためのソナタ」が収録されていますが、West Side Storyもそれと同じ感覚で弾いています。このBartokも、実に清楚でダイナミクスをそなえた、極めて優れた演奏なのですがね。Bartokにバーバリズムを求める方には、明らかに不適切な演奏です。どちらかと言うと、冷静。熱は演奏の底流にあります。「Bartokなら、鍵盤をぶっ叩けば良いんじゃ!」と思われる方、この演奏を聴いて、心を改めましょう。もっとも、軟弱な演奏で、この曲を聴きたいとは思いませんが。

そう、Bartokのこのソナタで、優雅さを保ちながら鋭さを全面に出したのは、極めて希有と言えましょう。ひとつひとつの旋律が、非常にくっきりと浮かび上がります。そんな感覚でWest Side Storyも弾いた、と表現した方が、よりこの録音の特徴が掴めるかも知れません。同時に収録されているGershwinのPrelidesも見事です。

買って損なし。聴いて損なし!



● Anthony & Joseph Paratore 


演奏者 Anthony & Joseph Paratore
収録曲  
M.Mussorgsky Pictures at an Exhibition for 2 Pianos
F.Mendelsson Bartholdy Symphony No.1 c-minor op.11, for 2 pianos
CD番号 Schwann CD 310 113 G1
録音データ Jan/81 & May/82
演奏評/資料評価 ☆☆/★★★★
備考 大爆笑ものの1枚。聴いて楽しい。まず、Mussorgsky。響きは豪快そのもの。
特に「Baba Yaga」と「The Great Gate of Kies」は出色。原曲の持つ素朴な味は、
M86星雲の彼方へぶっ飛んでしまいます。無骨で不器用な面が残り、豪快な響きが加わります

そしてMendelsson。編曲は何とF.Busoni
マイナーで弱々しい側面が、そのままそっくり残りつつ、女々しさが一層強調される迷編曲
しかもBusoniの持つ「ひねくれさ」が、編曲にも如実に現れている点が笑えます。
キワモノ」が好きな方に推薦の1枚です。



● 永井幸枝 & Dag Achatz 


演奏者 永井幸枝 & Dag Achatz
収録曲  
A.Graznof Symphony No.6 Op.58 for 4 hands, arr. by S.Rachmaninoff
S.Rachmaninoff Fantasy "The Rock" Op.7 for 4 hands, arr. by composer
A.Scriabin Symphony No.4 "Le Poeme de l'extase" Op.54 for 2 pianos, arr. by L.Conus
CD番号 BIS CD-746
録音データ 06/08 Aug 95
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★
備考 実にシャープで緊張感に溢れる演奏。なかなか演奏・録音される機会のない曲たちをお題にして、ピヤニスティックな魅力を存分に引き出しての非常にレベルの高い演奏は嬉しい限り。原曲はどれも充実した管弦楽曲作品。それを原曲の存在をもかき消すように--あたかも最初からピヤノ曲であったかのように--素晴らしいピヤノ2重奏に書き換えた編曲です。

こうした「珍しい作品」の録音、「こんな変わった連弾曲があるんで、ちょっと録音してみました」と言った、安易な演奏にしばしば出会います。「演奏することに意義がある」的な。このような場合、どんなに下らない演奏であっても、当該録音の存在意義だけで購入してしまう羽目になります。もっとも、下らない/面白くない演奏と分かるのは、家に持ち帰って再生機を稼働させてからですが。この録音、そうした“不快感”や“不満”とは無縁です

このCD、どれも満足できますが、特にA.ScriabinのLe Poeme de l'extaseが出色。この作品が同じ作曲家のピヤノ・ソナタ第5番と同時期に、まったく同じ作風で創造されたということが如実に伝わってきます。また管弦楽での演奏以上に、“燃え上がるエロ”が強調されて響きます。楽譜が入手できなかったので原曲の管弦楽総譜を参照しながら聴いてみました。驚くほど忠実に管弦楽の動きをピヤノの上で展開しています。しかもピヤノの持つ表現力を存分に引き出しながら。このお二方の演奏、そうした魅力を完全に出し切っております。

S.RachmaninoffのFantasy(作曲者自編)やA.Glaznovの交響曲第6番(S.Rachmaninoff編曲)も、Scriabin作品と同様。実に聴き応えのある仕上がりです。
なお、RachmaninoffのFantasyは連弾用編曲(1台4手用)を2台に振り分けて弾いています。若干の装飾等を加えてはいますが、基本的には連弾譜をそのまま2台で演奏しています。Scriabinは2台用編曲、Graznovは2台用か連弾用か未確認ですが、こちらも2台ピヤノによる演奏。研究用にも楽しむにも、買って損なし/聴いて損なしのCDです。録音も良好。お勧め。



● ザイラーピアノデュオ 


CDタイトル ザイラー夫妻の東響西韻
演奏者 和子・マサダ・ザイラー & Ernst F. Seiler
収録曲  
中田喜直 四手連弾のための組曲「日本の四季」
A.Arensky Six Children's Pieces Op.34 for 4 hands
R.Schumann 12 vierhandige Klavierstucke fur kleine und grosse Kinder Op.85
CD番号 テイチク TGCC-28001
録音データ 27-28 Feb. 95
演奏評/資料評価 ☆/★★★
備考 誠実な演奏ですが、3曲ともに聴いていてやや面白みに欠けます。何故、面白くないのか? 何度も聴いて分かったこと。良い意味での「色気」がないのです。さまざまな意味で「模範的」な演奏。別の表現をすれば「教科書的」。楽譜に書いてあることを忠実に再現したというレベルにとどまっているのです。妻・由美子は「聴いていて疲れない演奏。BGMとしても良い」と評してはいます。ただしそれは裏返せば「心が引き込まれる“何か”がない」ということ。演奏者側からの強烈なアピールがないのですね。この演奏の一番の問題でしょう。この組み合わせによる演奏、A.Arenskyを除いて実演でも聴いていますが、基本的にはCDと変わりませんでした。

なお、中田作品に関して作曲者自身が解説を書いていらっしゃいます。その中で、氏が当該作品の楽譜に記載した作曲意図を記述していらっしゃるのですが、これには強烈な反発を覚えます

(以下、引用)
「現代音楽が一般の人には理解されないような難解なものになっている事実があり、その理由も少しはあるにしろ、やはり美しいメロディやハーモニーの響きが大切であり、わたしはそのことを考えて作曲しました。(以下略)」
(引用ここまで)。


この記述からは「現代音楽=難解」「現代音楽=美しいメロディやハーモニーが大切にされていない、あるいは無い」と主張しているとしか受け止められません。確かに「現代音楽」にはK.H.Stockhausen作品のように、独りよがりで「どーしょーもない」ものがあるのは事実です。でもそれは、いつの時代の作品でもあったこと。「現代音楽」をひとくくりにして「難解」とするのは暴論でしょう。わたくしの愛する故・矢代秋雄氏の全作品、故・柴田南雄氏の素晴らしいシアター・ピース群、三善晃氏の「響紋」、松村貞三氏の2曲のピヤノ・コンセルト、新実徳英氏や吉松隆氏の作品群・・・ちょっとわたくしたちの身近にある作品を挙げてみましたが、これらが「難解」ですか?メロディやハーモニーを大切にしていませんか?

そう、そもそも「現代曲」って何でしょう?何時の作品からが「現代曲」と定義できるのでしょう?

そして「難解」ってどういうことでしょう? 少なくとも音楽は頭で「理解」するものではありません。従って「分かる」「分からない」はナンセンス。「好き」か「嫌い」で十分。あるいは「受け止められる」「拒否する」、つまり感覚的な問題でしょう。 これらのことをすっ飛ばして「現代音楽が一般の人に理解されないような難解なものになっている事実」などと言い切るのは暴論以外の何物でもありません。なお当該CDで取り上げている中田氏の「日本の四季」の作品そのものに関しては、別途論ずることに致します。



● 三宅榛名 & 高橋悠治

CDタイトル いちめん菜の花
演奏者 三宅榛名、高橋悠治
収録曲
三宅榛名 奈ポレオン応援歌
  「楽しき農夫」変奏曲
  いちめん菜の花
  北緯43度のタンゴ
高橋悠治 パレスチナのこどもたちのかみさまへのてがみ
  さまよう風の痛み
坂本龍一 グラスホッパーズ
B.Brecht 人間の努力は長続きしない
Trad 今日は会えない
CD番号 ALM ALCD-7007
録音データ Aug/83
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★★
備考 これは楽しいCD! 
序文に「作曲をし、ピアノを弾く4つの手がそろいさえすれば、それがかんたんに音楽として成立つという、
もっともプリミティブな音楽発生のかたちです」とあります。
どの曲も、どの演奏も、「生まれつつある音楽」という、生命感の息吹に満ちた、新鮮な響きです。
Steinway model-DとBosendorfer imperialを向かい合わせで響かせるだけでなく、
時にはトイ・ピヤノ(おもちゃのピヤノ)やハーモニウム、パーカッションを鳴らしたり、
二人で歌ったり(これが愉快)と、さまざまな響きで満ちあふれています。
とにかく、2人で、2台のピヤノを使って音楽を作っちゃおう!」という、愉悦溢れる、それは素敵な録音です。
ある意味で、2台ピヤノ/連弾という演奏形態の原点に迫っています。どなたにも、お勧め!
ただし残念なことに、楽譜はどれも出版されていません


CDタイトル 三宅榛名 高橋悠治 II 1980年代作品集
演奏者 三宅榛名、高橋悠治
収録曲
三宅榛名 北緯43度のタンゴ II
  反世界詩編
  むかし一匹のはりねずみ
  ポエム・ハーモニカ
高橋悠治 オフェーリアの歌
  ほほえむ手
C.Cardew Boolavogue
CD番号 ALM ALCD-7009
録音データ Jun/88
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★★
備考 上記CDの続編です。聴いていて楽しいのですが、前作ほどのインパクトはありません。
もちろん作品と演奏の「密度」は前作同様に高く、優れています。
しかし前のがあまりに素晴らしかった、そして衝撃的だったので、比較をすると「一歩下がった」存在になってしまいます。
個人的にいちばんたのしめたのが、C.Cardewの作品でした。



● Tiziana Moneta & Gabriele Rota

演奏者 Taziana Moneta, Gabriele Rota
収録曲
C.Debussy Six Epigraphes antiques
M.Ravel Sheherazade (arr. for piano 4 hands, by composer)
I.Stravinsky Petrouchka (arr. for piano 4 hands, by composer)
CD番号 SIPARIO CS18C
録音データ 1990
演奏評/資料評価 ☆☆/★★★
備考 実に気味良い演奏。特にRavelとStravinskyは出色。ちょっと乾いた音色ですが、迫力は十分。
Stravinskyは、一般に演奏される「ペトルーシュカからの3楽章」ではなく、原曲(バレエ曲)の連弾版。
上記2曲は、1台4手で演奏すると、手の交差や接近があって、演奏が恐ろしく難しくなります。
通常は2台ピヤノで演奏しますが、このCDではなぜか1台で演奏しています。
特にStravinskyは、資料価値から見ても、非常に重要です。
Debussyは、平均水準の出来。



● Thomas Hizlberger & Georg Schutz

演奏者 Thomas Hizlberger, Georg Schutz
収録曲
C.Reinecke La belle Griselidis in F major Op.94
Andante & Variations Op.6
Impromptu Op.66
J.J.Raff Chaconne Op.150
J.Rheinberger Duo for piano Op.15
CD番号 CPO 999 106-2
録音データ Sep/91 & Mar/92
演奏評/資料評価 ☆/★★★
備考 珍しい2台ピヤノ用の曲を集めただけのCD。演奏は生彩を欠き、ちっとも面白くない。
確かに資料的には重要かも知れませんが、これを聴いて「楽しい気分」「幸せな心」になるとは
考えられません。実に退屈なCD。「楽しむ」という面を考慮すると、「ただ珍しい」では、聴衆は満足しません。
そのため「資料評価」も「★3つ止まり」。誠に残念なCDです。



● Mainzer Klavierduo

演奏者 Mainzer Klavierduo (Daniela Ballek & Agathe Wanek)
収録曲
F.Liszt Concert pathetique
F.K.Wanek Paambel - Passacaglia - Toccata
A.Jolivet Hopi Snake Dance
S.V.Rachmaninoff Suite No.2 Op.17
CD番号 MELI 7071-2
録音データ 1992(?)
演奏評/資料評価 ☆☆/★★★★
備考 初めて聴いたデュオですが、なかなか聴かせどころを捉えての、充実した演奏をしています。いずれも2台用作品。
Liszt作品は、比較的有名ながら録音に恵まれなかった曲。99年3月11日現在、ステレオ録音のCDとしては
このディスクが唯一です。以前は「Jacqueline & Jean-Pierre Carriere」によるディジタル録音のLPがありました
(REM No.11016)。このCarriereの演奏は、若さ溢れる胸のすくような演奏でした。残念ながらCD化されて
おりません。しかしながら、このMainzer Klavierduo盤も、なかなかの出来。Carriere盤のような華やかさは
ありませんが、しっとり、かつ堅牢な構造の演奏で、充分に楽しめます。録音の影響もあるのでしょうが
音の粒立ちが実に美しい!
WanekおよびJolivet作品も楽しく聴けます。わたくし自身は、この2曲に関して、この録音で初めて聴きました。
なお、Rachmaninoffは、水準の出来。まずまずの演奏ですが、もっと素晴らしい演奏がいくつもあるので
残念ながら「霞んで」しまいます。




● Tamara Korockin & Andreas Schonhage

演奏者 Tamara Korockin & Andreas Schonhage
収録曲
R.Strauss Symphony Op.12 in F minor, Version for Piano Duet
E.d'Albert Waltzes Op.6 for Piano Duet
CD番号 CPO 999 330-2
録音データ 1-3/Apr. & 9-10/Oct 1994
演奏評/資料評価 ☆/★★★
備考 珍品2曲。でも演奏は平凡そのもの。聴いて楽しむレヴェルに達していません。真面目だけが取り柄の演奏です。
もっとも曲自体が地味なので、それに「曳きずられ」て、面白くなく聞こえてしまうのかも知れません。
いずれにしても、ちょっと残念な録音。そのため、「資料評価」も★3つ。




● Alfons & Aloys Kontarsky

演奏者 Alfons & Aloys Kontarsky
収録曲
C.Debussy En blanc et noir
Petite Suite
Lindaraja
Cortege et air de dance
Ballade
Six Epigraphes antiques
Symphonie en si mineur
Marche ecossaise (2nd. verson)
Prelude a l'apres-midi d'un faune (for 2 pianos, arr. by composer)
M.Ravel Ma mere l'Oye
Rapsodie espagnole (played by 2 pianos)
Entre cloches
Frontispice
CD番号 427 259-2
録音データ June/73
演奏評/資料評価 ☆☆☆/★★
備考 実に鋭角・先鋭的な名演。1973年の録音ですが、演奏・音質ともに、まったく古くなっておりません。
演奏は非常に肌触り(耳あたりか?)の冷たい点が特徴。
暖かなドビュッシー/ラヴェルをお望みの方には、明らかに不向き。
個人的には、とても好きな演奏です。
ただし、好き嫌いに関わらず、ここに収録された曲を演奏/研究なさる方には必聴の演奏です。
なお、このCDで演奏している「Prelude a l'apres-midi d'un faune」は、作曲者自身による2台ピヤノ版。
これとは別にRavelが編曲した「連弾版」もありますね。また、「Marche ecossaise」は、
第2版(コーダの長い方)の楽譜を使用しています。




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