<参> 無限地獄!−−インターネット・ショッピングの“恐怖”
夫・かずみは、「はまって」しまったのです。何にはまったかというと、インターネット・ショッピング。こんなに面白いとは、思いませんでした。意志が強くないと、次から次へと、お買い物をしてしまいそうです。
で、どんなお店に行っているかというと、言わずと知れた本屋さんと楽譜屋さん。初めのうちは、見て遊んでいるだけだったのですが、とうとう我慢できなくなって、先日、本を注文してしまいました。
いやぁ、面白い。だって、売場はほぼ無限の広さで在庫も実質上は無限。それが机の前に座っているだけで、次から次へと閲覧できるのですから。もちろん手にとって見ることはできませんが、お店によっては本や楽譜のサマリーを表示したり、表紙を画像データで見せたり。また、キーワードを入れて、関心のある分野でどんな本が出版されているのか、ある著者にはどんな著書があるのか−−を検索したりもできます。ちょっとキーワードを入れるだけで、欲しくなってしまうような本が続々と。
しかも、チェックボックスをクリックするだけで、「バーチャル買い物かご」に次々本が入るのです。重たい本を持って歩いたりする必要もありません。ついつい気軽に「買い物かご」に入れてしまいます(これが、怖いんだ)。しかも、購入しても、現金が目の前で「動く」わけではありません(これも怖い)。
でも、ネットワークでお買い物するのは、やはりちょっと怖い面がありました。ポイントは2点。(1)確実に品物は届くのか、(2)クレジット・カード番号はハッキングされないか−−です。「本屋さんページ」を表示したディスプレイを前に職場で「どうしようかなぁ」とつぶやいていたら、一緒に仕事をしているS記者が「へへへへ、これをちょっと見て下さいよ」と机の引き出しの中を見せてくれました。中は本でぎっしり。「これ、全部、インターネット本屋さんで買ったのですよ」とS記者。「この他にも、ネットで買った本が家にたくさんあります」。そこへ現れたH記者、「ああ、僕もインターネット本屋で結構買い物をしていますよ。大丈夫」。
この2人によると、大手なら絶対に大丈夫、きちんと品物は届く、とのこと。米国なら「amazon.com」や「kingbooks.com」、日本なら「丸善」など。信頼度が高くて親切だ、と力説します。またカード番号のやりとりもSSLによる暗号化がなされるため、大丈夫だとのこと(大手の場合)。
その晩、とうとうインターネットによる書籍購入を実行に移してしまいました。まず、欲しかった「グローヴ音楽事典(全20巻)」を購入して見ることにしました。これまで人や図書館などから借りていたのですが、やはり手元に置きたくなったのです。丸善ですと約10万円、amazon.comですと550米ドル(6万6000円)、kingbooks.comですと何と465ドル(5万5800円)! いずれも送料別。迷わずkingbooksへ購入依頼。amazon、kingbooksともに送料と到着予定を、きちんと表示してくれます。運送方法(特急便、通常航空便、船便などがあります)を選択して、購入ボタンを押します。すると、5分後に「注文確認メール」が送られてきました。注文した品、価格、送料などが詳細に記載してあります。普通の「注文確認書」とまったく同じです。
さて、わたしの場合、小さなトラブル(というほどでもありません)がありました。その翌日、kingbooksからメールが来て「送料の見積もりが間違っていました。申し訳ありません」(S記者に言わせると、こうしたことは滅多にないそうです)。メールには、見積もりし直した送料が何種類か出ていて、もう一度発送方法を選んで下さい。もしどれも不本意なら、注文をキャンセルしてもいいですよ、というとても丁寧なメールでした。そこで、再度発送方法を選択してメールを一筆したためて。
本当は、7日間で届くはずだったのに、なかなか本は届きません。そこでメール一発。そうしたら、発送した運送業者名とインターネットによるトラッキング番号を教えてくれました。その返信メールには「こちらでもトラックしてみたけれど、あなたの荷物は成田に届いていますよ。もうすぐ手元に届きます」とのメッセージがありました。とても親切です。結局、最初の注文から10日目に、音楽事典全20巻が、無事に届きました。いやぁ、目出度し、目出度し。S記者やH記者に言わせると、普通はもっと簡単なのだそうです。わたしの場合、20冊で全部で27kgという「大物」だったため、運送上若干のトラブルがあっただけ、とのことでした。
購入してみて分かったのですが、インターネット本屋さんは、信頼できる業者なら、実に手軽に本を購入できることです。問い合わせにも、とても素早く親切に答えてくれます。「大物」を購入した直後だけに、まだ「自制心」が働いていますが、もう何日か経つと、また「買い物かご」に本を何冊も入れてしまいそうになりそうです。なお、楽譜屋さんだと、独Petersや音楽の友社が、オンラインで注文できます(はまりそうで、怖いね)。同じ楽譜屋さんでもNewYork
Petersは、メールかファクシミリでの注文です。
それから毎晩のように「インターネット本屋さん」を訪れている夫・かずみを見た、妻・ゆみこ。最初のうちは「なにやっているんだろうね」と、冷ややかな目で見ていました。そこで、「ほら、ここでキーワード・ボックスに“パグ”って入れてごらん」。amazon.comでやってみました。すると、パグの本が続々と・・・「パグのすべて」「パグ・ブリーダー・ガイド」「可愛いパグ」・・・。しかも表紙の写真付きです。「わっ、わっ、わっ! これ、可愛い! へぇ、こんなにパグの本があるんだぁ!」(妻・ゆみこ)。この人も、はまりそうですね(^_^)。
ちなみにわたしとS記者は、同僚女性記者S嬢を、この無限地獄に陥れて差し上げました。S嬢は「蛙」が大好き。S記者とわたしで「ほーら、ここにアクセスしてごらん。キーワード・ボックスが出てきたね。ここに“frog”と入れてごらん」。すると「わっ、わっ、わっ! こんなに出てきたぁ!」。後で聞いたら「へへへ、70米ドル分ほど注文しちゃいました」。この人は、もう抜けられませんね。ああ、またぞろ、本が買いたくなってきた。だって「Piano
duet」とキーワードを入れると、魅力的な本が続々出てくるのですから・・・。・・・怖いですね・・・。(98年11月23日)
注1:この文章は「オンライン・ショッピングの確実性」を保証するものではありません。また、書店では、amazon.com、kingbooks.com、丸善、以外の実績を、筆者自身では把握していません。さらに、このコラムはこの3社の確実性を宣伝しているものではありません。
注2:筆者がオンライン発注した直後、楽譜・音楽関係書店「アカデミア」(東京都文京区本郷)が、「グローヴ音楽事典」の「大安売り」を始めました。本体価格は5万円です。