この作曲家の作品で、夫・かずみのような「オールド・ジェネレーション」にとって、まず脳裏に浮かぶのは、「自由を我らに(A
nous la liberte)」(1931)、「美女と野獣(La belle et la bete)」(1945)、そして「ローマの休日(Roman
holiday)」(1953)の映画音楽。あの映像美に勝るとも劣らない、素敵な音楽。“彼ら”は決して脇役ではありませんでした。
例えばローマの休日。あのオードリー・ヘップバーンとグレゴリ・ペックの“表情”を支えたのは、オーリックの音楽でした。ちなみに夫・かずみはローマの休日を見て「おっ、ジャーナリストって、かっこいい」と、実際にジャーナル屋になってみたのですが、見るとやるのとは大違い。地味な毎日です。よく考えれば、かっこよかったのは「ジャーナル屋」ではなく「グレゴリ・ペック」なのですね。
なお、夫・かずみは映画「日本沈没」を見て「地球物理学者って、かっこいい」と、学校での専攻に選びましたが、きついフィールドワークとプログラミングの繰り返し。外洋観測では船酔いでダウン、挙げ句の果てに「頭が着いて行かなくなって」ギブアップ。愚かなことでございます。
初心者から上級者まで、みんなで楽しめるオリジナル連弾曲です。軽快で楽しい旋律のオンパレード。5曲全部が長調です。公開の場で、もっともっと演奏されても良い、質の高い作品です。
発表会やホームパーティから大ホールでのコンサートまで、広い用途で使える曲ですね。ソナチネ・アルバム修了程度であれば、両パートともに初見で弾けます。
ただし、この曲が持つ「軽妙さ」をきれいに出そうとすると、意外と厄介です。まず、「切れ」と「リズム感」が良くないと、曲は死にます。重たくなったら、もうお終い。
また構造が単純であるため、両奏者の息が合わないと、すぐに「崩れたお煎餅」みたいな演奏になってしまいます。わたしたちが弾いた感覚では、ペダルの使用は最小限に抑えた方が、綺麗な響きになるようです。手の交差や演奏の支障となる接近はほとんどありませんが、旋律の受け渡しが頻繁に発生。両奏者間の緊密な連携を要求しています。
それはともかく、明るい午後、ちょっと手がけてごらんなさい。弾いていて、こころが楽しくなりますよ。