住友郁治温故知新−住友


【ハンマーフリューゲルのこと】


 自宅には、1847年製J.B.Streicherを所有。当該楽器を用いての演奏会を継続して展開中である。ここで留意すべきは、ハンマーフリューゲルの演奏が、単に「古い音」を再現することが目的ではない点だ。

 目的は2つ。1つは当時の作曲家自身が「使っていた音」をこの楽器で聴くことにより、現代のピアノでは認識しにくい「曲本来の姿」を把握する。この楽器、製造当時は、その時点での「現代音楽」を奏するために作られたはず。この行為、我々にとっては、古い音の再現ではなく、新たな音との出会いなのである。

 もう1つの目的は、そして作品そのものの認識を新たにし、現代ピアノを使った演奏解釈に活かすこと。むろん、現代ピアノを使って「古めの音」を再現するのではない。あくまでも、新たな解釈を追求するための施策なのだ。(住友 郁治)


注)写真左上:J.B.Streicher全景。  写真右下:J.B.Streicherの鍵盤ハンマーフリューゲル鍵盤


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Copyright
Fumiharu Sumitomo
Yumiko & Kazumi Tanaka
1998