ヴェローヌの作品
Pierre Vellones
(1889〜1939)

フランスの作曲家。独学で作曲を習得したこと、サクスホンの作品を多少書いたことしか分かりません。本名は「Pierre」ではなく「Rousseau」とのこと。ちなみに「The New Grove Dictionary of Music & Musicians」には、1行の記述すらありません。C.McGrawの「Piano duet repertoire」には、作品データの記載がありますが、作曲者に関する詳細は明記してありません。



☆ ババールの冒険 --ピヤノ連弾のための、7つのやさしい小品☆
Une aventure de Babar -- 7 Pieces faciles pour piano quatre mains
作曲年代:不明
連弾オリジナル
演奏形態:れんだん
参照楽譜:全音楽譜出版社/Editions Henry Lemoine

 連弾のレッスンはもとより、発表会や肩のこらないコンサートに、もってこいの、楽しい連弾作品です。

 フランスの絵本童話「ゾウのババール」(J. de ブリュノフ Brunhoff作:L'historire de Babar, le petit elephant)をベースとした、楽しい連弾曲です。この絵本、日本語版も出ていますね。この絵本は、シリーズ化されておりますが、その最初の1巻「ババールの冒険」を題材にしたのがこの曲です。ちなみにプーランク(Francis Poulenc)も、「ゾウのババール」を題材とした、朗読とピヤノ・ソロのための作品を書いています。


 この作品は以下の7曲で構成します。要求する技術レヴェルは、プリモ/セコンダともに、バイエル修了程度。子供が弾くことを考慮して、オクターヴ以上の音域はありません。また、オクターヴや大きな跳躍を避ける工夫がなされています。

笛を吹くルドゥドゥ Lududu joeu de la flute douce
アドリエンヌ(ダチョウ)の入場と長大な歌 Entree et grand air d'adrienne
ふるさとの子守歌 Berceuse du pays natal
ケンタウルスの住む山里 Pastorale du Centaure
夜明け Le lever du jour
裁判所 Le temple de la justice
和解と喜びの行進 Marche de la reconciliation


 なお、楽譜は全音楽譜出版社から出ていますが、中身は原本である仏Henry Lemoine版そのもの。ただし、フランス語による表記は、すべて括弧書きで日本語訳がついています。フランス語が分からない人でも、原著で指定した「微妙なニュアンス」が出せるように工夫してある点は、楽譜として評価できましょう。

 とても楽しい曲ですよ。レッスンや「連弾遊び」で、一度ご活用されては如何でしょう。