其の参:意外と難題 「相手探し」

楽しい連弾も、まず相手がいなければ成り立ちません。ところが、この「相手探し」が意外と難題。決定的な解決策はありませんが、さまざまな「相手探しの手段」が存在します。


 弾いて楽しい、聴いて楽しい連弾(ピヤノ2重奏)ですが、いざ手がけるとなると、さまざまな課題が存在いたします。その最たるものは、「相手探し」と言えましょう。相手がいなければ、連弾は成立しませんからね。

 ところが、これが意外と難しい。子供のころから、家族や先生と連弾の機会に恵まれているという幸せな方もいらっしゃいます。しかしそれは、例外中の例外。わたくし(夫・かずみ)のように、まともに指が動かない弾き手はもちろんのこと、音楽専門の学校を卒業された方ですら、いざ相手を探そうとするとなかなか見つからないのが現状です。

 在学中は連弾に全然興味がなかった。だけど卒業してしばらくしたら、興味をもって、やってみたくなった。しかし相手が見つからない---。こうした悩みを抱える方が、意外と多いようです。現に、わたくしたちの元に寄せられるメールの中に、「相手を探すのは、どうしたら良いでしょう?」という質問がしばしば混ざっているのです。残念ながら、「こうすれば良い」という、決定的な手段はありません。

 では、今、連弾を組んでいるコンビは、どうやって相手に巡り会ったのでしょう。我々の回りにある例を、挙げてみることにいたしましょう。


●まずは、在学中のチャンスを逃さない

 わたしたちの仲間に、ピヤノ・デュオを専門とする演奏家が何組かおります。そのうち、結構バリバリに活躍している一組の片方に、あるときわたしは聞いてみました。「何故、デュオを組んで活動を始めたの? きっかけは?」。すると彼女曰く。学部在学中は、連弾にはほとんど興味がなかった。ところが、あるホールの落成演奏会で、偶然、今の相手とピヤノ2重奏をする機会が訪れた。やってみたら、これがとっても面白くって---。結局彼女たちは、それからデュオを組み、ドイツの某音楽大学で2年間、デュオ専門の教育を受けるに至りました。この場合は、「偶然」を「チャンス」にした例ですね。

 もう1組。バリバリに弾いている中堅デュオの片方。この方などは、もともとアンサンブルに興味があって、大学在学中に相手を見つけ、連弾のレッスンを受けつつ演奏活動を展開してきました。そして現在に至っております。こちらは「必然」を徹底的に追及した例です。

 これら2例は、「
石を投げれば、ピヤノを弾いている専門家に当たる」という状況で、連弾を始めることができたわけです。言い方を変えれば、「いつでも相手を探すことができる状態」なわけです。しかも、相手を次々に変える--これが良いことか、そうでないかは状況次第ですが--ことも比較的容易です。ところが、ある人に言わせると「在学中は、そうした“幸せな状況”にあることに気づかない」。もし、これをお読みのあなたが、音楽専門の学校ないし学科に在学中なら、相手探しは今がチャンスです。

 また
音楽専門の学校でなくとも、ピヤノ愛好家の倶楽部やサークルがあるところも多いことでしょう。ここでの出会いを、相手探しに活かさない手はありません。


●周囲に目を光らせる

 いったん社会に出てしまうと、相手探しはなかなか厄介です。でも、手段がないことはありません。もしあなたが、音楽専門の学校/学科のご出身なら、同窓の集まりを活用するという手があります。

 では、あくまでも趣味でピヤノを弾いている場合の相手探しは??? いくつか列記してみます。

(1)手っ取り早いのは、先生について、その先生とデュオを組む。
(2)あるいは、ついている先生に、デュオの相手を探してもらう
(3)もし、自分の子供がピヤノを習っているなら、連弾相手にしてしまう。

 相手を探す可能性としてはやや疑問ですが、(4)地域や職場のピヤノ・サークルに入会する--という手もあります。

 いずれにしても、積極的に相手を探し、「誰かいないかな」と周囲に目を光らせていることが大切です。

 「では、お前たちは、どうしたんだ?」というご質問、当然出ますよね。我々の場合は、パソコン通信のフォーラムです。某大手パソコン通信サービス(現在は、インターネット接続サービスが主体)のあるフォーラムは、「オフライン・ミーティング」が異常に活発でした。オンラインで打ち合わせをして、オフラインで演奏会をする--といった形式での活動が頻繁にありました。その活動の中で知り合って、結果的にデュオを組んで、といった具合です。完全に偶然に左右された出会いでした。わたしたちの回りでは、このフォーラムを通じてアンサンブルを組む例が、恐ろしくたくさんありました。ピヤノ・デュオだけでなく、その他室内楽など、それこそたくさん。そして、結婚したカップルが何十組も。


●ネットでの相手募集は要注意、公開情報を上手に活用

 もっとも、わたしたちの場合は、「オンライン」と「オフライン」を何度も繰り返して、デュオを組むに至りました。「オンライン」だけでない、というところにご留意下さい。

 「インターネット使ってデュオの相手を募集すればいい」という意見もありますが、
わたしはお勧めいたしません。むしろ危険性が高いので止めた方がよいでしょう。インターネットは「開かれた世界」です。どこの誰が読むか分かりません。真面目な人たちはたくさんいますが、残念ながら「邪悪な意図」を持つ者も、大勢います。そうした中で、ある意味でプライバシを公開することになる「相手募集」は、非常に危険です。ネットの世界だと、コンタクトしてきた相手が、どんな人であるかが、分かりにくい点も挙げられます。

 わたしたちも、インターネットを通じて、さまざまな人々とお友達になり、実際にお目にかかって楽しい時間を過ごしたりしています。でも、そこまでの関係に到達するのには、さまざまなステップが必要です。一気にプライバシを公開する訳ではありません。徐々に仲良くなって行きます。ネットの世界も実世界も、「おつきあいの仕方」は、あまり変わりませんが、ネットでは、より慎重やっています。

 もしあなたが、相手探しにインターネットをうまく活用しようとするならば、
現在提供されている情報を、上手に利用することです。ただし、単なる「仲間募集」みたいのは危険です。「現実世界」(ネットの世界をバーチャル:仮想空間とした場合)で、きちんと責任者が分かっていて、活動実体のはっきりしている団体からの情報発信を活用すべきでしょう。

 では、そうした団体をどうやって見分けるのか。ひとつは、責任者の実名が明確であること。そうして、もう一つは、「ネット以外」での連絡--電話や郵政省メールなど--が取れること。つまり、きちんとした「実体」があるということですね。

 こうした点に留意すれば、インターネットを使って、効果的に連弾相手探しをすることも不可能ではありません。

 ちなみに、
インターネットを使っての先生探しは可能です。「全日本ピアノ指導者協会」のWebページにアクセスしてみて下さい。ここから先生探しができますよ。同協会へのさまざまな問い合わせも可能です。


全日本ピアノ指導者協会(PTNA)のホームページへ
PTNA主催「PIANOホームページ」へ



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