「キムタク」との遭遇


 ある朝のこと。同僚のH記者が、嬉しそうにやってきた。そして開口一番、「今朝、キムタク、見ましたよ」。その手のものには、まったく興味がない、わたくし。「へぇ・・・」と気のない返事。「で、あなたは、どうしたの?」。

 するとH記者、満面の笑みを浮かべながら、「ここに連れて来ましたよ」。そして、わたくしの前に出現したのは、まごうことなき「キムタク」!


 まあ、確かに「キムタク」だ。パッケージ・デザインは稚拙で淫靡。特に右上の「キスマーク」が、実にグロテスク。コピーもグロだ。「この刺激がたまらない」「ヒット急上昇中」。何が「ヒット急上昇」だ。気色悪くて、とても封を切る気も起こらない。パッケージ全体が「妖気を周囲に放っている。

 H記者ですら、「これは食べる物ではありません。見る物です」と宣っている。さすがの彼ですら、食べる気が起こらないらしい。その証拠にこの「キムタク」、未だにH記者の引き出しで眠っている・・・。

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