...... 2004年 8月 01日 の日記 ......
■[ NO. 314 ]
下町の川風に夏を…
晴れ。




今日から8月。本当に夏らしい、澄み切った青空。この青空と陽光が好きだ。ただし、拙者も含む怠け者たちは、ピヤノに向かう気が失せる陽気である。このところ連弾庵のピヤノ、蓋が開いていない。暑さが苦手なゆみこは「楽譜を読む気も失せる」そうだ。拙者はもう少し「先」で、楽譜を読む気はあるのだが、鍵盤に向かうのが億劫である。こんな体たらくだから、弾けないピヤノがますます弾けなくなっていくのである。あ、これは別に夏のせいではあるまい。

さて、夏の風物といえば、そのひとつが「どぜう」。これを頂かないと、どうも夏を過ごした気にならない。というわけで、夕刻から深川ゾーンに侵攻だ。毎年この時期になると書いているようだが、深川は東京の中でも愛する街である。御存知ない方は「深川散歩」や「深川ねっと」、「下町探偵団」などのサイトをご参照されたい。とても風情のある街である。

小名木川にかかる「高橋(たかばし)」。川風が心地よい。



今日の攻撃目標は、小名木川の畔にある「伊せ喜」だ。東京のどぜう料理専門店というと、この伊せ喜と浅草の「駒形どぜう」が双璧である。拙者たちは「家から近い」と「深川が好き」という理由から、伊せ喜を贔屓にしている。今回は、某所にエッセイを書く予定なので、その取材も兼ねている。もちろん自腹だが。

「伊せ喜」の玄関。何とも風情がある。



伊せ喜、今日はもの凄く混んでいた。18時前だというのに、待ち行列が出来ている。19時近くに行って待ち行列に加わったことはあるが、この時刻では初めてだ。それでも待つこと10分、座敷に通されてほっと一息。

今日のメインは「骨抜きどぜう鍋」と「鯉あらい」(詳細は伊せ喜のWebサイト「おしながき」をご参照のこと)。これを肴に麦酒(もちろんエビスだ)と純米吟醸の冷酒(銘柄は何だったか忘れた)を頂くのは嬉しい。後は、おみそ汁(どぜう汁、たまご汁、豆腐汁から選べる)とご飯でおなかいっぱい。からだが猛烈に暑くなる。

鋤焼き、ではない。どぜうを煮ているのである。
どぜう、ごぼう、豆腐、ネギを割り下で一緒に煮る。
まあ、「どぜうの鋤焼き」みたいなものであろう。



たくさん汗をかいて、お店を出たら、小名木川の川風が心地良い。ここでも、「夏」を感じた。


...... 2004年 8月 02日 の日記 ......
■[ NO. 315 ]
答えのない質問
晴れ。

今日も気温が摂氏30度を超えた。これで東京の連続真夏日は28日となった。後少しで新記録らしい。折角ここまで来たのだから、記録を塗り替えれば面白いと思う。

さて、拙者のようなサイトを運営していると、ほぼ毎日、いろいろな方からメールを頂く。頻繁にメールを交換しているメル友あるいはそれに準ずる方以外からである。

レパートリについて、楽譜についてのご相談が多く、拙者のような者にこのようなお話をして下さるのは、本当に嬉しい。有り難い次第である。そうしたご質問やご相談に応えることは、拙者にとっても勉強になるし、もしそれでピヤノ・デュオの魅力をもっともっと知って頂けたり、演奏を通じて広めて頂けたら、サイトを開いた意図も達せられる。そして、何人かの方とは、とても良いお友達になっている。何より拙者、メールを頂くこと、そのものが嬉しいのだ。雑談であっても、有り難い。

だが、時折、とんでもない問い合わせもある。どんなことにも極力丁寧にお答えするのが拙者の方針なのだが、目の前が真っ暗になるようなこともあるのだ。今日も、そうしたメールが来た。こんなメールだ。

『次のサークルのコンサートで初めて連弾をしようと思っているのですが、何を弾いたらいいか決めあぐねています。おすすめの曲ありますか?音がきれいで、ある程度迫力があるものがいいです。』

たった、これだけ。これに答えられる人がいたら、素晴らしいだろう。もちろん、「次に何を弾くか」で迷っていらっしゃってご相談下さる方も多い。しかし、そうした方は、自分やデュオ相手の技術レヴェル、デュオの経験の有無、演奏時間、楽譜入手の可否・・・などなどをお知らせ下さったり、「ピアノ・デュオ作品事典」をお読みになった上でご相談される方がほとんどだ。これなら拙者の拙い知識でも、ある程度のご相談にも乗れるし、アドヴァイスもできる。また、その程度のことはきちんとお知らせ頂くのが、マナーというものであろう。

その意味で、こんなメールは明らかにマナー違反であろう。しかも無署名である。穏和で知られ解脱の境地にある拙者であっても、このメールにはキレた。こうしたメールには、「シュトックハウゼンのAus den sieben Tagenという素敵な曲がありますよ」とでも答えておこうかしら。そうか、音が綺麗で迫力のある曲か。ならシェーンベルク「第一室内交響曲」の連弾版があるぞ。早速お薦めすることにするかな。

誤解のないように申し上げるが、ほとんどのメールは大変丁寧で礼儀正しいものである。ご期待にこらえられなかったときには、申し訳ないと思うくらいだ。

まあ、今日来たメールくらいなら、脅迫でも嫌がらせでもないから、受け流すことにするか。

あちこちに張り付いている「殻」



...... 2004年 8月 03日 の日記 ......
■[ NO. 316 ]
木陰を返せ!
曇り。時々晴れ。

昨夜の予報だと、関東南部は午後から雨のはずだった。拙者、雨の日は駅まで歩いて行くことにしている。家を出たときは降っていなかったが黒い雲がワソワソと。「これは予報通り降るであろう」と、バッグに傘を入れて出勤。…で、結局、1滴も降らなかった。妻は「ほうれ、ご覧なさい。だから自転車で行けば良かったのよ」とのたもう。「だいたい天気予報なんて、当たらないのよ」などと酷いことを言う(気象庁のみなさん、ごめんなさい。拙者が言っているのではありません)。まあ、今日は帰宅が早い時間だったので、そうした日は妻が駅まで車で迎えに来るので、文句を言う気持ちも分からないではないが。

で、駅まで迎えに来た妻。拙者が助手席に乗ると、「もう頭に来るのよ! 公園のスズカケの樹、枝が切られて丸坊主にされちゃったのよ!」。駅から公園の所まできたら驚いた。見事に茂っていた緑がまったくなくなって、裸の枝が空に伸びていた。

連弾庵から歩いて1分弱のところに市が管理する小さな公園があって、大きなスズカケの樹がある。出勤途中で枝落としをしているのを横目で見ていたのだが、まさかここまでやるとは思わなかった。

小さな公園だが、スズカケの樹が何本か茂っていて、ちょうど良い木陰を作っていた。夏の暑い日でも木陰があるため、小さな子供さんを連れた家族や、ワンワン連れのなど、近所の人の憩いの場所になっていた。この木陰が何とも気持ち良くて、柔らかな緑は目にも優しかった。小鳥たちもたくさん来るし、今の時期だと蝉の声が楽しい。みんなの木陰だった。木陰だと涼しいし、顔見知りの方や知らない方でも、何となく会話が弾む。

それが、どうだ。公園の管理上だか何だか知らないが、バッサリとやられてしまった。これでは夏の日が出ている間など、公園に行けないではないか。みんなが木陰を楽しんでいたのに、何ということをしてくれたのだ!

激怒した妻は、市の公園緑地課に「怒メール」を送った。さて、どんな返事が返って来るのか楽しみだ。「多額の税金を納めているのに(もちろん庶民感覚での話である。何百万円も納めているわけではない)、憩いの場所を奪うとは何事だ! どうせ返事なんか帰って来ないけど、怒りをぶつけてやるわ!」(妻)。

拙者? もちろん市の対応には激怒している。公園を管理するにしても、もう少し別のやり方があるのではないかと思う。だいたい、夏の陽光に照らされる中で、遊んだり立ち話したりできるわけないではないか。そもそも、拙者の住んでる自治体(市)は、本当の意味での「文化」や「市民の憩い」なんて考えていない。市の偉いさんの頭にあるのは、××屋と××のことだけだ。

そうそう拙者の住む市には、伝説の笑い話があったっけ。市民ホールを新しくしたとき、ピヤノを新規購入する話があった。何人かの議員さんから「折角ならスタインウェイのグランドピヤノを買いましょう。そうすれば、良い演奏家の方にも来ていただけるし、市民の演奏家の方にもやりがいがでるでしょう」。そうしたら市長は何と言ったと思う?「そんな高価なピヤノを買ったら、市民の皆様(彼の頭にある「市民の皆様」とは××屋や××である)に叱られてしまう」。

その発言を聞いた人たち…右側・中道・左側を問わず音楽好きの人たちが「市長、バカじゃん」と超党派で「スタインウェイを入れる会」みたいなのを作って、署名や意見書を集めて市に提出、市議会を動かして結局無事にスタインウェイを入れることができた。このピヤノ、録音や演奏会で活躍した。いくつかの素晴らしい録音で、このピヤノが使われたことは嬉しい。拙者も、1度だけ、このピヤノを管弦楽のピヤノ・パートとして弾かせていただいた。

…と、まあ、こんな具合だ。一事が万事、この調子。公園にある憩いの木陰なんて、市にとってはどうでもいいことなのよ。管理さえ面倒にならなければ、それで良いわけ。何とも情けないね。

ピヤノ・デュオの話題を書くはずだったのだが、今夜はこの話題で打ち止めだ。

オレたちの木陰を返せ!



...... 2004年 8月 04日 の日記 ......
■[ NO. 317 ]
微熱
晴れ。

微熱が続く。喉も痛い。だけど、多忙なため休めない。疲労が溜まっているらしく、出勤の電車で眠り込んだら、2駅も寝過ごしてしまった。

ほとんど沈没状態である。


...... 2004年 8月 05日 の日記 ......
■[ NO. 318 ]
全滅
晴れ。

どうにも体調が、いまひとつ。あまりよろしくない状態だ。

近所の公園にあるスズカケの樹。市の受託業者が一所懸命に働いて下さったおかげで、全部丸坊主になった。もう、この小さな公園には木陰などない。

ウェーベルンの初期の作で「夏風の中で〜大管弦楽のための牧歌」というのがあるが、これは緑の香りをいっぱいに含んだ風の中に置かれた身(こころ)を描写したものだろう。

確かに、小さな公園にも夏風は吹いている。しかし、緑の香りもせず、ただ単なる熱風だ。全然心地よくない。この伐採、やはり近所の評判はよろしくないらしい。「いつもお喋りする爺さんが、“何で枝を落としてしまったんだ。秋まで待てばいいのに”と文句を言っていたよ」と妻。

妻が市の公園緑地課に出した「怒メール」、もちろん何の返事もない。予想はしていたが、本当に市民をバカにしている自治体である。皆様がお住まいの自治体は如何だろうか?

ワシらの木陰を返せ!



...... 2004年 8月 06日 の日記 ......
■[ NO. 319 ]
ローレライ
晴れ。

久々に長編小説を読み終えた。元来、読書は大好きである。それがここ数年、いろいろあって、本に手が出なかった。「読みたい書籍」は大量にあって、その一部(例えば高嶋哲夫先生の御著書すべて)は購入して書架に収めてあったのだが、さらにその一部を除いて読む気力が起きなかった。

購入しながら未読の書籍のひとつに、福井晴敏氏「終戦のローレライ」があった。元々映画の原作とすべく書かれたものだ。購入した本人が読む前に妻が手にとって「これは面白いよ」。と言うだけならまだ良いが、ストーリーをぺらぺら喋ろうとする。折角買った本なのに、中身をバラされてはたまらない。急いで読み出した次第である。

ただ、読書ができるのは通勤途中の電車内だけ。そして2段組みで1000ページを超える本なので、ずいぶんと時間がかかってしまった。それでも何とか読み終えた。

映画化を前提として書かれたものであるためか、描写が映像的で分かりやすいし、迫力もある。何よりストーリーが面白い。これからお読みになられる方もいらっしゃると思うので「ネタばらし」はしないが、サスペンス好きにはもってこいの本である。時代考証もかなりしっかりしている。そして、最後は泣ける点がいい。

ただひとつ不満なのは、考え方によっては致命的な欠陥があるのだ。まあ、フィクションなのだから硬いことは言わないが、ストーリー展開上でかなり重要なポイントなので、最後まで引っかかった。その1点だけかな、不満は。

で、何が不満かって? これを話したら、重大な「ネタばらし」になってしまうので控えておこう。あえてちょっとだけ言えば、ストーリーの中で出てくる「歌」に関してである。

さて、勢いのついたところで、高嶋先生の御著書で未読のものに手をつけるかな。8月末には新しい本が(それも地震の話だそうだ。タイトルは「M-8」。みなさんも買ってね!)が出るので、それまでにみんな読んでおこう。


...... 2004年 8月 07日 の日記 ......
■[ NO. 320 ]
立秋
曇り。場所によってかなり強い雨。

立秋である。暑いとは言え、もうその盛りは過ぎたことを感じる。体調は例によっていまひとつだが・・・。

頭に来ることがあった。・・・というより現在まで継続している。どこかの悪い奴が、拙者のメールアドレスを踏み台にして、酷いスパム・メール(大概、スパム・メールは酷いものだが)をばら撒いているらしいことが分かった。この種のメールは、手当たり次第にばらまかれるものだが、中には「今は存在しないメール・アドレス」もある。するとそのアドレス宛のメールは、リターン・パスを辿って発信者のところへ「警告メール」として戻って来る。

そう、昨日あたりから、出した覚えのないメールの「リターン」が、続々と返ってきているのだ。あっという間にメールボックスがいっぱいになってしまう。そのリターン・メールを読むと、発信者は拙者、リターン・パスの拙者になっている。非常に不愉快だし、気持ちも悪い。全然知らない方に、拙者のアドレスでいやらしいメールを送る付けられるなんておぞましい限りだ。それだけで十分実害だと思うのに、リターン・メールが続々来たのでは鬱陶しくてやってられない。何とか対策はないものだろうか。

さて、今日はちょっと買い物があって、車で30分ほどのところにある大きなホームセンターに行ったのだ。目的のものを購入し、ペット関係の売場に行ったら、見つけてしまったのだ。これを。

結構な大きさである。座高(?)が45cmもある。
物差し代わりに「Thnk Pad」(B5版)を置いたので
だいたいの大きさがお分かりいただけるだろう。
まあ、拙宅には、さらに巨大な“人”もいるが…


妻に呆れれらながら、腕に抱えて車に乗り込んだ。拙者、どうもこの手のものを見つけると、欲しくなってしまうのだ。本当はもう1匹、小さいのを買いたかったのだが、さすがに妻に止められた。


...... 2004年 8月 08日 の日記 ......
■[ NO. 321 ]
無惨かな
晴れ。抜けるような青空。

連弾庵には、ちいさなテラスがある。そこに妻がちょっとばかり植物を育成している。水やりのうち、日に1回はお米のとぎ汁を撒いている。とぎ汁には、若干のお米の粒が混じっているのだが、最近、これを目当てに小鳥たちがテラスに来るようになった。本格的な餌台を作ったら、それはたくさん来ることだろう。ちょっと楽しいので、それも考えている。

さて、先日、近所の小さな公園で、スズカケの樹が丸裸になったことを書いた。今日は、どれほど凄い状態になったのかをお見せしよう。これだ。

丸裸になった、スズカケの樹。
8月1日の「日記」と比べて下さい。


8月1日の「日記」を併せてご覧頂きたい。いちばん最初の写真と、ほぼ同じアングルで撮影したものである。比較すると、いかに凄まじいものかがお分かりいただけるだろう。子供たちが遊んでいた砂場や滑り台、シーソーにも日陰はない。ワンワンたちが疾呼をしていた下草のあたりにも日陰はない。会う人、会う人、みんなが怒っている。

市民のことを考えない、何とも情けない行政だ。

ぐぇ、暑い。木陰はどこじゃ!



...... 2004年 8月 09日 の日記 ......
■[ NO. 322 ]
我々はニセモノを聴いているのか?
晴れ。暑さは続く。

あるサイトを見ていて、気になる記述があった。ある音楽関係者が、こんな発言をしてるというのだ。

「やはり,ああいうオケ(ウイーン・フィルハーモニーのこと)はあちらのホールで聴かないとねぇ。ホール自体が1つの楽器ですからね」

確かに、ホール自体が1つの楽器である、という意見には頷ける。ただウイーン・フィルを聴くのに「あちらのホール」へ行かなければならないかどうかは疑問だ。ま、「あちらのホール」といっても、ウイーン・フィルは地元ホールとして、メインのムジークフェラインザールのほかコンツェルトハウスでも演奏しているので、どっちのことか分からないが。ちなみにこの2つのホールでは音響関係が全然異なるため、同じオーケストラが同じ曲を同じ状態で演奏しても、全然違ったように聞こえるのだが。

どうも、この発言者の思想的背後にあるのは「ウイーン・フィルならウイーン以外で聴いてもダメよ」ということらしい(そうとしか受け取れない)。

何と、人を見下した発言だろう。まず、ウイーン以外の聴き手を見下している。この方に言わせれば、東京あたりで聴くウイーン・フィルは本物ではないのだろう。東京や大阪あたりでウイーン・フィルを有り難がって聴いている輩は外道なのであろう。そうか、拙者たちも外道なのか。いや、その発言を素直に受け取れば、東京はもとより、パリやロンドン、ニューヨークあたりの聴衆も外道ということになる。ちなみに今年のルツェルン音楽祭では、ゲルギエフ指揮ウイーン・フィルの演奏が、ひとつの目玉になっている。そうか、ルツェルンの聴衆も外道なんだな。ウイーン以外の人は、み〜んなニセモノのウイーン・フィルを聴いているんだな。そう言っているに等しい。

悪かったな、東京あたりでウイーン・フィルを聴いて。

この発言をした人は、自分では無意識のうちに世界中の聴衆をバカにして見下し、外道扱いにしているのだ。しかも御自身では、それにお気づきではないらしい。この方は、地元でも入手が難しいウイーン・フィルの地元コンサートのチケットを、コネ・ルートで自在に入手できるとのこと。ま、そうした特権階級の方でもなければ、こうした発言はできないだろう。

せっかく世界中の人が、自分の街でウイーン・フィルを聴くことを楽しみにしているのに、それを踏みにじる発言を“気楽に”するのだ。拙者、難しいことは分からない。でも、音楽を聴いて、それで楽しめ満足できればいいではないか。

それから、もう1つ。この発言はウイーン・フィルに対しても大変な失礼である。「本拠地でなければ、その実力や神髄を聴衆に伝えられない」といっていることに等しいからだ。演奏者が、この発言を聞いたら怒るだろう。「そうか、あんたに言わせれば、オレ達はホールの力を借りて演奏しているんだな」と。

ウイーン・フィルも、ベルリン・フィルも、ロンドン交響楽団も、みんな地元で聴かなければ、本物ではないのかな? 我々は「ニセモノ」を聴かされているのだろうか。(怒)


...... 2004年 8月 10日 の日記 ......
■[ NO. 323 ]
さあ、どうする?
晴れ。暑さはさらに続く。

暑さは、体力を消耗させるだけでなく、人の頭をバカにする。暑いと頭まで疲れてくる。こんなときにオンライン・ショッピングなどしたら、いくら拙者のように解脱した者でも、物欲が頭を擡げて、とんでもないことになる。

そんな折、「こんなサイト」を見つけた。うーん、拙者の物欲に火を付けるわ。

おっと、「大の大人がクマさんなんて、バッカみたい」などと仰らないで頂きたい。日本でも分かっていらっしゃるかたはいるのだが、欧米では「クマさんコレクション」は、大人の楽しみなのである。著名人が持っていたクマさんは、博物館に飾られるくらいである。ま、拙者のような小物が持っていてもプレミアムは付くまい。

それは分かっているのだけど、拙者は少しづつ縫いぐるみを集めるのが趣味だ。

でも妻は言う。「あなたが死んだら、この子たち、どうするの?」。さあ、どうしよう?拙者の生まれたときから一緒にいてボロボロになった1体は拙者の棺に入れてもらうとして、後の子たち。日本に3体しかないレア物の子もあるので、まとめてどこかの「おもちゃ博物館」か「縫いぐるみ博物館」に引き取って頂いて、保存して頂けたら嬉しいな。捨てられたり焼かれたりしたら、やっぱり可哀想だから。


...... 2004年 8月 11日 の日記 ......
■[ NO. 324 ]
通常勤務
晴れ。暑さはまだ続く。

日本はお盆休みである。多くの企業でも休みになり、官庁でもお休みを取る方が多い。ただ、こんな日本でも外資系企業や運輸・通信・金融、そしてそれをサポートするコンピュータ関係、加えて拙者たちメディアにも休みがない。

まあ、お盆休みは何処へ行っても混むから、とりわけ休みを取ろうとは思わないけど。

以前なら、夏休みを10月とか11月、凄いときには12月にも取った。これはこれで楽しいのだけど、昨今の状況で、こうしたことは許されなくなってきた。何とも淋しい次第である。

休息が欲しい…。


...... 2004年 8月 12日 の日記 ......
■[ NO. 325 ]
記録は続くよ、どこまでも
晴れ。暑さは相変わらずだ。

今日で東京の「真夏日」が連続38日になった。真夏日というのは、最高気温が摂氏30度を超えた日のことである。この38日連続というのは、気象庁によれば、東京での新記録だそうだ。これまでの記録は、1995年の37日、さらにその前は1933年の30日である。今回の記録、いったいいつまでのびるのだろうか? 楽しみな反面、この暑さには参る。早く涼しくなってくれないかなぁ。

月刊誌「音楽現代」の9月号が出来てきた。今回の号の特集は「ピヤノ・デュオ」である。一般の音楽雑誌で、ピヤノ・デュオが取り上げられるのは、とても嬉しい。しかも37ページを使っての大特集だ。まだこの分野に興味をお持ちでない方が、この特集をお読みになって、少しでもピヤノ・デュオに関心を持っていただけたらいいな、と思う。そんな思いを込めて、拙者もちょっとだけ協力させていただいた。大勢の方に読んで頂けたら嬉しい。
お日様は好きだけど、暑いのはかなわんよ!



...... 2004年 8月 13日 の日記 ......
■[ NO. 326 ]
文章を書くということ
晴れ。東京の真夏日は、今日で連続39日になった。

13日の金曜日でもあるが、何事もなかった。ただ働いていただけである。

夕刻から「音楽現代9月号」の関係者有志(といっても、我々を含めて4人だが)で集まって呑んだ。これは楽しい時間だった。音楽関係のいろいろな話題が出る。そのひとつが、拙者の日記だ。日記の内容にもいろいろあるが、さらに直近では8月9日に書いた「我々はニセモノを聴いているのか?」が話題に上る。けっこう皆さん、しっかり読んで下さっているようだ。

で帰宅して、その元ネタとなったサイト、どうなっているか見に行った。ある程度予想はしてあったが、徹底した拙者への人格攻撃とジャーナリストとしての資質を徹底的にこき下ろすメッセージが書かれていた。

まあ、拙者を攻撃するのはどうでもいいけれど、物を書いて発表する以上、自分の書いたことに対しては責任を持つべきだろう。書くからには、読み手がどう受け取るのか、きちんと考えて書くのが普通だ。拙者などは日常業務で何十万人という読者の方を対象に文章を発信している。そこで考慮しなければならないのは、その何十万人かの方に誤解を持たせないよう、また書き手の意図が正確に伝わるよう日々努力し、精進している。

そう、文章は一度発信してしまえば、読者の解釈に委ねられるからである。発信された文章は、もう書き手だけのものではない。読者のものでもあるのだ。文章を書く以上、それなりの責任があるのだ。

もっとも拙者だって、いつも完全な文章を書くわけではない。時には失敗もする。そうしたら、きちんと訂正し、必要があればきちんと謝罪する。

拙者は先の日記を、その文章から受け取ったまま書いたまで。責められるべきは、そういう受け取り方をされる文章や、その筆力・内容であろう。それを当方への攻撃(まあ、攻撃は最大の防御なり、だが)と自己弁護に徹するとは如何なものだろうか。

そのサイトは、大変に示唆に富むメッセージがたくさん掲載されており、拙者も楽しみに読んでいた。筆者の鋭い視線や取り上げるテーマについても感心していた。書き手の方も立派な音楽家として尊敬していた。それだけに、今回の一件はいかにも残念なことである。

そのサイトはどこかって? 残念ながらご紹介できない。以前この「日記」で、「非常に鋭い視点の興味深いサイト」として紹介したところ、筆者ご本人から「リンクなどしないでほしい。即座に外すように」という強烈な抗議を頂いたためである。

【追記】8月13日時点で、そのサイトは閉鎖された。

パグ犬もお魚も一緒だ。
お日様を浴びた後は「開き」になるのじゃっ!



...... 2004年 8月 14日 の日記 ......
■[ NO. 327 ]
楽しい集まり
晴れ。今日も「真夏日」。これで東京は40日連続だ。記録はどこまで伸びるかな?

先週、パリの楽譜屋さん「di-arezzo」のMutoさんから、「ご注文の楽譜を送りました。マスネの2冊だけはなかなか入ってこなかったので、入荷した分だけ送ります」とのメールを頂いた。その楽譜が今日到着。全部連弾で、内訳は…

・フォーレ:マスクとベルガマスク(作曲者自編)
・サン=サーンス:子守歌(連弾オリジナル)
・ケックラン:組曲 Op.19(連弾オリジナル)
・ウィドール:交響曲第1番(作曲者自編)
・フェルー:交響曲(作曲者自編)
・イベール:レディング牢獄のバラード(作曲者自編)
・デュパルク:星たちに(作曲者自編)
・アンゲルブレシュト:春のラプソディ(作曲者自編)

フォーレからケックランまでは、まだメジャー系だが、それ以外は完全に「ヲタク・エリア」である。もう妻は慣れたのか、「こんなもの買って、どうするのよ」とは言わない。ただ呆れているだけである。

到着したばかりなので、ほとんど目を通していないが、デュパルクの「星たちに」が意外と素敵。とても綺麗な音がする。とても拙者に全部弾けるとは思えないが、このデュパルクやサン=サーンスの「子守歌」(これがまた良い曲だ)あたりから挑戦してみようと思う。妻も「“星たちに”は、綺麗な曲だね」と言っていた。

夕方からは、またまた暑気払い。

今日は、乗馬クラブOB会の集まりだ。以前にもこちらに書いたが、このクラブのOBは結束が強く、半年に1度は会って呑んでいる。今回は拙者の発案で、スッポンのフルコースである。

いつもだとスッポン、拙者夫婦は「鍋」しか食べない。というか食べられないのだ。スッポンを丸ごと1匹頂こうとすると、2人では無理。そのお店でも3名以上で注文を受け付けるのだ。今回は人数が揃ったので、ようやくスッポンのフルコースと相成った。

参加者でスッポンを丸ごと食べた者はいない。拙者は別に平気なのだが、妻も含め、みんなおっかなびっくりだ。だけど、最初の「煮凝り」から、みんなで「これは旨いね」。思わず箸が進んだ。

音楽もそうだけど、こうした集まりは楽しい。お互いまったく仕事も違うし、利害関係もない。楽しいお喋りに徹することができる。これは貴重だし、嬉しいことだ。今日も2時間半、たっぷりお喋りして散会である。
馬場馬術の得意な田口さん。
今は、別のクラブで活躍している。



...... 2004年 8月 15日 の日記 ......
■[ NO. 328 ]
記録はストップ
雨のち曇り。

ついに記録が途切れた。東京・大手町の最高気温は摂氏28.5度。真夏日でなくなった。東京都心の真夏日記録は40日でストップだ。

連弾庵の回りでは、最高気温が昨日を10度以上下回った。肌寒いくらいである。涼しいのはいいのだが、ここまで急激に気温が変化すると、からだがついていかない。もうガタガタになりそうだ。

今日は「完全休業日」。外出の用事といったら、妻の実家に「お盆のご挨拶」に行くくらいなものである。極めて静かな1日。

そう、今日は59回目の終戦記念日だ。あの戦争で亡くなった方々に思いを馳せる。2004年の現在、世界大戦こそ無くなったが、いまでも世界のあちこちで戦争は終わらない。まあ、主義主張の違う人たちがいて、お互いを理解できないのだから、こうした悲惨な戦いは今後も続くだろう。拙者に言わせれば、この世界からテロも含め戦争など絶対になくならないと思う。ただ、少しだけでも、減ればいい。むなしい願いであろうか。

さて、妻がこんなシャツをみつけて、買ってくれた。

「ブルドッグ」と称して売っていたシャツ
ワンワンの絵がたるまないようにして前方に
引っ張っているので、実際にはキツキツではない


ネットで見つけたのだが、何と「ブルドッグのシャツです」って売っていた。どこがブルドッグじゃ?? ちょっと目つきは悪いけど、完全にパグ犬である。こういうシャツ、着ていて何となく楽しくなるね。パグ犬は背中にあるので着ている自分では見えないのだけども。ちょっと派手かな?


...... 2004年 8月 16日 の日記 ......
■[ NO. 329 ]
ある再会
晴れ。

世の中は、お盆休み明けである。まだそんなに忙しくないのが幸いだ。

午前中、約4カ月ぶりに、ある少年と会う。彼は高校3年で大学受験の真っ最中。激励も兼ねてささやかな昼食会。会うなり、彼が相当に疲労しているのが分かる。聞けば1学期は8月11日まであり、12〜15日が予備校の夏期講習。今年に入ってから、休みらしい休みはほとんどないという。それでは疲れるはずだ。さらに18日には2学期の始業式があるらしい(!) 「さすがに、ちょっと休みたいよ」と彼。そうなると、もう「頑張れ」とは言えない。「健康だけには気を付けろ」と言うのが精一杯だ。

彼と別れた午後は、仕事を一気に片づける。

友人の「のりこちゃん」から、プッチーニ「ラ・ボエーム」の楽譜に関して問い合わせあり。彼女はコレペティトルをやっているのだが、「ラ・ボエーム」をもう一度勉強し直したいとのこと。イタリアのリコルディ社からヴォーカル・スコアが何種類か出ているのは分かったが、どこがどう違うのか分からない、一緒に調べてほしいとのこと。途中まで調べたのだが、あまり正確なところは分からない。ある程度までやって、沈没だ。


...... 2004年 8月 17日 の日記 ......
■[ NO. 330 ]
嬉しい感想
曇り、のち雨。

蒸し暑い。猛烈に蒸し暑い。この湿気がからだに堪える。

当初の予定では夕方から友人「宇宙の風」氏と「納涼会」をやるはずだった。そのため午後の早い時刻までに、一気に仕事を片づける。拙者が某誌に書いている「連載エッセイ」のネタ拾いや、集めた原稿の整理・査読。おかげで仕事に区切りがついて昼食となったのが14時過ぎである。

ところが、宇宙の風から電話。「納涼会の開始時刻を遅らせてもらえないか」。普段だったら「OK」の拙者だが、帰宅時刻をあまり遅くしたくなかったし、呑むならゆっくり呑みたかったので、急遽中止とする。

おかげで夕方(というより夜か。拙者の「夕方」とは18:00〜22:00くらいのこと)の予定がぽっかり空いたので、異様に早い時刻に帰宅。

折角なので、「宿題」になっていた「ラ・ボエーム」の楽譜について調べる。一通りのことを把握して「のりこちゃん」にメール。

そうそう、「音楽現代9月号」の感想が、ぼちぼち入り出す。新進作曲家でピヤニストの「加藤真一郎さん」からは「三善先生のインタビュー、大変に面白かったですよ」とお褒めの言葉を頂く。インタビューがとても楽しく充実していただけに、こうした感想を頂けると、嬉しいものがある。

・・・というわけで沈没だ。


...... 2004年 8月 18日 の日記 ......
■[ NO. 331 ]
沈没
晴れ。

朝、目が覚めると、猛烈にからだがだるい。関節も痛いし、熱もある。どうやら、暑さ負けしてしまったようだ。これまでの疲労が一気に出たのかも知れない。何とか起きあがろうとしたが、どうにもならない。

今日は取材もないので、急遽自宅作業に切り替える。どうしてもやらなければならないことだけやって、あとはぐっすり眠る。

思い切り眠ったら、だいぶ元気になってきた。もう明日は大丈夫だろう。今夜は安らかに沈没しよう。


...... 2004年 8月 19日 の日記 ......
■[ NO. 332 ]
ペール・ギュント
晴れ。熱風が吹き荒れる。

帰宅途中、最寄り駅のところに停めて置いた自転車のところまで来たら、哀れにも「かずみ2号」(注:1号は先日「廃車」になった)が他の自転車と共に横転していた。何台かの自転車のハンドルなどが、「かずみ2号」のスポークに絡まっている。引き離すのに苦労した。

さて、いきなりだが「ペール・ギュント」である。普段一般に良く聴くのは、元々の劇音楽(Op.23)から抜粋した「第1組曲(Op.46)」と「第2組曲(Op.55)」である。これら2つの組曲は、いずれも連弾版が作曲者の手によって作られていて、広く流布しているし様々な場所で演奏もされる。実は、これとは別に、原曲の劇音楽を連弾にした版があるのだ。全曲ではないが、CDも出ている。「これは何としても楽譜を見てみたい。全曲のうちどの程度を連弾でカバーしているのかしら」と思っていた。

そうしたら半年ほど前、「C.F.Peters」の「グリーグ全集・第6巻」に、それらしいものが収録されていることが分かった。

この第6巻には、「ペール・ギュント」と「十字軍の王シーグル」、2つの劇音楽と、そこから抜粋されたそれぞれの組曲の連弾版が収録されている。これは面白そうだ。

機会を見て買おうかな・・・と思っていた。で、先日来、デュオ・ピヤニストでコレペティトルもやっている「のりこちゃん」が、拙者のお薦めサイト「musia.com」でRicordi版「プッチーニ:ラ・ボエーム」のピヤノ伴奏ヴォーカル・スコア(ハードカヴァー)を購入したいと言っている。そこで拙者、「仲良く共同購入にして、送料を浮かせましょう」と提案。楽譜が安く早く手にはいるので、のりこちゃんも快諾。ほとんど生活協同組合のノリである。

・・・と、そこまでは良かったのだが、C.F.Petersのサイトをウロウロしていたら、20世紀物の楽譜が、大量に増刷になったことを知ってしまった。いろいろ調べたらあるではないか。前から欲しくて品切れになっていた黛敏郎センセイの「涅槃交響曲」のスコアが! 「買ってどうする?」の類のものだが、好きな曲の楽譜はやっぱり欲しい。思わずmusia.comで発注してしまった。その他にも変な楽譜(連弾)を2点。楽譜が到着したときの、妻の呆れる顔が目に見えるようだ。しかもこりゃ、送料折半というわけにも行かないな。

何はともあれ、「グリーグ全集・第6巻」が届いたらサイトでその内容を紹介したい。


...... 2004年 8月 20日 の日記 ......
■[ NO. 333 ]
ああ、無情
晴れ。まずまずの体調。

夕方から、「暑気払い」の第3弾。今日のお相手は、新進作曲家でピヤニストでもある「加藤真一郎」さん。2月に呑んで以来、半年ぶりである。

加藤さんは大変に博識で、話も面白い。オーケストラの音色やデュオを続けて行く上での問題点など、豊富な話題で3時間があっという間に過ぎた。とても爽やかな好青年で、こうした友人がいるのは、とても良い刺激になる。有り難いことだ。彼がデュオを続けて行く上で、お手伝いできることがあれば、可能な限りいたしましょう、とお約束して別れた。加藤さんのような若い才能を応援できるなんて、とても嬉しいことである。その意味でも幸せな拙者だ。

大して量は呑んでいなかった---2人で焼酎ボトル(720mm)1本、2合のお銚子3本、それぞれ生ビールとレモンサワーを各自1杯づつ---のだけど、何だか眠くなってしまい、寝過ごしたりすると危険なので、タクシー帰宅。最寄り駅に「かずみ2号」を停めておいたので、そこから自転車。連弾庵の駐車場まで何とか乗ってきたが、着いた途端にバランスを崩して、派手に転けた。猛烈に痛かった。呑んで自転車で転けたのは、これが初めてである。

さて、帰宅してパソコンを立ち上げたら、「musia.com」からメール。何と、楽しみにしていた黛敏郎先生「涅槃交響曲」のスコアはレンタル専用とのこと。売ってくれないそうだ。「C.F.Peters」のサイトには「セールス・カタログ」のコーナーに記載されていたし、「musia.com」では値段を付けて売っていた。うーん、残念。

それだけではない。昨日の日記で紹介した、Peters「グリーグ全集第6巻」。「絶版です。ごめんなさいね」。これだってとても楽しみにしていたのに。ちゃんとPetersのサイトで現役であることを確認した上で、musia.comに注文したのに。せっかく、こちらで中身を紹介しようと思っていただけに、残念である。それに「ペールギュント」が全曲だったら、連弾で是非弾いてみたい曲があったから。ああ、無情。

海外に楽譜を発注すると、安くて早く手元に届くのだが、時折こういうことがある。ま、仕方ないか。


...... 2004年 8月 21日 の日記 ......
■[ NO. 334 ]
今日も暑気払い
晴れ。今日も体調良し。

フランスの楽譜販売サイト「di-arezzo」の日本語担当・Mutoさんからメール。「日本語でも楽譜の注文ができるように、サイトをバージョンアップしています。日本語ページを仮オープンしました。まだまだですが、どうぞご覧になって下さい」とのこと。サイトへ行ってみると、日本語ページが仮オープンしていた。サイトの全部ではなくても、ここまで日本語化すれば、英語やフランス語の苦手な方にでも楽しく閲覧して頂けるだろう。

夕方から、暑気払いの第4弾。出席者は松永晴紀先生、松永先生の「ピアノ・デュオ作品事典」の編集担当・春秋社の近藤さん、ピヤニストの豊岡正幸さん、それに拙者たち夫婦の計5名。近藤さんも大学では音楽を専攻されていらっしゃっているので、当然ながらさまざまお詳しい。デュオ談義を延々3時間以上もしてしまった。これがまた楽しいのである。時間なんて、あっという間に過ぎてしまう。「もう1杯呑んだら、帰ろうよ」と拙者が言うと、妻が「いったいさっきから、何回同じことを言ってるのよ」と、「引き上げ宣言」を出してお開きだ。

そうそう、妻は先日聴いた「ストラヴィンスキー:結婚」が、余程お気に召さなかったらしい。「誰か、ピヤノを6台くらい使って“離婚”という曲でも書いたら、いいわ。かずみ、加藤真一郎さんに書かせて見たら?」。何てこと言うのだろう。まあ、発想としてはある意味面白いのだが。テキストは離婚裁判の訴状や答弁書、判決文だったりして。ははは。

それから8月28日にサントリー(小ホール)で、2台ピヤノのコンサートがある。プログラムは、ブーレーズ:構造I&II、リゲティ:3つの小品、ストラヴィンスキー:春の祭典。松永先生が「一緒に行きましょう」とお誘い下さったのだが、「ゲンダイオンガクはヤダ」と妻。面白そうなプログラムなのになぁ。


...... 2004年 8月 22日 の日記 ......
■[ NO. 335 ]
秋がそこまで
晴れ、時々曇り。

1日中、猛烈に眠かった。完全休養日である。午後、ちょっとだけピヤノを弾いて遊ぶ。この前買った、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」やデュパルク「星たちに」、それにチャイコフスキ「眠れる森の美女」などの連弾を、ちょこちょこ弾いて見る。目の調子がますます悪いので楽譜を見るのは辛いが、なかなか楽しい。

午後、お買い物の後、ぱぐたちの散歩。見上げたら、空が秋の色になっていた。ツクツク法師の声も聞こえる。アブラゼミの声は、どこか淋しげ。もう「夏」もさようならなのだろうか。




...... 2004年 8月 23日 の日記 ......
■[ NO. 336 ]
雨に歌えば
曇り、のち雨。

当てにしていないときほど、当たる。宝くじのことではない。気象庁の天気予報だ。拙者、立場上、気象庁の味方である。天気予報が当たらなくても、目くじらを立てたりはしない。当たらなくても、それなりの理由があるからだ。

今朝方、家を出るとき、「自転車にしようかな、それともバスにしようかな」と迷っていたら、「連弾庵の首領様」が「天気予報なんて、当てにならないよ。雨なんか降らないから自転車で行きなよ」。

そう言うときに限って、予報はズバリ当たる。駅から連弾庵まで、ずぶ濡れになって帰ってきた拙者である。おっと、これは誰が悪いわけでもない。気象庁は正しい予報をしたわけだし、「首領様」も悪気があって予報を否定したわけではないのだ。悪いのは拙者である。

晩夏の雨。いいじゃないか。雨に歌えば。

本サイトの「今週の1枚」を更新したいのだが、ちょっと今日は無理そうだ。午前1時まで仕事をして、沈没だ。


...... 2004年 8月 24日 の日記 ......
■[ NO. 337 ]
素敵なプレゼント
晴れ。のち曇り。

午前中は気持ちの良い陽気だったのに、午後になって曇って、しかも湿ってヤな気候になってきた。

最近ハマっているサイトがある。別に怪しいところではない。「国民生活センター」という政府関連機関のサイトだ。これは、面白い。リコール報告だの、悪徳商法対応だの、生活に役立つことが盛りだくさんなのだ。

ここは無料のメールマガジンを出している。これがまた面白い。何が面白いって、「世の中にリコールって、こんなにあるんだな」って教えてくれる。ほとんど毎日のように、欠陥製品の回収だの無償修理だのの情報が入ってくる。それも身近な電気製品や食料品などが大半なので、読んでいて実感が湧く。ここのメルマガは購読して損はないだろう。もしかしたら、あなたの購入した製品のことが出ているかも知れない。

拙者もメルマガはいろいろ購読しているが、ここは実用的で、かつ面白いのでお薦めだ。

今日は当サイト読者の方から、それは素敵なプレゼントを頂いた。スメタナの2台8手と4台16手の作品を収録したCDと、もう絶版になって入手がほとんど不可能なフィビヒの連弾曲「バガテル」の楽譜である。ずっと以前、ちょっとした資料を差し上げたことがあって、拙者はすっかりそのことを忘れていたのだが、その方はしっかり覚えていて下さった。

拙者は別に何かの見返りを期待して資料を差し上げたわけではない。でも、何年も経ってから「こんな面白い物が入手できました」と、お気遣い頂いたのには感激した。

サイトを運営していると、いろいろな出会いがあるものである。


...... 2004年 8月 25日 の日記 ......
■[ NO. 338 ]
純愛小説
曇り。

偉大なる首領様であらせられるところの妻と「今、何を読んだら面白いか」という話をしていた。「純愛小説が流行っているんだよ」と拙者。「“世界の中心で愛を叫ぶ”とかでしょ」(妻)。「それもあるけど、根強い人気を保っているのが“いま会いにゆきます”だ」。「あ、それ、知らない」。「部数では負けてるけど、どうやら“セカチュー”をしのぐ人気らしい。拙者はどっちも読んでいないけど、セカチューよりイマアイの方に興味が行くね」。

しばらく喋っていたところ、首領様が「セカチューって、どのくらい売れたのかな?」。どうやら知らないらしい。「これはね、300万部以上も売れたんだ。単行本としては国内では最高記録なんだよ」。

「300万部かぁ・・・。いったいいくら儲かるのだろう?」。「定価が1470円だから、契約にもよるけど、だいたい10%が印税で入って来ると考えていい。1冊150円だ。それが300万部だから、約4億5000万円だよ」。

「かずみ、やろう!」。「何を?」。「経済記者なんか辞めて、純愛小説作家になるのだ。大儲けして、住宅ローンを一気に返済、老後は楽々だ」。あれあれ。「あのねぇ、この分野は、競争相手が大勢いるの。余程のことがないと当たらないよ。仮に良い物ができても、編集者の目に留まって、その編集者が実力者でなければダメなの。宝くじ買ってる方が、はるかに安全だよ」。「そうか・・・」。

拙者だって、純愛小説、書いてみたい。でも、イマジネーションが欠如しているからなぁ。どうしてもありきたりのものになりそうだ。ノンフィクションならまだしも、フィクションでは、そちらの才能はないに等しいと言っていい。ま、大儲けは無理である。


...... 2004年 8月 26日 の日記 ......
■[ NO. 339 ]
続・純愛小説
曇り。雨が降りそうで降らない。

昨日、妻と「儲け話」をしていたが、「純愛小説など書けない」という拙者に対して妻は「ピアノ・デュオを素材にすれば、純愛小説などいくらでも書ける。優秀な編集者? 春秋社の近藤さんがいらっしゃるじゃない。彼女に頼んで、出してもらうのだぁ!」。もう、無茶苦茶である。あの春秋社が純愛小説など、出すわけないではないか。自費出版なら別だけど。でも自費出版はヤダよ。

ちなみに先般からの「日記」で妻のことを「首領さま」と書いたところ、彼女は大変にお怒りだ。「まるで連弾庵が、どこぞの独裁国家みたいじゃない。書くなら単に“妻”でよい」。・・・といって拙者をぶった。ぶたなくてもいいのに。

ピヤノ・デュオを素材にした純愛小説・・・まあ、考えられなくもないが、拙者が書くと、どうもありきたりになってしまう気がする。

実は拙者、純愛小説を書きかけたことがあった。取材も終わっている。でも、ディテールの書き込みが弱い。それに、登場人物が順番に全員不幸になっていくので、書いていた当時の心境も合わせて、途中で筆を折った。もう、このネタでは書く気がしない。このネタ、誰かに差し上げてもいいな。
ちょっと暑いが、秋風を感じるぜ!


...... 2004年 8月 27日 の日記 ......
■[ NO. 340 ]
スパイウエア
曇り。蒸し暑い。

このところ、自宅で使っている3台のパソコンが挙動不審だ。いきなりディスクがカラカラ回りだしたり、全然関係ないウインドウが開いたりする。家庭内乱、もとい家庭内LANではルーターとファイアウオールを使っているし、ウイルス対策ソフトも常駐している。これなら変なモノは入ってこないかな・・・と思ったら油断大敵。「スパイウエア」というのがあるのだ。

たまたま「日経パソコン」という雑誌の最新号(8月30日号)を読んでいたら、この手のことが出ていた。ちょっとしたことでスパイウエアはパソコンに忍び込むのだそうである。

そもそもスパイウエアとは、何か。広義に言えば「パソコンから情報を抜き取り、それを勝手に外部に送り出すソフトウエア」のことである。たいして実害のないものから、メール・ソフトに記録された通信履歴などを持ち出すような悪質なものまで千差万別だ。勝手にどこかのサイトから情報を送り込み、ウインドウを開いて何かを表示するものもある。まあ、何となく気持ちの悪いものだ。

そこで、スパイウエアを退治するソフトをインストールしてみることにした。拙者が使ったのは日経パソコンで紹介していた、アイルランドの「セイファー・ネットワーキング」というところが開発した「Spybot」というソフトだ。

ソフトをインストールして起動させたら・・・出るわ、出るわ。拙者がメインに使っているデスクトップ機からは20個、8カ月前に買ったばかりのノート機からは何と50個も検出された。妻が使っているノート機からも18個が出てきた。パソコンのセキュリティには注意をしていたが、まさかこんなに入っているとは思わなかった。もちろん即座に全部「退治」したことは言うまでもない。

いやはや、何とも気持ちの悪いことである。拙者のところですら、この始末。皆さんのパソコンにもいるかもよ、スパイウエア。


...... 2004年 8月 28日 の日記 ......
■[ NO. 341 ]
M8(エムエイト)
朝から霧雨。1日中湿ってる。

今日はサントリーホール(小)で、とても興味深いピヤノ・デュオの演奏会があったのだが、仕事をしているうちにすっかり忘れ、行きそびれてしまった。事前にチケットを買っておけばきっちり覚えていて行くし、妻がアラートを出してくれるから、そうしたことはないのだが。ところが今回は妻が「そんなプログラムじゃ行かない」とのたもうておったので、行くとすれば拙者1人。気が付けば、開演時間に間に合わなくなっていた、と言うわけだ。

高嶋哲夫先生の新作「M8(エムエイト)」(集英社)が発売された。「amazon.co.jp」でも扱い始めたので早速購入(これ)。高嶋先生から頂いたメールには「これは、愛と友情の物語です」とあった。

表題の「M8」は「マグニチュード8」の意味。東京を襲う巨大地震。これに、かつて阪神・淡路大震災ですべてを失った者たちが立ち向かうというストーリー。

高嶋先生は「人生には忘れられない瞬間があります。1995年1月17日、午前5時46分。6433人の命が失われ、数十倍、数百倍の人々の運命が狂わされる震災の始まりでした。十年が過ぎた現在でも、あの瞬間を背負って生き続けている人は数多くいます。これは、神戸に住む者として、科学を志した者として、作家として、ぜひ書いておかなければと思った小説です」とコメントしている。

これは期待できそうだ。高嶋先生の小説は、どれも期待を裏切らない。それに思い切り泣けるものがあるのが嬉しい。

これと一緒に市川拓司氏の「いま会いにゆきます」(小学館)も買ってしまった。これには訳がある。

拙者の「日記」を読んだある方から「配偶者さまは、あなたさまの作家転身を望んでいらっしゃるのですね」というメールを頂いた。これは違う。妻が「純愛小説を書け」と言っているのは、拙者が作家になることを望んでいるのではなく、「一発当てて大儲けして金持ちになる」ことを望んでいるだけだ。どうやら「世界の中心で愛を叫ぶ」が300万部も売れて、著者が大金持ちになった話をしたのがいけなかったらしい。

「流行の純愛小説を読んで、それを分析して、売れる方策を考えるのよ」(妻)。そんなわけで、1冊純愛物を・・・と「いま会いにゆきます」の購入になったわけだ。何だかなぁ。

これらと一緒に西岸良平氏の「鎌倉ものがたり21」も購入。拙者この漫画、全巻持っているのである。これを読むと鎌倉に住みたくなるから不思議だ。以前、連弾庵を新しくする際、候補に鎌倉も挙げたのだが、妻の反対と、地価がとても高くて買えないことが要因で諦めた経緯がある。鎌倉、街にリスなんかがフラフラしていて、楽しいところなのになぁ。・・・残念。


...... 2004年 8月 29日 の日記 ......
■[ NO. 342 ]
エディンバラのリスト
雨。気温は低いが湿度は高い。

リストの2台ピヤノ用の名作「悲愴協奏曲」に、2つの版があることは御存知だろうか。松永晴紀先生の「ピアノ・デュオ作品事典」の読者であれば、お気づきであろう。

ひとつは、最初から最後までリストのオリジナル。もうひとつは、末尾にハンス・フォン・ビューローが手を加えた版。現在一般に流布して、演奏・録音されるのは、後者の方だ。後者はG.Schirmerから楽譜が出ており容易に入手できるため、演奏される機会も多いのだろう。

ところがリストの完全オリジナル。最近まで目にすることは困難だった。その楽譜を出版したのが、The Hardie Pressという出版社だ。この本には、悲愴協奏曲・オリジナル版のほかに「メンデルスゾーンの無言歌の主題による大コンツェルト・シュトゥック」という、それは華麗な2台ピアノ曲が一緒に収録されている。この曲、リストとショパンが競演したという記録もある伝説の名曲だ。

松永先生によれば、160年以上も未出版だったのだが、The Hardie Pressというところが初めて公に出版した、いわば「秘曲」である。

入手したいと思ったのだが、どの楽譜販売サイトでも扱っていない。唯一、国内のある楽譜店が扱っていたが、価格を見て驚いた。1万6390円もする。おいそれと買える値段ではない。何とかならないか・・・と思ってThe Hardie Pressという出版社を当たることにした。

The Hardie Press。どこにある出版社かまったく分からなかった。最初は全然情報がなかったが、ググって、ググって、ググりまくるうち、ようやく見つけた。それが「ここ」。何とスコットランドはエディンバラにある、小さな出版社だった。「へえ、あの美しい街にある出版社なのか」と感慨にふけった拙者である。価格を調べたら、航空便での送料込みで約8000円だった。これなら今度、原稿料が入った時に買える。

ちなみに、サイトから直接注文できるのだが、SSL対応になったいないためクレジットカードの番号を入れるのは、ちょっと危険。ファクシミリで注文書を送るのが最適なようである。

それにしてもエディンバラ、素敵な街。もう一度、行ってみたいな。


...... 2004年 8月 30日 の日記 ......
■[ NO. 343 ]
瞼の裏の・・・
晴れ、時々曇り。深夜になって激しい雨。

連弾庵の回りを、台風の端っこが通り過ぎて行く。このため、さっきまで綺麗なお月様が出ていたと思ったら、夜半になって激しい雨と風。雷も凄い。幸い連弾庵に被害を与えることもない軽微なものだったが。被災された方には、こころからお見舞いを申し上げたい。

今夜は久しぶりに、夜の時間が「開放」となったので、「今週の1枚」を書こうと意気込んでいた。で、調べ物をしているうちにコンタクトレンズを入れた眼が、急にしょぼしょぼしてきた。「これはレンズを外して、眼鏡にしよう」と、まず右目から外した。これは何の問題もなかったのだが、左目を外そうとしたら、レンズが突然消え去った。

外れたようでもなし、眼は見えないし。ひょっとしたら、自然に外れて落ちたのかしら・・・と眼鏡をかけて慎重に探したのだけど、どこにもない。しかし左目の瞼の裏に異物感がある。ひょっとして・・・と鏡で見たけど分からない。試しに右目のレンズを左目に入れてみたら猛烈に痛い。こりゃ、レンズが瞼の裏側に入ってしまったのは確実だ。

ところがどうやっても取れない。洗面器に水をひたして、その中でまばたきしてみたけれどダメ。瞼をひっくり返してもダメ。最後はダメもとで点眼薬を左目にじゃんじゃん入れることを試みた。これでダメなら翌朝眼科に行くしかない。コンタクトレンズの乾き止めの点眼薬をジャバジャバ流し込んでみた。そうしたら、助かった、レンズが眼の中からポロリと落ちた。

悪戦苦闘すること1時間である。何だか、どっと疲れが出た。もう執筆意欲は失せてしまった。長年コンタクトレンズは使っているが、こんなことになったのは初めてである。ああ、くたびれた。

・・・と言うわけで、沈没である。


...... 2004年 8月 31日 の日記 ......
■[ NO. 344 ]
置き土産
晴れ、時々曇り。

猛烈に蒸し暑い。台風一過というのは、カラリと爽やかに晴れる・・・という印象があるが、今日はまったく違う。台風は南洋から熱気と湿気を運んできて、それをお土産に置いていった感じだ。夏でもなく、秋でもなく、何とも中途半端で不快な気候だ。

連弾庵の回りではアブラゼミがまだ鳴いているが、その声の勢いが完全に弱まってきた。ツクツク法師も夏の終わりを告げている。夜になると、先日から蟋蟀や草雲雀など、秋の虫たちの合奏が聞こえるようになった。

そう言えば、8月も今日で終わり。燃える夏ともお別れだ。

で、本日は大変に多忙。午前1時まで仕事をして、メールの返信をして沈没だ。