エルマー・バーンスタインの作品
Elmer Bernstein
(b.1922)

 

 The Juilliard School出身の作曲家。Ten Commandments (1956)、The Big Country (1959)The Magnificent Seven (1960)、Cape Fear (1991)、Rambling Rose (1992)などの映画音楽で著名。1967年、Thoroughly Modern Millieでアカデミー音楽賞受賞。Leonard Bernsteinとは、ぜんぜん関係ありません(もう少し詳しくはこちら)。



 

☆ 荒野の7人 ☆
The Magnificent Seven
作曲年代:1960
原曲:管弦楽曲
演奏形態:れんだん
編曲者:Tom Masinter
参照楽譜:Waner Bros. Publications

 この作曲家の代表作といってよいでしょう。爽快な曲運びは、一度耳にしたら忘れることはできません。確かに映画そのものは黒沢明氏「7人の侍」の焼き直し(最近では“リメイク”というそうな)でありますが、実に充実したすてきな映像作品です。John Sturges監督のこの作品、Brynner、James Coburn、 Charles Bronson,、Robert Vaughnなど、大スターが画面狭しと暴れ回りました。そう、Steve McQueenの本格的映画出演の第一歩となった作品でもありました。古き良き時代の「本格西部劇」であります。ちなみに「元ネタ」となった「七人の侍」の音楽は、あの早坂文雄氏。元ネタ/焼き直しとも、映像/音楽面で甲乙つけがたい出来映えでしょう。残念ながら「七人の侍」の連弾版は、いまのところ見あたりません。

 さて、荒野の7人・連弾版。メイン・タイトル全曲を、ほぼ完全に連弾仕様に編曲しております。ちかごろ巷に溢れている「初心者用連弾ピース」ではありません。曲が曲だけにトランスクリプションの類は施してありませんが、2管編成の管弦楽を見事に連弾化しております。しかも、1〜2小節目でプリモの右手のみをアルペジオとする、5〜12小節目ではプリモの左手のみにマルカートとテヌートを詳細に指定する・・・など、単純ながら結構「ヲタク」な編曲です。演奏効果も充分に上がります。アンコールやポップス・コンサートにもってこい!

 全体を通して弾きにくいところはありません。若干の接近はありますが、交差は皆無。演奏に必要とする技術レヴェルは、ツエルニー40番程度。両奏者とも旋律を弾く機会がありますが、演奏の負荷はどちらかと言うとセコンダにかかります。プリモは、結構お得です。あの爽快なテーマは、涼しい顔をしてオクターヴで弾けば良いのですから。このプリモ、気持ちいいですよ。ただし、両奏者ともに、弾けるようなリズム感を失ったらダメです。

 なお、楽譜は非常に見やすくできています。しかも連弾譜としては極めて珍しく、左右対称に記述してあります。すなわち、セコンダが左ページ、プリモが右ページに印刷してあって、左右共々「上からn段目のm小節目」が、ぴたりと一致するように書いてあるのです。いやぁ、これは練習の時に便利! ただし、指定の音価で弾くと、最初の1ページを除いて譜めくりがうまくできません。ちょっと工夫が必要です。

 原曲の「さわり」をお聴きになりたい方は、「http://www.movietunes.com/soundtracks/」をご参照下さい。このサイト、さまざまなサウンドトラックを聴くことができて、それは楽しいですよ。