けっこうたくさん、編曲や作曲があるのに、あまり「表」にはでないお方です。彼の編曲した「ドビュッシー:海(2台版)」など、それはすばらしい出来なのですが、長らく絶版になっていました。ところが最新版Durandカタログでみると、ちゃんと生きています。どうやら復活したようですね。
ひとことで言えばエレガンス。とても素敵な曲たちです。プリモは特に易しくて、バイエルの50番程度まで弾けるテクニックがあれば、十分に楽しめます。楽譜の指示にもありますが、プリモは右手、左手ともに、1つのポジションで弾けることも魅力です。
その上、演奏効果も上がります。演奏会で取り上げても、十分さまになる、それは素敵な曲たちです。おまけに「ネタ」さえ明かさなければ、プリモが1ポジションで弾いていることなど、聴く側には、なかなか分かりません。この曲を知らない人たちに聴かせたら、手元か楽譜でも見ない限り、プリモがいかに単純か、ということを見抜くことは難しいでしょう。
ただし、その負担は、全部セコンダが請け負うのです。加えて、二人の奏者が「一緒に呼吸する」ことをしないと、この曲はまとまりません。両者がいつでも「対話」しなければならない曲たちなのです。特に第3曲の「舟歌」は、両者の対話が成り立たなければ、演奏は崩壊します。
わたしたちが聴いているCD、伸びやかながら緊迫感もあって、それは素敵な演奏です。途中、小鳥の鳴き声が入っています。いったい、どんなところで録音したのでしょう?