雪。
3月に入った途端、東京近辺は雪である。「春の雪」と言えば情緒もありそうで、何だか三島由紀夫御大のタイトルのようであるが、通勤者にとっては迷惑極まりない。おまけに先週まで異様に暖かかったのに、一気に冷え込んだ。何だかまた体調を崩しそうである。
さて、ヤなことがあった。「脅迫メール」が届いたのである。以下にその全文をご紹介しよう。タイトルは「ご忠告」である。
貴方の独特の感性で音楽をどう受け止めようと批判されようとそれはご自由です。しかし、その一人よがりな酷評をネット上で公表されるのは如何なものかと思います。そのコンサートを実際に聞いていない人に対して、ヘンな先入観を植え付けかねません。その演奏者の社会的立場をも傷つけることになります。大きな御世話でもあり迷惑です。独断と偏見の「演奏評」は御自分の心の中で遊ばれたらよいと思います。辛口も度が過ぎると、そのうち名誉毀損で訴えられますよ。
これは、明らかに脅迫である。刑法222条の構成要件に該当している。222条の解釈としては「ここにいう告知する内容としての「害」はそれ自体犯罪を構成するようなものであることを要しないとするのが通説、判例。即ち「上司に通報する」とか「告訴する」等の告知も相手を畏怖させるためならば脅迫罪になる(前田雅英・刑法各論講義2版:東大出版会1995)」というのが通説だ。
上記のメールの文言は、十分にこれに該当する。要は「お前の書くことは気にいらん。こんな内容だと告訴されるぞ」と拙者を脅していることに他ならない。
こうした脅迫は、自由な言論を弾圧することの何物でもない。そもそも拙者の書く内容なんて、所詮は「批評」の域を出ていない。演奏に対して、自由な批評が言えなくて、それが健全な音楽業界であろうか。
拙者、仕事で記者をやっていて、これまで何度もクレームを頂いた。「名誉毀損だ」「損害賠償を請求する」「御社からすべての広告を引き上げる」などなど。でもそれらはみんな、拙者の書いたどの記事のどの部分が問題なのかをきちんと指摘してきたし、発送者の住所・氏名・所属・役職を明記してきた。これは「脅迫」には該当しない(いずれのケースも最終的には拙者の「勝ち」で終わったが)。
このサイトを始めてからも、拙者の誤解や勘違い、言葉足らずで、多くの方からご叱責を頂いた。その時にも、ご叱責を下さった方は、ご氏名・役職を名乗られ、拙者の記述のどこに問題があるのかを明確にして下さった。これは大変に有り難いことであり、拙者もそれを真摯に受け止め、訂正と謝罪を出して対応してきた。
しかし、今回の脅迫メールは、これらとは明らかに一線を画する。拙者の記載のどこに問題があるのかも指摘せず、単に拙者を黙らせようとして「名誉毀損」などという言葉を持ち出しているのである。
しかも差出人は、匿名。差出人のメール・アドレスも「hotmail」、おまけに発信時刻のタイムスタンプまで偽装する凝りようだ。悪意があるとしか言いようがない。この送信者がさらなる攻撃を加えてくればサイトの運営にも支障が出て、当然民法709条の不法行為を構成する要件を満たすことになる。これは損害賠償請求の対象になる。
で、拙者はどうしたか。当然、弁護士の先生のところに相談に行ったわけだ。今後の対策を練るためである。警察への告訴の準備も進めている。拙者への攻撃が続く、あるいは拙者のサイトに投稿してくださったり編集に協力してくださっている方へ、圧力などがあれば、断固として刑事・民事両面から法的措置を取ることにしている。
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