レスピーギの作品 
Ottrino Respighi
(1879〜1836)


☆6つの小品☆
Six little piece (Sechs kleine Stuke)
作曲年代:1926
演奏形態:れんだん
原曲:連弾オリジナル
参照楽譜:Elite Edition
参考CD:どうやらあるらしいのですが未試聴

 大人向けの、それはロマンティックな小品集です。特に、大人になってからピヤノを始め、デュオに興味を持った方には最適です。先生にセコンダを弾いて頂き、プリモを弾くと、それは「気持ちよく」なれます。また、ほんのちょっと弾ける人が、上手な人とお友達になりたい、なんて時に持ち出すのに、A.Capretの「ちいさなこと、いろいろ」と並んで、絶好の1曲です。ある意味で「ナンパ向き」の1曲でしょう。

 Respighiと言えば、まず、「ローマの噴水」であり「ローマの松」、そして「ローマの祭り」。いずれも素晴らしい管弦楽曲です。そして、素晴らしい連弾曲になっています。そうしたダイナミックで色彩的な作品があるなかで、ちょっと地味ですが、可愛いピヤノ曲があることを忘れて頂いてはいけません。

 このSix little pieces。透明感と明るさ、そして叙情性を兼ね備えた小品集です。ダイナミクス感こそありませんが、ローマの噴水に通じる音の透明性を持ち、そしてピヤニスティックな魅力に溢れております。大きなホールでの、正規のコンサートに持ち出しても聴き応え十分。

 6つの小品は「ロマンス」「シチリア狩人の歌」「アルメニヤの歌」「楽しいクリスマス」「スコットランドのメロディ」「小さなスコットランドの高原の人」と、かわいいタイトルがついています。いずれも充実した作品です。との曲も、旋律が流れるように美しい。

 演奏レベルを見ると、プリモ、セコンダともに非常に易しい。特にプリモは、バイエル終了程度の人ならば、初見で弾ききることが可能です。若干の接近はありますが、演奏に支障を与えるものは皆無です。交差はまったくありません。それでいてレスピーギ特有の魅力ある「響き」に満ちています。

 だからといって、安易に作曲されたものではなく、響きが非常に緻密に計算されている点が魅力です。演奏者にとっても、「どうやって作品の魅力を引き出すか」を考慮しながら演奏を構築しなければならないあたり、難しくもあり、面白いところでもあります。特にプリモ、「ブレス」と「起伏」を上手に表現しないと、曲は完全に死んでしまいます。1音1音考え抜いても、熟考する価値のある、そんな素敵な小品集です。技術的には、さほど難しくありません。楽しく弾ける連弾曲として、お勧めの1曲です。

 弾いて損なし!