連弾庵主人日乗
2004年1月


...... 2004年 1月 01日 の日記 ......
■[ NO. 97 ]
また、新しい年が…
晴れ。ときどき曇り。

新年である。賀正だ。

世界政治と経済は、ますます混迷を深めている。せめて一筋の光でもないか…と思う拙者である。

大変に身勝手な言い方だが、少なくとも拙者を取り囲む人たちだけでも幸せな1年を送っていただければいいな、と愚考した。もちろん、拙者とは関係なくても、幸せな人が多いに越したことはない。

これまでのお付き合いに加えて、今年も新たな出会いがあればいい。素敵な演奏に接する機会があればいい。拙者の望みなど、ささやかなものである。

先般「2003年に聴いたワーストCD」の話をこちらでちらりとしたら、「是非、やって頂きたい」とのメールが何通も舞い込む。それでは準備することにいたしましょう。妻など「若くて可愛い女性を苛めるのは止めないさいよ」という。別に苛めるのではない。冷徹な批評を書くだけだ。

今日は昼間から呑んで、ちょっと疲れた。サイトの更新は明日以降にする。

皆様。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


...... 2004年 1月 02日 の日記 ......
■[ NO. 98 ]
文字化けとの戦い
晴れ。

朝、8時に起床するも、結局は殆ど半日、眠って過ごす。ぱぐぱぐしていたのではない。眠っていたのだ。人間、よくぞこれほどまでに眠れる…と感心する。

夜中、ちょこっとだけ起きて、Webサイトのデータ整理。「日記」のバックナンバー作りから始めた。

日記のデータは月ごとにhtmlファイルでダウンロードできるのである。これを元に、演奏会の感想などを手軽に見えるようにしようとしたのだ。

ところが、どうにもうまく行かない。文字化けする。で、いろいろ調べたら、ダウンロードされるデータはコードが「euc」、普段拙者が使っているのが「s-jis」だ。こりゃ化けて当然。早速エディタでコード変換したら綺麗に出るようになった。

ただ、拙者はかなりのマヌケなので、これに気付くまでずいぶんと時間がかかってしまった。おかけで、サイトそのものの更新ができなかった。

それから新年になるのに、まだ1度もピヤノに触っていない。ピヤノの神様(注:拙者の家のピヤノに付いていらっしゃる神様---すべてのものには神様が宿っているのである)に叱られてしまいそうだ。


...... 2004年 1月 03日 の日記 ......
■[ NO. 99 ]
六本木、銀座、長崎
晴れ。

朝7時に起床。それなのに、午前中はぱぐぱぐして過ごす。これで明後日から「社会復帰」できるのか…と少々心配になる。

午後。ぱぐぱぐたちの散歩を終えた後、外出。「六本木ヒルズ」なるところへ向かう。ここは今や、東京の名物スポットだ。別に拙者、「六本木ヒルズ」に興味があったわけではない。ただ、妻の誕生日プレゼントを購入しようと思っただけだ。

妻は「Folli Follie」なるブランドの指輪が欲しいと言う。「Folli Follie」??? そんなもの拙者、知らぬぞ。何でも、最近、女性に大変に人気のあるブランドだそうだ。「Webサイト」を見たのだが、どこが良いのか、拙者にはちっとも分からない。でもまあ、妻が「欲しい」というので行くことにする。

Folli Follieの直営店は都内にいくつかあるのだが、殆どが正月休み。確実なのが六本木ヒルズのお店だった訳だ。

六本木ヒルズ。初めて行ったが、何ともゴチャゴチャしたところだ。何がどこにあるのか分からない。おまけに、どこから湧いてきたか知らぬが、凄い人だ。拙者、いっぺんでヤになった。どうも、ここは拙者が来るところではなさそうだ。とにかく分かりづらい。やっとのことで「Folli Follie」を見つける。

拙者、店内を見たのだが、置いてあるものが、ちっともお洒落じゃないのだよ。どこかあか抜けないのだわ。こうしたものが、婦女子に人気があるのかのう…拙者には理解不能だった。しかし値段的には、リーズナブルなものばかりが揃っている。一種の「カジュアル・ショップ」だ。まあ、妻が喜んでリングを買ったのでよしとするか。しかし、わからん。このブランドのどこが良いのかが。

このゴチャゴチャした六本木ヒルズから一刻も早く逃げたかったので、日比谷線で銀座に避難する。何故銀座かと言うと、友人の「ヒロノフ氏」から教わった、長崎料理の店があるからだ。妻がここで長崎料理を食べたいと言う。「吉宗(よっそう)」という店だ。

トビウオすぼ焼き。くじら刺身。蒸し寿司。茶碗蒸し。皿うどん(麺は柔らかい)を頂く。くじらを除けば、どれも初めての味である。和食を3、中華を1にして、4で割ったような感覚だ。長崎料理。とにかく初めて頂いた。ヒロノフ氏によれば、中華料理のようなコースがあるらしいのだが、拙者たちは小食なので、これだけにしておいた。値段は銀座にしてはリーズナブルで庶民的である。デジカメで写真を撮ってくれば良かったのだが、デジカメを持って来るのを忘れた。失敗だ。

何はともあれ、初めての長崎料理体験だった。

帰宅して一息入れたら、Webサイト更新のためのデータ整理だ。3時間かけて新年モードにする。ようやく一段落。これでサイトも新年のお客様をお迎えできる。ふぅ…草臥れた。

今日もピヤノに触らなかった。神様、ごめんなさい。


...... 2004年 1月 04日 の日記 ......
■[ NO. 100 ]
連休最後の日
晴れ。ときどき曇り。

9連休最後の日である。拙者、学校を出てから9連休なんてあったろうか? 厳密に言うとあった。特別休暇や代休と有給休暇を組み合わせて旅行に行ったことはあるし(つまりカスタマイズ版である)、病気で病院に収容され14日間お休みを頂いたこともあった(この時も代休だけで有給休暇は使わなかった)。しかし会社から頂く「自然な休暇」で9連休とはさすがに初めてだ。ろくに正月休みも取ったことのない拙者であるからだ。

もっとも2日ばかり、家で仕事をしたが…。でもそのほかは、大半は食べるか、呑むか、寝るか、ぱぐぱぐするかして過ごしていた。こんなことは初めてである。明日から社会復帰できるのか、本当に心配だ。

拙者、あちこちの掲示板に出没しているが、どこでも同じような会話が交わされている。「これだけ休んで社会復帰は可能なのか」。思わず笑ってしまった拙者である。

年が明けて、初めてピヤノに触った。妻がルロイ・アンダソンの「シンコペーデッド・クロック」の連弾版をお遊びで弾いているのだが、「感覚が掴めないのでプリモを弾いてよ」というのである。拙者、初見は苦手だ。「それっぽくでいいから弾いてよ」と妻。「それっぽく」くらいなら何とかなる。音を間引きして旋律とリズムだけをはっきり弾く。それならできる。

拙者が弾くと、「ああ、こんなふうになるのね」(妻)。どうも妻はシンコペーションのリズムを取るのが苦手らしい。拙者と合わせることでようやくリズムの取り方を掴んだようだ。でも、この曲、リズム取りなんて、全然難しくない。妻くらいピヤノが弾けるのに、どうしてこの程度のリズムでおたおたするのか、理解に苦しむ。ただの4分の4拍子ではないか。16分の2+3+1+5みたいな変拍子でもなんでもない。不思議でたまらぬ。まあ、人それぞれだ。

夕方から某ショッピング・モールへ焼酎の買い出しに行く。ここには焼酎専門店があるのだ。何百種類もの焼酎ばかりが置いてある。もっとも宮崎の「百年の孤独」みたいな超レア物はないが(これは旨いよ。以前、宮崎市内の料亭で、他社の編集主幹のおじさんと2人で1本空けて、みんなの顰蹙を買ったのである。首都圏近郊の酒販店では720mlが1本1万2000円で手に入る)。2種類ばかり買って帰ってきた拙者であった。

帰ってきてWebサイトの更新。タイミングが悪くて、20のファイルを書き換えることになる。ちょっときつかった。

さあて、今年は、何を練習しようかな。いろいろ考えている拙者である。

それよりも、まず仕事だ。ふぅ。


...... 2004年 1月 05日 の日記 ......
■[ NO. 101 ]
不愉快な初出勤
晴れ。時々曇り。

年明けから比べると、かなり冷え込む。今日が初出勤だ。

ほとんど経験したことのない9連休(2日ほど自宅で働いたが)、そのほとんどはぱぐぱぐして暮らしていたので、出勤はかなり辛い。おまけに新年早々オフィスの引っ越しの後かたづけをしなければならなくて、正直言ってヤになった。

「事業拡張のため」という名目で、拙者の部署を含む総勢60人程度が、本社近隣のちっこいビルの1フロアに引っ越したのだ。ちっこいくせに賃料だけはもの凄く高い。拙者、最初は冗談じゃないかと思ったくらいだ。まあ賃料は拙者が払うわけではないけれど、拙者たちの稼ぎの中から出てると思うと、何となく腑に落ちない。

拙者たちが入居しているのは、そのちっこいビルの1つの階。その頭の上の数フロアは、誰でも知ってる某ブランドを統括する外資系持ち株会社とその傘下の日本法人のうち数社(これも、誰でも知ってる会社だ)が入居している。それもあってか、このビルは全館禁煙なのだ。

拙者、ちょっとだけだが喫煙する。勤務中(オフィスにいる間)は2〜4本程度だ。48時間くらい吸わなくても何ともない。だからかなり懇意にしている取材先でも、拙者が喫煙者だということを知らない方の方が圧倒的に多い。取材中はもちろんのこと、一緒に呑んでいても吸わないことの方が多いからだ。

もちろん仕事以外でも、煙の嫌いな方の前では決して吸わない。結構徹底しているのである。

ただ、デスクワークをしていてカリカリしてくると、どうしても吸いたくなる。仕方ない、新オフィス(?)ではロビーの外で吸うしかない。

同じビルに同居している外資系(それも欧州系)の皆様と拙者たちでは、ファッションのセンスも全然違う。そして初日からしてイヤな目にあった。

ロビーの入り口でたむろして喫煙している拙者たちを、まるでバッチイ物でも見るかのように、ビルに出入りする外資系のお洒落な女性のお姉さまたちが「じろり」と睨むのだ。ホント、ゴミを漁っているカラスを見るような目つきで。はっきり言って、ヤになった。

喫煙、止めようかなぁ。殆ど吸わない訳だし・・・。

しかしな。拙者は思った。あんたらがのところのバッグやお財布や定期入れや名刺入れなんかを持って仕事しているのだよ拙者は。少なくとも、あんたらは、拙者たちの消費によってビジネスしておるのだよ。拙者たちを「ゴミ漁りのカラス」を見るような目つきで見るな!

出勤初日から、不愉快になった拙者である。


...... 2004年 1月 06日 の日記 ......
■[ NO. 102 ]
爽やかメール
晴れ。相変わらず冷え込む。

三が日の暖かさがウソのようだ。朝、起きるのが辛い。お布団が暖かくて気持ちいいのだ。目が覚めても、なかなかそこから抜け出せない。でもモスクワやストックホルムよりは暖かいだろうと妙な理屈で自分を納得させて、よろよろと出勤する。

当番でないので自由に仕事をして良いのだが、社内から頼まれたエッセイの締め切りが近づいているので、これを手がけることにする。民事裁判関連の話題で、ストーリーはほぼ出来ていた。後は書き下ろすだけだったのだが、被告側が控訴しおった。おかげで記事は練り直しだ。拙者の見解では、この被告、控訴してもまず負ける。さらに上告しても負けるであろう。別に控訴しても構わないのだが、拙者の仕事が面倒になるだけだ。まことに身勝手だが、拙者の仕事を面倒にしてほしくない。おかげで1日潰れた。

ヤな1日だったが、メールボックスを開けて、ちょっと幸せな気分になった。

メールの送り手は、昨年11月10日にデュオの演奏会を持った加藤真一郎さんだ。加藤さんとデュオ相手の瀬尾さんは、12月に行われた「マレイ・ドラノフ・国際2台ピヤノ・コンペティション」のファイナルに残って、そこに参加されていらっしゃったのだ。

拙者も応援していたのだが、残念ながら入賞は逃したとのこと。でも、そのメールがとても爽やかだった。入賞は逃したけれど、ご自身では良い演奏ができたこと、コンペで競合相手の演奏を聴いてさまざまなことを学んだ…などがさまざま綴られていたのである。しかも、とてもしっかりした文章で。メールを拝読して拙者は思った。この方は、とても高度な演奏技術に兼ね備えて、大変豊かな感受性を持った謙虚な方なのだな…と。

入賞を逃してしまったのは残念だったけれど、こうしたメールを頂くと本当に嬉しいものである。一層、このお二人を応援したくなった拙者であった。まあ、拙者の応援など取るに足らないものではあろうが。

きっとこのデュオ、もっともっと伸びるよ。これだけしっかりご自分の演奏を見据え、他の演奏をしっかりお聴きになれるという力があれば。

メールを頂いて、ふと嬉しくなった拙者であった。


...... 2004年 1月 07日 の日記 ......
■[ NO. 103 ]
イタリーから
晴れ。さらに冷え込む。

昨夜、よく眠れなかったためか、朝起きると脳貧血だ。おまけにからだが出社を拒んでいる。できるなら1日眠っていたかった。しかし拙者もサラリィマンだ。そうは出来ぬ。行かねばならぬ、行かねばならぬ。

もっとも仕事は家でできないことはないのだが、今日中に書こうとしたエッセイの元になる大量の訴訟資料や取材メモは全部オフィスに置いてある。それにいろんな雑用もあるし。這々の体で出社した。

ウンウン唸って、エッセイだけは何とか書き上げた。辛かった。夕方からは某業界団体の新年賀詞交換会に出席するはずだったのだが、体調が良くないので止めた。国会議員や大手企業の偉い方とアポなしで気楽に話せるのがこの会のいいところなのだが、1000人以上の方が出席している会に出るには気力も体力もなかったので、失礼させて頂いた。もう十数年連続で出ている会を始めて欠席した拙者であった。

エッセイを書き上げて、雑用を済ませて、早々にオフィスから逃げて来たことは言うまでもない。




今日もいろいろな方からメールを頂いたが、イタリーからのが2件あった。1件はピヤニスト兼アクセサリ・デザイナの廣瀬さんから。この方、ピヤノを弾く傍ら、素敵なビーズを販売されたり、ご自身でアクセサリをデザインされたりなさっている。是非「サイト」をご覧になって下さいな。「日記」のコーナーを拝読すると、拙者にとって全然知らないイタリーの素顔が見えてくるから面白い。

もう1件は、イタリーのデュオ・ピヤニスト「Sara Bartolucci and Rodolfo Alessandrini」さんから。「サイトをリニューアルしたのでリンクを張り直して下さい」とのこと。なかなか「お洒落なサイト」になった。近日中にリンクを張り直さなければ。でも嬉しいね。我が「楽しい連弾の部屋」が著名ピヤニストのサイトと並んでリンクされているのを見ると。

サイトを運営していると、こうして海外の方ともお友達になれるのが楽しいのである。


...... 2004年 1月 08日 の日記 ......
■[ NO. 104 ]
呑んで沈没
晴れ。

珍しく、恐ろしく早い時刻に帰宅した。ところが、これまた早い時刻から呑み始めてしまったのだ。

おまけにお友達から「ラフマニノフのピヤノ協奏曲第2番で、お薦めの演奏はありませんか?」とお問い合わせを頂き、その返信を書いた後、「拙者の推薦曲」が改めて聴きたくなり、呑みながら聴いてしまった。そうしたら、完全に回った。沈没である。


...... 2004年 1月 09日 の日記 ......
■[ NO. 105 ]
彷徨う郵便物
晴れ。今日も風が強い。

昨年の12月22日。古書店で古本楽譜を購入した。翌日には本屋さんから「発送しましたよ」という丁重なメールが届いた。この楽譜屋さん、しばしば利用している。大抵は「発送しました」メールから5日くらいで品物が手元に届く。ところが今回は待っても待っても届かなかったのだ。

いよいよ「クレーム・メールを出そうかな」と思いかけた今日、待望の品物が届いた。20日近く、拙者宛の荷物は、いったいどこを彷徨っていたのであろう。

もっともクレーム・メールを出したところで、相手が古書店なので同じ物を再送してくれることはないが。基本的に古書店にあるものは「1品物」と考えて良い。届いた楽譜は下記の通り。

(1)ブラームス:交響曲第1番&第2番(連弾)
(2)ブラームス:交響曲第3番&第4番(連弾)
(3)メンデルスゾーン:交響曲第1番&第2番(連弾)
(4)メンデルスゾーン:交響曲第3番&第4番(連弾)
(5)チャイコフスキー:交響曲第5番(連弾)
(6)チャイコフスキー:交響曲第6番(連弾)
(7)チャイコフスキー:ロメオとジュリエット(2台)
(8)チャイコフスキー:スラヴ行進曲(2台8手)
(9)ワーグナー:序曲集(連弾)

1〜4は、作曲者自身による連弾編曲。編曲の存在自体は有名なのに、何故か長いこと絶版になっている。出版社はPetersだ。なお、メンデルスゾーンは交響曲第5番の連弾編曲が見当たらない。Petersでも出したことはない。この曲だけ編曲されなかったのかしら?

チャイコフスキーの第5番と6番はO.ジンガーの編曲。チャイコフスキーの交響曲は作曲者自編(1、2、3、6、マンフレッド)とS.タニエフ編曲の4番、5番を持っているが、この際、ジンガーの編曲も手に入れた。お店ではジンガー編曲の4番もあったのだがこれは既に持っている。この5番と6番もPetersだ。パラパラと見た限りでは、両奏者に対する音の配分が違うだけで、5番はタニエフ、6番は自編と、さほど大きな違いはないようだ。

ロメオとジュリエットは、リムスキー=コルサコフ夫人による連弾版が有名でCDも出ているくらい。しかし、2台版があるなんて知らなかった。この2台版はフランシス L. ヨークという人の編曲でSchirmerから出ていた。見た限り合理的な2台用編曲である。

スラヴ行進曲。最初2台4手だと思っていた。そうしたら届いたのは2台8手。拙者が書店の表示を良く見なかったらしい。でもなかなか楽しい編曲で、持っていても損はない。これもSchirmerの楽譜。

ワーグナーは、いろんな序曲や前奏曲をO.ジンガーが編曲した物。期待していたほど面白い物ではなかった。

まあ、何はともあれ、届いて良かった。一時はどうなるかと思ったよ。


...... 2004年 1月 10日 の日記 ......
■[ NO. 106 ]
ThinkPad、スッポン
晴れ。

ノート・パソコンが必要になった。

仕事でどうしても使わざるを得ないのだ。それと拙者が家でメイン・マシンとして使っているデスクトップ機(NECの「VALUESTAR」)が最近変な音を発するようになったのだ。とても小さな音で、虫が鳴くように「チッチッ」と言う。電源を入れるだけで微かに「チッチッ」。この音がしてもHDDは動いていない。何が原因だか分からない。でも何となく不安だ。このマシンが飛んだら、家で仕事ができなくなる。Webサイトの更新もアウトだ。やはりバックアップ機が欲しくなる。

実はバックアップ機は連弾庵LANに1台つながっている。古いタイプのノート機だ。ただ重くて持ち運べない(すなわち屋外業務で使えない)上にCPUもPentium II(233MHz)と遅い。いざというとき、やはり困る。そこで散々迷った末--何せ20万円近い出費なのだから--モバイル用兼バックアップ用のノート機を購入することにした。

ThinkPad今度ノート機を買うならIBMのThinkPadにしようと決めていた拙者である。妻が使っていてまったく故障がないからだ。購入の候補にしたのは、持ち運びを考えてB5版のノート。機種でいうと「ThinkPad X31」というものだ。「X41」という機種もあり、こちらは重さが1.2kgと軽くて良いのだが、CPUがPentium M(1GHz)と、ちょっと遅いのが気になる。標準バッテリでの使用可能時間も3.5時間。これに対して「X31」は重さが1.6kgだがCPUがPentium Mの1.4GHz/1.6GHzから選べる。標準バッテリでの使用可能時間も5時間以上だ。…というわけで「X31」にした拙者である。

日本IBMのサイトで購入しても良いのだが、ちょっと高い。そこで少しでも安い店を探す。拙者が秋葉原で見つけた店は、IBMのサイトよりも4万円も安かった。早速午後から秋葉原へ繰り出した拙者たちである。

土曜の午後の秋葉原は、いつも人でいっぱいだ。もっとも銀座や六本木も人でいっぱいだが「客層」が明らかに異なる。服装から雰囲気から、やっぱり秋葉原独特のものがある。正直言うと、拙者には疲れる雰囲気なのだ。あまり好きになれない。だけど少しでも安いマシンを買うためには仕方がない。目指すお店は、裏通りの怪しげなところにあった。

そこで購入したのが左上のマシンだ。メイン・メモリーが標準では256MB。これではやや少ない。そこで256MBの追加メモリーを合わせて購入。CD-ROM装置もないので、これも外付けを購入だ。全部で約18万円。拙者にとっては大金である。でもこれで仕事が安心してできる。帰宅後、即座にメモリーを追加、LANにつなげてセットアップ。快調に動いて、まず満足だ。




帰宅前、浅草に回った。拙者たち、1月が誕生月なので、ささやかなお祝い会をやろうというのだ。向かった先は、拙者たちが時折利用している「M」という日本料理屋。ここは値段の割に、とても美味しい食事が頂ける。下町ならではのことだろう。

今日は寒い。鍋に限る。鍋にはいろいろあるが、せっかくこのお店に来たのだから、名物の「スッポン」に決めた。

スッポン」は「亀」である。ただ、普通の亀ではなくて「スッポン科」という独立した存在なのだ。日本では昔から--といってもどのくらい昔か分からないが--食用に供されてきたものである。決して「ゲテモノ食い」でないことを申し上げておきたい。

スッポン鍋



スッポンは、その外見によらず、大変に美味である。食す直前までの飼い方と調理方法にもよるのだろうが、臭味やクセが全くない味だ。それに食するとからだがホカホカになる。コラーゲンもたっぷりで、お肌にも良いらしい。この鍋がたまらない。また鍋の後の雑炊が、一度食べたらくせになるくらい美味なのだ。

鍋の前には、下関直送の「トラフグ」を刺身で頂く。これも美味。合わせた酒は青森の「田酒」。それに奇蹟のように店にあったのは宮崎の焼酎「百年の孤独」。美味しいものを頂いて、贅沢をしてしまった拙者たちであった。

でもいいのだ。年に1度の誕生会だもの。それに2人いっぺんだし。


...... 2004年 1月 11日 の日記 ......
■[ NO. 107 ]
オープンハウス
晴れ。

今日は、ことし初めての「連弾庵オープンハウス」。我が連弾庵では、趣味の近い方同士をお招きして、時折オープンハウスを催す。今日のお客様は、ラフマニノフが大好きなお二人。「うさぴょん」女史と、システム・エンジニアの「ヒロノフ」氏である。お二人ともラフマニノフのみならず、ピヤノ、そしてアルコールが大好きである。

うさぴょん女史は、拙者たちへのお誕生日プレゼントをお持ち下さった。このオルゴールである。

連弾ネコちゃん


いやぁ嬉しい。「連弾ネコちゃん」だ。ピヤノを弾いている動物のオルゴールやお人形はしばしば見かける。しかし連弾物は初めて拝見した。ありがたいことである。ヒロノフ氏も郷土のお土産を手にしてきて下さった(注:今後、連弾庵をご訪問なさる方。お気遣いは無用ですよ。どうぞ手ぶらでいらして下さい)。

アルコールが大好きなお二人を迎え撃つ拙者たちが用意したのは、近所で作っている地麦酒のほか「エビスビール」、新潟県の白瀧酒造「魚沼・純米」(写真左:1.8リットル。首都圏ではなかなか入手できない)、宮崎県・桜乃峰酒造「綺羅綺羅星」(写真右:720ml)。そうそう、呑まずにとっておいた「2003年のボージョレ」も。さあ、これを呑みながら、お喋りとピアノである。

ピヤノの楽譜はディアベルリの連弾曲を用意して初見大会。うさぴょん女史は、ポピュラー系の易しい連弾曲の楽譜をご持参下さった。これも一緒に初見大会! これは楽しい。

弾き疲れたところで、ラフマニノフ「ピヤノ協奏曲第4番」、プロコフィエフ「ピヤノ協奏曲第2番」といった、ちょっとだけマイナー系の曲ばかりを掛けながらアルコール摂取! 午後2時から10時過ぎまで、連弾庵は大にぎわい。用意したお料理もアルコールも、すべて4人のおなかに消えて全滅。いやぁ、よく呑んだ。

お二人を最寄り駅まで送っていった拙者。連弾庵に戻ってきたら、完全に酔いが回って、バタンキュー。この日、メールを下さった皆様、ごめんなさい。拙者、とてもキーボードに向かえる状態ではありませんでしたので。

ああ、楽しかった。うさぴょん女史、ヒロノフ氏、ありがとうございました。


...... 2004年 1月 12日 の日記 ......
■[ NO. 108 ]
ひっそり
曇り。ときどき霙。

昨夜は0時ちょっと過ぎに眠った。拙者としては異様に早い就寝だ。

昨夜、特にお客様を駅までお送りしてきてからの記憶が定かでない。妻の話では、帰宅してそのまま炬燵で「ぱぐ」と一緒に眠ろうとしたそうだ。「風邪をひくから」と、寝室兼書斎(実際は別の部屋になっている)に追いやられ(?)、朦朧とする頭でメールチェックとサイト巡回(仕事も兼ねる)をしていたら、「うさぴょん」女史から電話。「無事、帰宅したので、ご安心下さい」。電話を切ったら、途端に眠気が襲ってきて沈没である。

そんな早い時刻に眠ったので、休日というのに午前7時前に目が覚めた。喉が乾いているので、階下に下りて冷たいお茶を飲む。妻の寝室を覗いたら、1人と2頭が「ぐぅぐぅ」と眠りの音を立てていた。今日は自宅で仕事なので、「業務メール」をチェックした後、再び横になる。

次に気が付いたら、午前10時だった。仕事を始める。

連弾庵


昨日の賑やかさがウソのようにひっそりした連弾庵。妻の弾くベネット「4つの小品組曲」の第2ピヤノだけが静かに響いている。


...... 2004年 1月 13日 の日記 ......
■[ NO. 109 ]
...with note pc
雨。のち曇り。午後から晴れ。

昨夜の予報では、首都圏の朝は「雪」のはずだった。拙者、家の回りが真っ白になっていると思って雨戸を開けたら、冷たい雨だった。予報が外れて幸い。何せ、首都圏の交通は雪に対して大変に弱いのである。一晩中雪など降られた日には、交通網が大混乱してしまう。

連弾庵の前の道もゆるい坂になっている。雪が降ったら滑って大変だ。これが休日なら雪だるまでも作って遊ぶという手はあるが、平日はそうは行かない。通勤に困るだけである。何はともあれ、雪にならなくてよかった。

さて、今日は先日購入した「ThinkPad X31」が本当に持ち運べるかどうか試してみる。これを持って、片道1時間の通勤に耐えられるかどうかだ。

まず「ThinkPad」を拙者の通勤バッグに入れてみる。

バッグに入ったThinkPad
ThinkPadは、すっぽりとバッグに収まった。


この通り、悠々と収まった。ただし、これでバッグの重さは従来比で1.6kg増である。このバッグを駅まで自転車の前カゴに入れて行く。そしてオフィスまで持って行ければ良いわけだ。

持ってみると、さほど重くない。これなら大丈夫。後はオフィスまでの間に破損しなければいい。そこで、わざと通常扱うのと同じ方法でバッグを運んでみた。

1時間後、オフィスに到着。ひとしきり回りに見せびらかした後(このマシンを購入しようとしている人がいるため)で、LANに接続し--もちろんWindows Updateはしてあるし、ウイルス対策ソフトも入れてあるから、LANにウイルスを持ち込む心配はない--正常稼動すればOKだ。

LANケーブルを繋いでスイッチを入れる。めでたくLANに接続し、正常に稼動を始めた。後は帰宅時だ。夜になり、持ってきたときと同じくバッグに入れ、帰宅の徒につく。この時も持って歩いてもとりわけバッグの重さに違和感はない。

帰宅して連弾庵LANに接続、稼動をチェックする。問題なく正常稼動だ。これなら大丈夫。モバイルで十分使える。ただし、今のバッグに入れるとバッグの底が型くずれしてしまう心配がある。モバイル取材用に、もう1つバッグを買おうかな。

あかね
「ワシもオフィスへ連れてってくれんかの?」
「あんたはダメ。バッグに入らないし、オフィスは犬禁止」


...... 2004年 1月 14日 の日記 ......
■[ NO. 110 ]
カテキン緑茶
晴れ。


ヘルシア緑茶今週はぎっちり当番デスクで、朝からオフィスに缶詰だ。昨夜は3時半くらいまで眠れなかったので、出勤しても眠くて仕方ない。

でも花王の「ヘルシア緑茶」を飲んで気合いを入れる。この飲料、ちょっと苦いが、飲むとクセになる。これを飲み始めてから、ウエストは減少気味だ。これはいい。カテキンのほかカフェインもたっぷり入っていて、目覚ましにもなる。シャキッとするよ。

午後8時にオフィスからいったん上がり、帰宅してまた仕事を始める。終わったのは日本時間の午前1時。くたびれた。

・・・と言うわけで沈没である。

オフィスの机
初公開! 拙者のオフィス机。六法全書などの上に重なってる公判資料の上に乗っかってるコアラさんとワンワンは、若手記者やフリーライターさんから取り上げた。電話の横に小さく移っているお人形も社内の人から取り上げたものである。



...... 2004年 1月 15日 の日記 ......
■[ NO. 111 ]
邪悪な街
晴れ。相変わらず、朝から冷え込み、北風も強い。

北海道や北日本の日本海側では、猛吹雪になっているようだ。天気図は教科書に出ているような、ものの見事な西高東低。

妻が「札幌雪祭り」に行きたいという。拙者も1度は行ってみたいのだが、家には老いたぱぐたちがいる。とても連中を置いて行くことはできない。残念だが、家を空けての…と言うより、ぱぐたちを家に残したり、どこかに預けての…旅行は、当分無理そうだ。ぱぐたち、拙者たちが見ていないと心配でたまらない。大切な家族だから。

さて、今日は午前7時から業務開始。睡眠不足が祟って、朦朧とした頭で仕事をする。総退却まであと一歩だ。

呆けた頭で、午後から取材。取材先は「六本木ヒルズ」にある。

六本木ヒルズ

拙者、どうにもこのゾーンが好きになれない。平日だというのに、大勢の人が繰り出していて、それなりに人気スポットではあるし、もちろんビジネスで訪れる人もあるのだろうが、とにかく拙者はイヤだ。

何故イヤなのか。

街の構造が複雑で分かりにくいのだ。拙者、ちょっと早めに着いたので、好みのブランドショップへ行ってみようと思った。ところが、地図はあるのだが全然たどり着けないのだ。

拙者、これでも方向感覚は人並みだ。初めての街へ行っても、きちんとした地図さえあれば、まず迷わない。それなのにどうだ。「六本木ヒルズ」は、ゴチャゴチャして、とてもではないが簡単に目的の場所にたどり着くことができない。これは前回ここに行って体験したことだが、今回もそうだった。とにかく分かりづらいのだ。

確かに、外見的にはお洒落である。凝った街づくりになっているのは分かる。しかしアクセサビリティに関しては、完全に無視状態。言ってみれば、設計者の自己陶酔に終わっている作り方だ。拙者からすると、最悪の作り方だ。

建物や人工的な街は、設計者の思想が、そのまま出る。この六本木ヒルズにしてもそうだ。設計者は「お洒落な、ちょっと凝った街」を設計したのだろう。自分が理想とする街を。だが、それははっきり言って失敗だ。これだけゴチャゴチャした街だと、余程の用事でなければ行きたくもない構造になっている。

設計者の自己陶酔が、邪悪な空気になって、この街を覆っている。そう、「六本木ヒルズ」は邪悪な街なのである。こうした構造の街を作った設計者は、単なる愚者であることは間違いない。

時折「世界の子供たちが描く理想の街」と言った、絵画を見る機会がある。先進国・後進国、いろんな国の子供たちが描いた都市像がある。そうした絵を観ていると「あ、これは日本人の作品だな」と一目で分かる絵がある。

どこで気付くのか。

それは、1枚の絵に、あまりに多くの物をぎっしりと詰め込んでいるからだ。しかもゴチャゴチャに。確かにたくさんの夢はあるのだろう。だけど、何故こんなにもゴチャゴチャにぎっしりと詰め込むのか。拙者には理解不能だ。

翻って六本木ヒルズを考える。拙者の見るところ、六本木ヒルズは、こうした「何でもゴチャゴチャにぎっしり詰め込んで、それらしくお洒落にした街」なのだ。(たぶん選ばれたであろう)子供たちの絵にそっくりだ。まったく発想が貧困である。しかもアクセサビリティは最悪。

日本には、「ゆとりを持った、アクセサビリティの良い街を作る」という発想はないのだろうか。ナショナリストで愛国者の拙者としては、まことに残念なことである。とにかく、六本木ヒルズの設計思想は貧困だ。外見はきれいかも知れない。しかし実質は、貧しい邪悪な街である。

折角地域を再開発するなら、こんな街づくりなどしてほしくない。


...... 2004年 1月 16日 の日記 ......
■[ NO. 112 ]
投げ売り
晴れ。のち曇り。

底冷えがする。こんな日はお布団にいつまでも潜っていたいが、そうも行かぬ。仕事だ、仕事。風邪薬と「ユンケル」を飲んで元気に出勤だ。

オフィスでの勤務をいったん終えて、自宅作業に入ろうとした。オフィスの電源を切る前に、プライベート・アドレスのメールチェックだ(業務用メールはリアルタイムで見ている)。すると「カワイミュージックショップ青山」からダイレクト・メールが入っているではないか。

何だと? 「古くなった在庫や傷物の楽譜を大バーゲン。ネットだけの特別セール!」。早速サイトを見ると欲しい楽譜が何点か。もっときちんと見たいと思ったが、夜も自宅で仕事をしなければならないので、いったんオフィスから引き上げる。

帰宅して仕事の前に、まずサイトにアクセス。おお、何とほとんどが半額以下の「投げ売り」ではないか。欲しい楽譜は通常の国内価格の半額であれば、海外のサイトから購入するよりはるかに安い。思わず5点ほど購入してしまった。何を購入したかって? 後日報告することにしよう。

とにかく、いろいろくたびれた。午前2時半にすべてを終えて就寝だ。

寒い日は、炬燵で寝るのが一番だぜ。起こすなよ!



...... 2004年 1月 17日 の日記 ......
■[ NO. 113 ]
小雪舞う
曇り。時々、小雪舞う。

昨日よりさらに冷え込む。本格的な雪にならなくて幸いだ。でもどんよりとした空から、小雪が舞ってくる。

今日は自宅で仕事だ。遠くまで外出はできない。

本当は「ウラジミール通り」へ行きたかった。ウラジミール通りには「カワイ」のショップがあり、昨日注文した「投げ売り楽譜」を受け取ることができるからだ。「宅急便」扱いにしてもらったが、店頭でも受け取れるのである。

カワイの並びには「LOUIS VUITTON」のシップもあり、ここで肩掛けバッグとリュクサックを見てみたかった(文字通り「見るだけ」である:苦笑)。同じウラジミール通りの並びには「クレヨンハウス」もあり、ここで絵本を探すのも楽しい。

この近くの「ストロガノフ通り」には、このところ妻が入れ込んでるブランド「KANEKO ISAO」のショップもあるので、この辺りへ行っても、妻は文句を言うまい。

でも、仕事があるので、やっぱり外出できなかった。ただ外の空気を吸いたかったので、「お散歩」には出た。

ワシは足が悪いので途中から自家用車に乗るのだ
悪いかっ!


今日は、仕事が終わったら、早めに眠ろう。


...... 2004年 1月 18日 の日記 ......
■[ NO. 114 ]
何事もなく…
晴れ。

昨日とはうってかわった穏やかな陽気。といっても最高気温が摂氏8度なので、十分平年並みなのである。昨日が寒すぎたのだ。

昨日に続けて1日中仕事をするのも疲れてきた。ピヤノを少し弾くが、ちょっと気分が乗らない(こんなふうだから、腕がどんどん落ちていくのだが)。

いっそ気晴らしに「ウラジミール通り」まで出ようと思った。あそこなら、もし何かあっても15分で通常勤務に就くことができる(あまりそうした事態に陥りたくないが)。そこで「カワイ」のショップに電話をして、宅急便ではなく、楽譜を店頭受け取りにしてもらおうとした。そうしたら「倉庫から持ってこなければならないものがあるので、今日の受け渡しはできない」とのこと。それなら、あそこまで行く必要はない。何だか面倒になった。

仕事を続け、合間にWeb巡回をする。いろいろなサイトを観るが、友人の「雨飾」さんや「富嶽仙人」さんの写真サイトを見て、野山に行った気分になる。このお二方の写真は、実に素晴らしい。マスコミからも「貸し出して」という要望があるほどだ。

友人・知人がやっているわけではないが、月に1回更新される写真サイト「Amazing ghost photo gallery! 」にも行ってみる。しかし管理人が「最新情報」の差し替えをミスったようで、このファイルのデータだけが新しくなっていなかった。ここはホラー(あるいは恐怖系)に近いサイトだが、時々かなり笑える写真とコメントがある。

…とまあ、こんな調子で1日が終わった。今週は、何か良いこと、あるといいな。

Baccalat クリスタルのお馬さん
Parisの想い出



...... 2004年 1月 19日 の日記 ......
■[ NO. 117 ]
クレームと質問
雨。のち晴れ。

昨日の「日記」で、「幽霊サイト」にリンクを張ったところ、妻から「気持ちの悪いものにリンクしないでほしい」とクレーム。いや、ほんのジョークである。何だか分からなくてクリックしてしまい、コワイ思いをされた方にはお詫び申し上げる。

それと「ウラジミール通り」とは何ぞや、と妻から質問。これも説明不足だった。拙者の大好きな作家の一人に「小林信彦さん」がいらっしゃる。御著書の35%くらいは読んでいるはずだ。氏の作品の魅力に関しては、別途お話しする機会があると思うので、今回は「ウラジミール通り」の由来までに。

小林氏の小説に「サモワール・メモワール」という短編がある。第二次大戦後、日本を占領したのはアメリカ合衆国ではなくソ連だった…と仮定して現代(執筆当時1982年)の日本の姿を描いたものだ。占領軍はいろいろなものを「ロシア風の名前」に呼び変えた。「表参道」は「ウラジミール通り」、「青山通り」は「ストロガノフ通り」、「代々木公園」は「蜂起公園」、「六本木」は「雀が丘」…といった具合に。これがあまりに面白くて---別にソ連に占領されたかった訳ではない。誤解のないように。あくまでも小林氏の感性に共鳴しただけである---妙に気に入ってしまって、拙者が勝手に「ウラジミール通り」だの「プーシキン図書館」(国会図書館のこと)だの呼んでいるだけだ。この説明不足も重ねてお詫び申し上げたい。




妙に眠たかった1日。昨夜、あまりよく眠れなかったからだろう。朦朧とした頭で出勤する。通常業務のほかに、久しぶりにシステム・エンジニアの真似事をやった。拙者の部署ではパソコンを何台か買い換えたのだが、新しいパソコンがLANに接続できない人が何人か出た。そこで、ネットワーク接続のお手伝いをしていたのである。

少しばかり疲れて帰宅したら、「amazon.de」からCDが届いていた。

「Berkemer & Nadim」というデュオが弾いてモールアルト=ブゾーニの「魔笛・序曲」(2台)やリスト「ドン・ジョバンニ幻想曲」(2台)、歌劇のテーマをリストが編曲したものだけを収録し「Duo Egri & Pertis」が弾いている連弾と2台ピヤノ、「Anna & Ines Walachowski」というポーランドの姉妹デュオによるガーシュウイン(2台)、それに長らく廃盤になっていて最近復活した「Tal & Groethuysen」の「ツエルニー連弾曲集」である。しっかり聴き込んで、良い演奏だったらサイトで紹介したい。でも今日はくたびれているので聴くのはパス。後日ゆっくり聴くことにしよう。

というわけで、今夜は沈没だ。

壁にぶら下がっている人たち



...... 2004年 1月 20日 の日記 ......
■[ NO. 118 ]
悲しみは昼食に向けて
晴れ。穏やかな1日。

ちょっと風邪気味だ。目が覚めると頭痛がするし鼻水も出る。「ロキソニン」と「ピーエイ」を服用して、ニコニコ元気に出勤だ。

昼時…といっても早くても13時を過ぎるが…になると食料の買い出しだ。拙者、サイトのあちこちで「平均400円前後の昼食にしている」と書いている。もちろん社員食堂ではない。一般の弁当店だ。

拙者の隣では、同僚のM君が750円もする弁当を食べている。その隣ではNさんが700円もする弁当を食べている。アシスタントのK嬢に至っては800円もする「本格カレー弁当」(近所にあるインド人がやってる店でテイクアウトする)だ。みんな、金持ちだ。いや可処分所得が多いと言った方が良いであろう。もっとも拙者の勤務するゾーンでは、そのくらいの出費をしないと、まともな食事はできない。そうした中で拙者は380円の「海苔弁」を食しておるのである。

380円の海苔弁。皆様は、どのようなものを想像されるだろうか? ずばり、これだ。

海苔弁


ご飯を盛った上に、鰹節と海苔を敷き、その上にコロッケ(または深海魚のフライ)、鳥の唐揚げ、竹輪天麩羅が各1個。それに申し訳程度の漬け物。

ああ、何と悲しい弁当なのだろう。どうだ、ちっとも美味しそうではないだろう(実際、旨くない)。これが悲しくなくて、何であろう。同じ店では、やはり380円で、そぼろ肉、鮭フレーク、炒り卵がご飯に乗った「3色丼」も売っている。こちらの方が、まだ華やかだ。だけどすぐに売り切れてしまう。時々、拙者でも買える。でも、それが拙者の昼食なのだ。いずれにしても、ああ、何という悲しい昼食なのであろう。こうした昼食しか食べられない拙者なのである。

皆さんの昼食は、どのようなものであろうか? 拙者と悲しみを共有できるであろうか?




帰宅して、昨日届いたCDを聴いて、アルコールを呑みながらネットサーフィンだ。「ラベック」のサイト(Internet Explorerでないと正常に表示できない)を見つけた。凝りすぎである。ここまで凝っているサイトも、なかなかないだろう。特に演奏家のサイトは。今日もちょっと疲れた。明日は「全然面白くないこと」と「楽しいこと」がある。…と言うわけで、沈没だ。

オフィス机上の住人



...... 2004年 1月 21日 の日記 ......
■[ NO. 119 ]
爽やかな会話
晴れ。のち曇り。

人間的にも魅力のある人とお喋りできる。こんな素敵なことはない。今日は以前から一度は一緒に呑みたいなと思っていた、ピヤニストの「中井恒仁さん・武田美和子さん」ご夫妻とご一緒することができた。お二人とメールのやりとりをするうち、何となく「お二人ともアルコールが呑めそうだな」と思って「一緒に呑みませんか?」と申し出たところ快諾して頂いた。嬉しい限りである。

お二人の演奏には、いつも感銘しているだけに、デュオの「裏話」などが伺えたらな…と思った拙者であった。お二人ともお忙しいというのに、拙者たちのためにお時間を作って下さったのである。

中井さんご夫妻
とても素敵な、恒仁さんと美和子さん


いやぁ、愉快、愉快。演奏も素晴らしいが、実に魅力的なお二人だった。ソロだけでなく、デュオにのめりこんだきっかけ、ドイツ・オーストリア留学中のお話、「マレイ・ドラノフ・国際2台ピヤノ・コンペティション」本選出場時の裏話など、たくさんたくさん、素敵なお話をして下さった。そして、その会話を通じて、若く鋭敏でしなやかなお二人の感性、そして音楽作りの姿勢に触れさせて頂いた。お喋りをしていて、「こうした感性をもって、そして日々ご努力されていらっしゃるから、あのような素晴らしい演奏ができるのだな」と、しっかりと感じた拙者であった。

お二人の演奏を聴いていると、天性の煌めきを感じる。だけど、それだけじゃない。ご自身の演奏を冷静に見つめ、作品に対してしっかりしたアプローチを取ろうとご努力されている姿が、お二人のお話から伝わってきた。本当に素晴らしいお二人である。恒仁さんと美和子さんに接していて、たくさんの幸せを感じた拙者であった。同行していた妻もひとこと。「あのお二人、本当に素敵だね」。そうなんだ。あのお二人、演奏同様に、とても爽やかな方だった。

実は今日、拙者の誕生日だった。お二人との楽しいお喋りは、拙者にとって本当に素敵な誕生日プレゼントになった。

恒仁さん、美和子さん。ありがとうございました。

これをお読みの皆さん、是非お二人の演奏に接してください。これだけ高水準のデュオは、なかなかありません。きっと幸せな気持ちになりますよ。

【追記】拙者はもっと呑みたかったのであるが、妻が「いい加減に止めなさい」とストップをかけた。お店を出た後「もう1件、行きませんか?」と言おうとした途端、妻が拙者をタクシーに押し込んだ。帰宅して、楽しい余韻に浸りながら、また呑んだ。そうしたら見事に沈没した拙者である。


...... 2004年 1月 22日 の日記 ......
■[ NO. 120 ]
後遺症
晴れ。時々曇り。

ううう。昨夜は呑みすぎた。呑んで帰ってきて「呑み足りない」と「拡張モード」に入り、焼酎のお湯割を浴びるほど呑んだのが間違いだった。中井ご夫妻と呑んでいるくらいの量では、何ともなかったのだ。「拡張」がいけなかった。

あまりよく眠れず、朝起きあがったら脳貧血を起こした。朝から沈没している。だが仕事があるので出社せねばならぬ。行かねばならぬのだ。

オフィスから妻に「辛いよぉ」とメールしたところ、「だから言ったでしょう。もう大量に呑める年齢ではないのだ」とメッセージが返ってきた。ああ、加齢は悲しいものである。

帰宅すると、先日「カワイ」が「投げ売り」をしていた楽譜が届いていた。今回入手したのは下記の通り。

・バルトーク:不思議な宦官(連弾)
・イベール:寄港地(連弾)
・リムスキー=コルサコフ:金鶏組曲(連弾)
・シャブリエ:スペイン(連弾)
・スーザ:星条旗よ永遠なれ(連弾)

これだけ購入して1万円である。拙者にとって1万円は大金だ。だけど、これだけの楽譜が入手できれば、1万円の価値はある。丁度、エッセイの原稿料(1万円)が入ったところ。これを有効に活用したのである。特に「金鶏組曲」はForbergのコピー譜が出回っているので、それかと思ったら何と原本だった。これには驚いた。スーザは早速初見で弾いてみたが、編曲としての面白さは全くないが、連弾でこの曲を弾いてみる楽しさはあった。300円でこれだけ楽しめれば御の字だ。

ちょっと幸せな気分になった拙者である。

グローヴ音楽事典に寄りかかる人
グローヴ音楽事典に寄りかかる人



...... 2004年 1月 23日 の日記 ......
■[ NO. 121 ]
誰が買うのか古楽譜
晴れ。ときどき曇り。風がやや強く吹く。

ネット・サーフィンをしていたら、ある古書店のサイトで「チャイコフスキー:アレクサンダー3世のための戴冠行進曲」という曲の連弾譜が出ているのを見つけた。全然知らない曲だけど、ちょっと(いや、かなり)そそられた。説明を読むと、とても美麗な表紙がついているらしい。1883年にJurgensonから出ている楽譜だ。

思わず購入しようとして、値段を見て驚いた。281ドル19セントもするではないか。バッカモン、こんなの買えるか! 拙者がいくら“デュオ馬鹿”といっても、限度があるのだ。こんなものにまで手を出す程ではない。それだけの投資余力があれば、もっと別のものに投資する。

もっと凄いのは、「プッチーニ:トゥーランドッド」のピヤノ・スコアだ。値段を見たら1万6500ドル。何でもプッチーニのサインが入っているそうな。こんなもの、誰が買うのだろう? でも、買う奴、いるんだろうな。きっと。

いやはや、こうしたものを見ていると拙者の古本購入なんて、まことに可愛いものである。




今週末、時間があったら(というより気力があったら)、映画を観に行こうかな。拙者、観たいのがあるのだよ。「シービスケット」。これは面白そうだ。

何か、旨い物くれよ!



...... 2004年 1月 24日 の日記 ......
■[ NO. 122 ]
お薦めのラフマニノフは?
曇り。ときどき晴れ。底冷えがする。

お散歩朝、8時に目が覚めた。喉が乾いている。冷たいお茶を飲んだのだが、眠気が覚めない。寝室に戻る。9時ちょっと過ぎ、「ぱぐ」が来て布団に潜り込む。そのまま11時くらいまで一緒に眠ってしまった。起きあがることはできたのだけど、何だかいろいろ面倒になった。映画に行くのは、やめだ。今日は、ぱぐぱぐして過ごすことにする。

先般こちらに「ラフマニノフ:ピヤノ協奏曲第2番のお薦め演奏は何かを問われた」と言う話を書いた。そうしたら「貴殿のお薦めは何ぞや」とのご質問をいくつか頂いた。

ラフマニノフのピヤノ協奏曲第2番。これは「名曲」なので、それはたくさん演奏がCDになっている(拙者は第4番が一番好きなのだが、それはこの際おいておく)。拙者のCDラックの中にも10種類くらいの演奏がある。そこで拙者、2種類の演奏を挙げた。

1つは、ホルヘ・ボレ(pf)、シャルル・デュトワ指揮・モントリオール交響楽団の演奏だ。このピヤノの語り口が素晴らしい。余りある技巧に支えられた、浪漫的な演奏。ひとつひとつのフレーズを、ゆったりと歌い、それでいてとても繊細な側面を見せる。ややテンポはゆっくり目だが、大変にスケールの大きい演奏で、演奏時間の長さを感じさせない。ほんの1〜2カ所で、テンポと間合いの取り方で違和感を覚えるところがあるが、それは仕方ないだろう。

もう1つは、ウイリアム・カペル(pf)、スタインバーグ指揮・ロビンフッドデール管弦楽団である。ボレの演奏が悠揚たる大家の晩年における演奏ならば、こちらは才気溢れる20代の若々しい演奏。曲のそこここで、若い感性が迸る。それでいて、現代の若手にありがちな単なるテクニックの誇示や表面的な演奏になっていないところが素晴らしい。曲の持つ「光」と「陰」を鮮やかに描き出す。真の天才だからこそでき得る表現だろう。

もちろん、このほかにも名演はたくさんある。だけど「あなたなら、どれ?」と言われたら、間違いなくこの2つをお薦めする拙者である。

明日は、まともに起きて、少しでも有益な1日を過ごすことにしよう。

ぱぐとあかね
シャツを買ってもらったんだ。温かくて良いぞ!



...... 2004年 1月 25日 の日記 ......
■[ NO. 123 ]
想い出とともに
晴れ。冷たい風が吹く。

想い出朝8時に起床。珍しく快調だ。午前中に仕事を終え、午後からは映画を見に行くことにする。

ぱぐたちの散歩を終えて出向いたのは「シービスケット」だ。最後に映画館で観た映画が昨年6月の「ザ・コア」だったので、実に7カ月ぶりの映画館となる。

感想をひとことで言おう。心から感動した作品だった。失意のどん底にある3人の男、そしてみんなから見放された小柄なサラブレッド「シービスケット」。どうにもならない連中が、それぞれの持ち味を生かして、奇蹟を起こしていくのである。まだご覧になっていらっしゃらない方もあると思うのでネタばらしはしないが、ちょっとだけ言うと、奇蹟の道のりは平坦ではない。だけど3人は、決して諦めない。そう、確固たる信念と「夢」を持っているのだ。そして、その「信念」が壮大な「夢」を現実のものとさせる。

男たちの「心意気」。それを鏡のように反映させるのが「シービスケット」なのだ。

不肖かずみ、不覚にも何度も泪を流してしまった。物語そのものは、淡々と進む。その中に、3人の男の信念と、「シービスケット」の成長が描かれるのである。特に乗馬や競馬で、実際に生の馬と接した経験のある者にとって、その感動は一層強くなる。




この作品を見ながら、こんなに劇的で人に感動を与えることはなかったけれど、拙者は自分自身と、1頭の小柄なアングロアラブとの触れ合いを思い出してしまった。

いろんな意味で心がズタズタになっていた拙者。そんな時、乗馬クラブで出会った、暴れ者のアングロアラブの「J」。動く姿はとても美しいのだけれど、神経質でみんなが扱いかねていた「J」。そんな「J」と、ふとしたことからペアを組むことになった拙者。最初はお互い「何だ、この野郎」と思っていたのに、次第に心を通わせるようになって。それから拙者たちは多くの競技会を、一緒に転戦した。「J」と一緒にトラックに乗り、あるときは「J」の横で眠ったこともある。

ある年、乗馬クラブのクリスマス・パーティ。拙者はクラブハウスでしこたま呑んだ。足下がおぼつかない程に酔っぱらって。「外の空気を吸いに出る」。クラブハウスを出た拙者は厩舎に向かった。「J」のお部屋の前にきた。奴は部屋の奥でウトウトしている。声を掛けると嬉しそうに寄ってきた。拙者、留め金を外してお部屋に入る。「J」が顔を摺り寄せてくる。拙者は言った。「まあ、座れや」。人の言葉が分かる「J」は、おとなしくお部屋の奥に跪く。「おい、大体、貴様はなぁ・・・」。床に腰を下ろして説教を始める拙者。それを神妙に、ちょっと迷惑そうな表情をして聴く「J」。説教は延々と続く。それでも静かに聴いている「J」。たまらなく愛おしかった…。真冬の厩舎で向かい合う、1人の冴えない男と小柄な馬。のちに悲しい別れが待っているというのに…。




この感動的な映画を観ながら、自分自身の経験を重ね合わせてしまい、溢れる泪を押さえきれなかった拙者である。

ただし、万人が拙者のように感動するかというと疑問だ。同行した妻は、ちっとも感動しなかったそうである。「単なるアメリカのサクセス・ストーリーだね」。我々の間では評価が真っ二つに割れた作品だった。

でも、拙者は、観に行って良かったと思うよ。

日溜まり
陽だまり



...... 2004年 1月 26日 の日記 ......
■[ NO. 124 ]
タイトルに偽りあり
晴れ。空気がとても冷たい。

ドイツのアマゾン」に頼んでいたCDの1枚が届く。CDのタイトルは「Russian & American Music for 2 Pianos」。サイトでは中身はよく分からなかったのだけど、何となく面白そうなので、注文したのである。何ともそそられるタイトルではないか。

そのCDが今日届いた。レーベルは「Sojuz」という聞いたこともないマイナー・レーヴェルだ。まあ、マイナーであろうが何だろうが、中身が面白ければいい。

ところが届いたCDを見ると中身は、ハチャトゥリアン、チェレプニン、アルチュニアンの作品ではないか。どこが「…& America…」じゃっ! 全然アメリカしてない。ロシヤもののオンパレードだ。不当表示も甚だしい。これで演奏がダメだったら、この日記で糾弾するぞ。多少なりとも面白かったら、メイン・サイトの「今週の1枚」で紹介するけどな。

そうそう。昨年買った「ワーストCD」の紹介をまだしていない。メイン・サイトでページを割くのはもったいないので、近々こちらでアップすることにしよう。しばしお待ちあれ。

今日はメチャメチャ忙しかった上に、外資系某企業のレセプションに出て疲れた。レセプションの後、同業他社のHさんから「これから呑みに行きませんか?」と誘われたけど、草臥れていたのでまっすぐ帰宅した拙者であった。

ああ、くたびれた。月曜からこれじゃ、先が思いやられる。

グローヴ音楽事典に寄りかかる人たち--その2



...... 2004年 1月 27日 の日記 ......
■[ NO. 125 ]
軽いエッセイ
晴れ。やはり空気は冷たい。

何事もなく、ちょっと忙しい1日。午前0時半。やっと仕事が終わった。

とあるところに、エッセイを書いた---普段から、エッセイやら教訓物やらをあちこちの雑誌や商業サイトに書いている。その1つが今日リリースとなった。ちょっと長くなるが、軽い話題なので全文をご紹介しよう。普段は経済・産業記事や司法記事といった硬い記事を書いているのだが、たまにはこうしたものも書くのだ。




* スッポンは旨いよ *


 冬は鍋料理の美味しい季節。鍋の具材はいろいろあるが、ここ何年か注目しているのが「スッポン」である。そう、「もしもし亀よ、亀さんよ」のスッポンだ。

 初めて食したときには、おっかなびっくりだったものの、その旨さに魅せられ病みつきになってしまった。以来、冬になると年に1度は必ずスッポンを食べに行くことにしている。

古来よりの滋養食

 「亀さんなんか食べるなんて、ゲテモノ食いじゃない」とおっしゃる方。認識を新たにしていただきたい。スッポンは3000年以上前から中国で食用とされてきた。日本における食材としての歴史も古い。どのくらい古いか確かではないが、遅くとも江戸時代初期から食用になってきた。それもかなりの高級食材としてだ。

 しかも滋養強壮の効果があるとされてきた。実際スッポンは、たんぱく質に加え鉄分、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンE、不飽和脂肪酸、必須アミノ酸、それにコラーゲンが多量に含まれている。

 それに亀といっても、普通の亀ではない。学名は「Pelodiscus sinensis」、分類学上は「ハ虫類・カメ目・スッポン科・スッポン属」といってイシガメやクサガメ、アカミミガメ(通称ミドリガメ)などの系列からは完全に独立した種なのである。野生種は、流れの緩い河川の中流域や大型の湖沼に生息している。もっとも現在食用に供されるものの大半は養殖ものであるが。

 そうしたスッポン、人から「美味しいよ」と聞いていたし、いろいろな本を読むとやはり旨いと書いてある。ただ、なかなか実際に食べる機会に恵まれなかった。

最初はおっかなびっくり

 5年前の冬のことだった。寒い日、「何か旨いものを食べたいな」とネットでいろいろ検索していたところ「スッポン」に行き当たった。「これは何かのめぐり合わせ」と、「亀さんなんか食べるの?」と渋る妻を誘って料理店に突入した。

 そのお店では「スッポン丸ごとコース」と「スッポン鍋」を用意していた。「丸ごとコース」は最低でも3人前からなので、お店の人の話では2人では食べきれないとのこと。そこで「スッポン鍋」を選んだ私たちだった。

 「スッポン鍋」は、ある程度まで調理したスッポンを鍋で座敷に運んできて、他の「具」を入れて最後の加熱をすれば食べられる。鍋からは、とてもよい香りが漂ってくる。何とも例えようのない香りだ。

 さて、いよいよ出来上がり。最初の一口は、やはりおっかなびっくりだった。何せ「亀を食べる」という意識が抜けなかったからだ。大き目の塊を取り皿に受けて、目をつぶって「えい、やっ」っと口に入れてみた。すると・・・うん、これは旨い! どんな味かって? これは「スッポンの味」としか言いようがない。これまで体験したことのない味覚だった。これはイケる。

 それから甲羅や皮のあたりは、ぷにょぷにょした食感。いかにもコラーゲンたっぷりで、お肌にも良さそうだ。この部位もとても美味しい。

 鍋が終わると、雑炊だ。これがまた美味だった。何とも言えない良い香りと味がする。これはクセになりそうだ(実際なった)。

 どんな鍋でも、食べるとからだが温かくなる。しかし気のせいだろうか。スッポン鍋は、からだがいきなり「かーっ」とするくらい温まってきた。この感覚もたまらない。

 それ以来、私はスッポン鍋の大ファンになってしまった。そして冬がくるたび、スッポンを賞味しに行く習慣になったのである。

 好き好きはあるだろうが、まだスッポンを召し上がったことのない方、是非とも一度お試しいただきたい。




…というわけで、本日は疲労のため沈没。

楽譜



...... 2004年 1月 28日 の日記 ......
■[ NO. 126 ]
できる人は、やっぱりできる
晴れ。

今日も朝7時から仕事だ。

朝は大抵海外からのニュース配信の制御をするのだが、いきなりびっくりするようなニュースが飛び込んできた。日産自動車・社長兼CEO(最高経営責任者)のカルロス・ゴーンさんが、こんどは米IBMの取締役も兼務するというのだ。これには拙者もびっくり仰天。思わず目が冴えた。まだ日本のどのメディアも報じていなかったので、大見出しを付けてニュースを流した拙者であった。

ゴーンさんと言えば、苦境に陥っていた日産に乗り込み、奇蹟の回復をさせた立て役者。産業記者の立場から言えば、最も魅力的な人である。しかし業績好調のIBMが何故ゴーンさんを取締役に迎えたのか?

米IBMのサミュエル・パルミサーノ会長兼CEOは、「ゴーン氏は国際的なビジネスにおける経験と見識をお持ちであり、IBMの取締役会に新たな価値をもたらしていただけるものと考えています」とのコメントを報道各社に向けて出した。しかし「あのIBMが…」というのが拙者の感想。余程ゴーンさんに魅力があったに違いない。

パルミサーノさんに会うのは困難なので、これは是非ともゴーンさんにお目にかかるしかないな…と思った拙者だ。残念ながら、取材カヴァー分野の関係で、ゴーンさんとはまだ1度もお会いしていない。お忙しい方なので時間はかかると思うが、是非ともアプローチしてみよう。伺いたいことは、山のようにあるので。

ちなみにゴーンさんは、日産の社長兼CEOのほか、ソニー仏ルノー社米Alcoaの取締役会メンバーだ。凄いね。できる人は、やっぱりできるんだ。うーん、こうした人とは是非とも会ってみなければ! 行け、不肖かずみ! 玉砕覚悟で突撃だ!

立山連峰
ある冬の日の夕暮れ
−富山湾の対岸から望む立山連峰−



...... 2004年 1月 29日 の日記 ......
■[ NO. 127 ]
怒り
晴れ。やっぱり空気が冷たい。

拙者は怒っている。大変に怒っている。

何に怒っているかというと、ウイルスだ。一昨日からインターネットでのバラ撒きが始まった「W32.Novarg.A@mm」(別名:WORM_MIMAIL.R、W32/Mydoom@MM、Win32.Mydoom.A、Mydoom、ミメイル)である。このウイルスは、拡張子が「.bat」、「.cmd」、「.exe」、「.pif」、「.scr」あるいは「.zip」の添付ファイルを伴って届く。これらの添付ファイルを開くとそのコンピュータに感染し、アドレス内に登録されている不特定のメールアドレス宛てにメールを送信する。

拙者のオフィスのパソコンには、このウイルスに感染したマシンが送信してきたウイルス・メールが続々と到着。この3日で1000通を超えた。こうなると、もう完全な業務妨害である。拙者の個人アドレスにも数十通のウイルス・メールが届いた。迷惑極まりない。

しかもこのウイルスは、発信者の名前を偽って(アドレス帳から取ってくる)発信してくるので、発信者名=発信者とは限らない。おかげで拙者たちの共有アドレスを騙ったメールがネット上に蔓延し、苦情まで持ち込まれた(注:共有アドレスは受信専用で、このアドレスからはメールを発信できない仕組みだ)。これで頭に来なくて何であろう。

ウイルスそのものや、こいつを作った奴にも当然怒っているが、ばらまいている者に対しての怒りの方が強い。

そもそもこのウイルスは、添付ファイルを開かなければ感染しない性質のものだ。

インターネットを利用する上では、いろいろなマナーがある。今回のウイルスに関して言えば、ユーザーは

(1)ウイルス対策ソフトを自分のパソコンにインストールしておき、定義ファイルを常に最新の状態にしておく、(2)怪しげな添付ファイルは絶対に開かない

これだけを守るだけでいい。そうすればこのウイルスの拡散は、ほぼ防げる。ところが、このたった二つだけの行為=マナーを守っていない者がいるから、爆発的にウイルスが拡散したのだ。こうした人たちに、非常な怒りを感じる。インターネットを利用するのであれば、それなりのマナーを守れと言いたい。それが出来ないのなら、ネットなど利用するな!

ウイルスを拡散させた者、あなたたちは無意識のうちに加害者になっているのだ。無知な者たちの行為が、他人に重大な損害を与えているのだ。「わたしは知らなかった」では済まされないのである。

繰り返し言う。ウイルスに感染してしまったマシンの所有者、あなた達は、歴とした加害者なのだ。

業務をメチャメチャに妨害された拙者としては、この怒り、当分収まりそうにない。

ぱぐたち
冬、午後の陽光
(注:撮影者は拙者にあらず)



...... 2004年 1月 30日 の日記 ......
■[ NO. 128 ]
技術は楽しい
晴れ。昨日よりは、ちょっと暖かい。

明かり例によって、朝7時からお仕事。お仕事はいいのだが、相変わらずウイルス・メール攻撃だ。もう、朝からうんざりする。何百というウイルス・メールの中に、仕事のメールが埋もれてしまう。はっきり言って、ヤになった。




今日の東京地方裁判所。大にぎわいだった(はずである)。刑事では「オウム真理教」関連、民事では「青色LED特許訴訟」の終局、「ストックオプション課税訴訟」、といった注目すべき判決が、何故かこの日に一斉に出るのだ。

刑事は別として、民事は傍聴した上で、その後の記者会見にも出たかった。そんな日なのに朝から机の前に張り付きだ。はっきり言ってヤになる。でも仕事は仕事なので---裁判の傍聴も本来の業務の1つなのだが---おとなしくデスク業務に当たる。

しかし、こんな注目すべき判決の現場にいられないのは、何とも悲しいものがある。




夕方からは、とあるところに行って、面白いものを見せて頂く。レセプションなのだが、その「出し物」として、いろんな新しい技術を見せて下さる。もっともレセプションへ行ったのは、旧知の方にご挨拶するのが目的だったのだが、思わぬ拾い物(?)をした。

まずは、高さ5cmほどの「マイクロロボット」だ。

ロボット


この写真だと大きさがあまりよく分からないのだが、縦・横・高さが5cmと考えて頂きたい。こいつら、「自律神経」を持っていて、自発的にトコトコ歩き回るのだ。歩きながら「眼」を赤くピカピカ光らせる。とても可愛い。もちろん、パソコンからのリモート・コントロールも可能だ。動いている姿をお見せできないのが、まことに残念である。

このロボットの原理をさらに拡張したのが、世界最小の「ヘリコプター」。

ヘリコプター


これ、本当に空を飛ぶのである。飛んでいるところの写真を撮影したのだが、写真は見事に失敗した(済みません)。重さはわずか10g。丁度、大きなトンボと同じくらいである。これがリモコンで自由自在に飛び回る。現在、搭載用電池を開発中で、ほぼ出来上がっているとのこと。これにCCDカメラを搭載し人間の入っていけないところの様子を撮影するなどの用途が考えられている。

ロボットもヘリコプターも、開発発表のときに拙者が記事にした。しかし現物を見て、何とも楽しくなった拙者である。何故って? だって日本に、こんな素晴らしい技術があるのを実感できるから。仕事柄そうした機会は多いが、何度遭遇しても、斬新で素敵な技術を目の当たりにするのは楽しいものである。

日本は、いろんな意味で、まだまだ世界最先端の技術を持っているのだ。それを考えるだけでも楽しくなる。何とも誇らしいではないか。

【追記】昨日の「写真」では、ぱぐ犬が3頭写っている。すかさず「連弾庵のぱぐさんは2頭ではないですか?」との質問を頂いた。確かに「連弾庵」は2頭だ。母さん犬の「ぱぐ」と子供の「あかね」。で、母さん犬がいれば、当然父さん犬もいる。写真のいちばん左に写っているのが、父さん犬の「じゅん」だ。「じゅん」は遠く離れたところに住んでいるのだが、年に1度、みんな(拙者を除く)で会いに行くことにしているのである。


...... 2004年 1月 31日 の日記 ......
■[ NO. 129 ]
空振り
晴れ。やや暖かい。

ぱぐとあかね


このところ、近所で空き巣だの強盗だのが頻発している。1月に入って連弾庵のある通りで、3件も連続してやられた。連弾庵など別に盗られるようなものはないが、やはり入られたらイヤだ。そこでさまざまな防犯対策をしているのだが、どこまで効果があるだろう。最近ちょっと心配になっている拙者だ。




夕方から銀座に出る。パソコンが入るような肩掛けバッグが欲しかったからだ。折しもあるブランドのショップから「新作がたくさん入りましたので見にいらして下さい」という葉書が来ていたし、そのブランドのWebサイトで「バレンタイン・コレクション」の新作で、ちょっと見てみたいバッグがあったのだ。だめ押しするように、昨日の夜、そのブランドから「バレンタイン・コレクション」のダイレクト・eメールが入った。・・・と言うわけで、ノソノソと銀座まで出た拙者だ。

出たついでに「ヤマハ」で「ぶらあぼ」の2月号をもらう。演奏会の情報をチェックするためだ。

さて、ショップへ行って、店員さんに「この商品を見せて下さい」と言ったところ、何と「発売は未定です」。「大きさや価格は分かりますか?」(拙者)。「いいえ、まったく何の情報も入っていません」(店員嬢)。

バッカモーン。こんな状態ならWebやメールで大宣伝するな! Webやメールでは、即座に入手できるような印象だ。「あの、御社のWebサイトに出ているのですが」(拙者)。「いえ、まったく存じ上げておりませんでした」(店員嬢)。バッカモーン! 未発売はともかく、せめて発売時期や価格が決まって、スペックが明示できるようにしてからWebサイトで公表するなり宣伝するなりしろ。まったく無責任なブランドだ。人を馬鹿にしている。おまけに、既発売の新作も見たかったのだが「手元に商品がありません」。バカモン。Webで宣伝している品物くらい、ちゃんと置いておけ! まったくなってない会社だ。

これじゃ、何のために銀座までノソノソ出てきたのか分からないではないか。完全な空振りだった。

それから「ぶらあぼ」を見たところ、2月のピヤノ・デュオ演奏会は、既に「演奏会情報」で掲載済みのものばかり。こちらも空振りだった。

何のために銀座まで出たのか、分からない午後だった。ああ、時間を無駄にした。裏通りの片隅で、ちょっと「いい飲み屋」を見つけたのだけが収穫である。

宵闇の銀座
宵闇の銀座・冬