連弾庵主人日乗
2003年12月


...... 2003年 12月 01日 の日記 ......
■[ NO. 66 ]
銀座散策、愚著、河豚
雨。一日中降り続く。時折強く降る。

11月はちょっと働いた。そこで今日は代休を取るはずだった。ところがシステムのトラブル等で、午前5時まで働くことになってしまった。もう、総退却まで、あと一歩だ。仕事が終わって、仮眠をして気が付いたらもう11時だ。しかも仕事のメールがわんさか入っている。それに返事を書いていたら、あっという間にお昼を超えてしまった。こうなると、何のための代休か分からない。ピヤノを弾く気も失せた。

午後になって、お昼ご飯を食べたパグたちを、雨の中、散歩に連れ出す。雨が降ろうと風が吹こうと、雲故や疾呼をさせなければならない。連中、家の中では我慢をしているからだ。連れ出してやらないと、可哀想である。拙者もパグたちと一緒に、雨に濡れながら歩いた。

あまりにも気が晴れないので、銀座に出てみた。

前回「ヤマハ」に行ったとき、リムスキー=コルサコフの「金鶏」組曲の連弾版がForbergのコピー譜で売っていたことを思い出し、買いに行ったのだ。拙者と言えども、Forberg版のコピー譜はネット経由では入手できないからである。残念ながらこの「金鶏」、どなたかに持って行かれた後だった。躊躇せず、見つけたときに買っておけば良かったと思った拙者であった。あの手の楽譜は、見つけたときに入手しないと、2度と手に入らない。それが十分分かっていながら、「またにしよう」と思った拙者が愚かであった。

同じヤマハで「ピアニストに贈る音楽史」(音楽之友社)という魅力的な題名の書籍を見つけた。どんなことが書いてあるのだろう? 拙者、大変に期待してページを開いた。しかし、はっきり言って相当なガッカリ物である。最初の方に音楽史の流れがちょこちょこ書いてあって、あとは作曲家の略歴(とも言えないほどの短い紹介)の羅列である。真面目に西洋音楽史をおさらいした人には、こんな本はいらない。買うだけ無駄である。それから作曲家に関しては三省堂の「クラシック音楽作品名辞典」の方が、はるかにましだ。音楽史をピヤノで追うのであればシェーネマン「ピアノ音楽史」(春秋社)の方が格段に上である。この音楽之友社から出た「ピアニストに贈る音楽史」は、駄作のひとことに尽きる。読むだけ無駄だ。付録に「ピアニストの系図」が載っているが、そんなものを知ってどうする。音楽史とは関係ないことではないか。まあ、音楽史の勉強を端折ろうとする者には、アンチョコとしてもってこいのものかも知れないが。

何も収穫がなかったので、街をぶらついた。そこで撮影したのが下記の写真である。先日、この日記でも紹介した銀座名物「ミキモト本店」のクリスマスツリー。




あまりよく撮れなかったが、写真以上に綺麗なものである。毎年、これを見ると年の瀬が近づくのを感じる。

銀座の後は、浅草の料理屋へ行った。この時期、「スッポン」を食べるのが“行事”になっているからだ。しかし街は何となく蒸していた。店に入ったが、どうにも「スッポン」という雰囲気ではない。「スッポン」は、もの凄く寒い時期に、からだを暖めるために食べるものだからだ。仕方がないので、「河豚ちりコース」にした拙者たちであった。おっと、決して高くないのだよ、このお店。旨いけど良心的。でなければ、拙者などが入れるはずはないではないか。・・・と言うわけで、スッポンはまたにした拙者たちであった。もっと寒くなってから頂こう、スッポン。


...... 2003年 12月 02日 の日記 ......
■[ NO. 67 ]
クレモナの響き
晴れ。気持ちの良い朝。だけど少し冷え込む。

午前、午後と取材で都内を徘徊する。11月は、ちょっとばかり働いたので、その疲れも出ていたが、まずは仕事である。ただ、今日は仕事の絶対量が少なかったので、まだ楽だった。例によって、某月刊誌の連載の準備も始めなければならず、ちょっとばたつく。

そもそも、この連載は、拙者のセクションのメンバーが持ち回りで書くはずだった。ところが、いろんな事情が重なって、拙者の個人コラムになってしまった。まあ、書かせて頂けるだけでも有り難いことであろう。ご愛読下さる方も増え、ご意見を頂くようになったのは嬉しい限りである。




夕刻から、イタリアの巨匠、ウート・ウーギ氏のヴァイオリン・リサイタルに出かける。ウーギ氏は、今月のNHK交響楽団のソリストにもなっていて、協奏曲の演奏があるのは知っていたが、ソロ・リサイタルをするとは直前になるまで知らなかった。拙者、このヴァイオリニスト、1度でいいから生で聴いてみたいと思っていた演奏家である。

プログラムは以下の通り。

・タルティーニ:ソナタト短調「悪魔のトリル」
・ベートーヴェン:ソナタ第5番「春」
・J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第2番
・ラヴェル:ツィガーヌ

アンコールは
・サラサーテ:カルメン幻想曲
・パガニーニ:カプリース第24番

当初のプログラムでは、バッハは「シャコンヌ」だけを弾くはずであったが、なぜかパルティータ第2番の全曲を弾いた。おまけにアンコールも大曲だ。予想以上に長時間のコンサートになった。ちなみにピヤノは岩崎淑さんである。

例によって、全体の感想を言おう。

ウーギ氏の音は、素晴らしく明朗で太い。楽器をもの凄く良く鳴らす。会場は浜離宮朝日ホールだったのだが、もう、ホールいっぱいにウーギ氏の音が響き渡る。期待通りの、大変なヴァイオリニストだ。しかも、演奏のスケールが非常に大きい。恐らく太めの音で、フレーズを朗々と歌うので、そのように感じるのであろう。

前半のタルティーニやベートーヴェンも良かったが、圧巻は後半のバッハとラヴェルだ。もう、気迫迫る演奏である。完全に聴衆を圧倒した。これでけ芯のある音ならば、仮に管弦楽をバックにしたところで、決してかき消されることはないであろう。

拙者、実のところを言うとヴァイオリニストではクレーメル氏とムター女史が好きなのであるが、ウーギ氏も期待通りであった。ただ、ベートーヴェンではクレーメル氏の印象があまりにも強いので、若干違和感を持ったのであるが。

ラヴェルやサラサーテ、パガニーニでは、若干ながら細かいミスが聴かれた。しかし、演奏全体が“大きい”ので、そんなことはほんの仔細なものである。非常に素敵な演奏会だったことを、まず申し上げておきたい。

ピヤノの岩崎さんも、素敵な伴奏をつけていた。呼吸もぴったりあって、素晴らしいサポートをしている。ただ、残念なことに、せっかくのデュオの片方であるピヤノがサポートになってしまったことだ。

実は、この演奏会、ピヤノの「蓋」は「半開き状態」だった。これはいけない。普通の室内楽の演奏であれば、それでいいのかも知れない。しかし、これだけヴァイオリンが太い音で朗々と歌うのに、ピヤノの蓋が半開きでは音のバランスが崩れる。折角、演奏上はがっぷりとヴァイオリンと組み合っているのに、音量のバランスが良くないため、どうしてもヴァイオリンに追従するかたちになってしまった。

ここまで「鳴る」ヴァイオリン、そして「鳴らせる演奏者」を相手にするのであれば、ピヤノの蓋は全開にするべきだった。そうすれば、ピヤノは単なる伴奏の域を超えて、「完全な2重奏」になったことだろう。そのことが、とても残念でならない。

演奏会の後、何人かの方とお喋りしたが、ほとんどの方が拙者と同じ感想を持ったそうだ。素晴らしい演奏会だったが、室内楽に於ける音量のバランスについて、とても考えさせられた拙者であった。

難しいね。室内楽、特にピヤノが入る場合のバランスは。


...... 2003年 12月 03日 の日記 ......
■[ NO. 68 ]
沈没
曇り。さらに冷え込む。明日からは、マフラー着用で出勤しよう。

1日中デスクワークで疲労。あまりに疲労が激しいので、19時前にオフィスを辞した。

3月のドイツ行き。宿は取れたが、やはり1泊5万5000円。これでは決済が下りず、とてもではないが行けない。ハノーヴァーの「ドイツ産業見本市」のトップに掛け合って、3万円程度で何とか宿が取れないか、交渉を続ける。ただでさえも、くたびれているのに、こうした作業までやらなければならないので、困ったものだ。

帰宅して、サイトの更新をして、メールを10通ほど書いたら、もうダウン。今日は沈没だ。


...... 2003年 12月 04日 の日記 ......
■[ NO. 69 ]
一期一会
晴れ。かなり冷え込む。

自宅−最寄り駅の間は自転車で通っている。「そろそろコートが必要かな」と思う。しかし自宅最寄り駅−オフィス最寄り駅の間は、コートはおろかマフラーもいらない。暑いのである。自宅から最寄り駅までは片道5分。一方、自宅最寄り駅−オフィス最寄り駅は片道40分だ。ちなみにオフィスと駅の間は徒歩5分。つまり、コートが必要なのは片道10分、全く不要なのが40分だ。

さあ、どうしよう? 昨年はいったいどうしていたのか。ちょっと思い出せなくなっている。コートを着て出て、電車の中では脱いでいたのかな? 電車で通勤されている方は、いったいどのようにしていらっしゃるのだろう?




演奏会でもCDでも、演奏家との出会いは「一期一会」である。有名でない演奏家でも、素晴らしい演奏を聴かせて下されば、「また演奏会に行こう」という気になる。そうした幸せな出会いは、何人もあった。逆に著名人でも、つまらない演奏や不真面目な演奏を聴かされたら、2度と行こうとは思わない。特に演奏会での出会いは大切だ。録音でダメなのは---どんな録音でも細工がしてあるから---もう最初の1枚がダメならアウト。それで、その演奏家との「お付き合い」はお終いだ。

それほどまでに、演奏家との出会いは「一期一会」なのである。

録音を聴いていて大変に期待していて、やっと聴きに行ったと思ったら、気の抜けた演奏でがっかりし、2度と演奏会にも行かないし、CDも買わなくなった代表格がM.ポリーニだ。忘れもしない1995年の「ブーレーズ・フェスティバル」。ブーレーズさま+ロンドン交響楽団が、メシアン:クロノクロミー、バルトーク:ピヤノ協奏曲第2番、ストラヴィンスキー:春の祭典をやる---。このときのソリストがポリーニだった。チケットの入手は困難を極めたが、妻(まだ結婚前だったが)が苦労して、とても良い席を確保してくれた。

ところがである。ポリーニの都合で協奏曲が一度はシェーンベルクに変更され、前日になって再びバルトークになって、当日になったら、何と協奏曲の演奏は中止になった。協奏曲の代わりに、ポリーニはシェーンベルクの小品をいくつか弾いた。しかもとても面白くない---言ってしまえば、かなり不愉快な演奏で。はっきり言って、下手くそだった。プログラムは二転三転させるは、最後は気のない演奏を聴かせるわで、このピヤニストには大変にがっかりした。やることがいい加減だ。もう2度と聴かない。CDも買わない。これほど人を馬鹿にした演奏家もないだろう。

もちろん、演奏家にもコンディションというものがある。弾けない時だってあろう。そうしたら、潔く演奏会をキャンセルすればいいのだ。その方が聴衆に対して誠実だ。少なくとも、気の入らない演奏を聴かせるよりはずっといい。あの演奏を聴いて「こいつは許せない」と思った拙者である。まあ、ブーレーズさまの演奏が素晴らしかったので、こいつの不出来は帳消しになったが。もちろん、ポリーニの演奏には、拍手などしなかった。ステージに非常に近い席で、ポリーニと眼が合ったが、腕組みをしてにらみ返してやった。

いま、国内でちやほやされているT.N.という指揮者がいる。こいつも許せない奴だ。ある現代音楽の演奏会で、こいつが振った。それまで一度も聴いていなかったが、前評判が良かったので大変に期待して演奏会に行った。

ところがである。こいつ、演奏会の最初から最後まで、いい加減な演奏をした。管弦楽団を纏めきっていないし、演奏の出来は最悪だ。拙者の好きな曲ばかりだったので、最後まで我慢して聴いた。しかし、好きな曲をだらけた演奏で聴くほど辛いことはない。本当に頭にきた。指揮者にやる気がないことくらい、聴いていて分かる。本当に酷い演奏だった。こいつの演奏は2度と聴くまいと思った(そしてこれまでも聴いていない)拙者である。

先般、「二期会」がベルクの「ルル」を上演した。二期会としては相当に力を入れた公演だ。拙者の所にも半年前、二期会から制作発表会と記念レセプションの招待状が届いた。一瞬、出席しようとした拙者であったが、指揮者の名前を見ていっぺんで行く気が失せた。例のT.N.だったからである。何で、こんな奴を使うのかと、心底がっかりした。こいつが振るのでなければ、発表会とレセプションにも出たし、本番も聴きに行っていただろう。しかし、1度でも拙者の前で「やる気のない演奏」を聴かせた演奏家のコンサートなど行きたくもない。

演奏会。それは演奏家にとって「日常」かも知れない。でも、その演奏に最初に出会う人もいるのだ。演奏家には、是非、そのことを忘れないでいただきたい---そう思う拙者である。

ちなみに、録音を聴いて「もう、こいつはダメだ」と思って、CDも演奏会も聴かない奴の代表格がC.ツィメルマンである。こいつの演奏を最初に録音したショパン・コンクールの本選の演奏を友人から聴かされた。もう20年以上まえの話である。「素敵だから」といって聴かされた演奏は、大変にふやけて実に面白くない演奏だった。それ以来、こいつの演奏は一切聴いていない。もう2度と聴く気も起こらないからだ。タダでチケットをくれると言われても、こいつの演奏は行かない。もちろん、彼の演奏は変わっているかも知れない。しかし、最初に聴いた強烈な「ダメ」印象は拭えないのである。

演奏者と聴衆の出会いは「一期一会」。それをふと感じる、今日、このごろである。


...... 2003年 12月 05日 の日記 ......
■[ NO. 70 ]
積もる書籍
曇り、ときどき雨。

今日も12月にしては、暖かい。こう暖かいと、妙な気分になる。体調がすぐれないのも、このためか? 食欲もあまりない。昼は「むすび」を1個食べただけだ。午後8時、オフィスを辞す。




またやってしまった。書籍の衝動買いだ。作家の高嶋哲夫先生がご自身初の金融サスペンス「虚構金融」を上梓されたので、これを購入しようと思って、「amazon.co.jp」へ行ったのだ。ちなみに拙者、街の書店はほとんど利用しない。行くのが面倒だし、本を持って帰るのも面倒だ。オンライン書店ならその必要はないし、amazonだったら1500円以上購入すれば、送料もタダになる。

先日、高嶋先生から「初めて金融分野に挑戦したので、是非読んで下さい」とメールを頂いていたし、帝国ホテルでばったりすれ違ったとき「読んで、感想申し上げます」と言った手前、読まねばならぬ(といって義務に感じているわけではなく、出来には期待しているわけだが)。

amazonへ行っても、高嶋先生の新刊だけで止めておけばいいものを、サイト内をあちこちフラフラしているうちに、大量の買い物をしてしまった。自宅にもオフィスにも、公私ともに読まなければならない本が山積みになっているのに、また「積ん読」の本ができてしまった。自分でもしょうもないと思う。しかも連弾庵の本棚---普通の単行本で3000冊は収容できる---も、ほぼ満杯状態だ。これ以上、本が増えたらどうしよう…と思いつつ買ってしまう拙者は、我ながら情けないと思う。

書籍の山が届いたら、まず高嶋先生の御著書から手にとることにしましょう。


...... 2003年 12月 06日 の日記 ......
■[ NO. 71 ]
沈没、総退却
曇り。相変わらず生暖かい。

朝、目が覚めると、全身が痛かった。頭痛はする、喉は痛い。体中の関節も痛い。筋肉痛もする。とても起きあがれる状態でなかったので、キッチンへ下りていき、お茶を飲んで再び横になる。次に目覚めたら、昼だった。

猛烈にからだがだるいので、何もできない。お腹も痛くて、便所が近い。ようやく、ぱぐたちの午後の散歩に出るのがやっとだ。

ほとんど寝たきり状態の1日だった。


...... 2003年 12月 07日 の日記 ......
■[ NO. 72 ]
ワクチンは元気になってから
曇り。今日も生暖かい。

昨日、滅茶苦茶にいろんな薬品を口経投与し、ドリンク剤を浴びるほど飲んで眠っていたおかげで、多少は元気になった。何とか起きあがれ、パグたちの散歩も、一応元気に出かけた拙者であった。

先週から書き貯めてあった「今週の1枚」の最後の詰めだけやってアップしたので、今夜の負担はそれほどでもなかった。おまけに松永晴紀先生から資料のご提供があったので、さらに楽な更新だった。松永先生、ありがとうございます。

明日からは、きっと元気に出勤できることであろう。

そう言えば、勤務先にある診療所で、インフルエンザの予防注射をやっていた。先週の金曜あたり受けようかと思ったが、止めておいて良かった。この体調でワクチンなど打ったら、どうなることか分からなかった。

ワクチンは、元気になってから打つことにしよう。


...... 2003年 12月 08日 の日記 ......
■[ NO. 73 ]
何となく気持ち悪いぞCCCD
晴れ。冷え込みが急に激しくなったような気がする。

風邪がぶりかえしたようだ。頭痛がするし、関節も痛い。しかし、今日と明日は休むわけにはいかない。這うようにして出社した。

出社したら、すでに同じ部署で2人ほど倒れて、出社できなくなっていることが判明した。我がニュースセンターには、悪い菌が漂っているようだ。

机の上を見ると、郵便物に混じって、ドイツからのファクシミリが入っていた。来年の出張---海外出張など、通常は2週間前くらいに決まるのに来年の話など異例のことだ---のためのホテルの確保ができたとの通知。1泊250ユーロ(約3万2000円)だ。これなら決済も下りる。ハノーヴァー市の関係者の皆さんのお力で、何とか決済の下りる範囲でホテルが取れた。有り難いことである。

早速、ルフトハンザの手配をする。もちろんオンライン予約だ。しかし、通常使うフランクフルト−ハノーヴァー間の便は、既に埋まっていた。仕方がないので、急遽ミュンヘン経由で行くことにした。ミュンヘンのような素敵な街をトランジットするだけでは何とももったいない話である。まあ仕事で行くのだから仕方ない。でも、何だか先が思いやられる。




妻が、エリック・クラプトンの「BALLADES」というアルバムが欲しいという。丁度、アルバイトの原稿料が入ったところだ。「amazon.co.jp」で購入することにした。

それだけ買えば良いのに、また悪い癖が出て、別の買い物までしてしまった。まあ、アルバイト料の範囲なので良いであろう。

買ったのは11月に出たばかりの「LET IT BE...NAKED」というアルバムだ。これに関しては、あちこちのメディアで記事が出ているので詳細を書くのを省く。実はこのアルバム、国内盤とUS盤が出ているのだが、国内盤は評判の良くないCCCD(コピー・コントロールCD)だ。しかも2667円もする。ところがUS盤はまったく同じ内容でCCCDでない普通のCDで、しかも1680円で買える。どちらを買うか。迷わずUS盤にしたことは言うまでもない。

いろいろ物議をかもしているCCCDを高い値段で買うより、普通のCDを安い値段で買った方が良いに決まっている。国内盤には厚めのブックレットが付いてくるそうだが、そんなものは別にいらない。US盤も買ってみたら、中のブックレットに「おまけCD」に収録されているメンバーの会話がきちんと掲載してあった。高い国内盤など買わなくて、本当に良かったと思った拙者であった。

しかし、何となく気持ち悪いね、CCCD。ちなみに拙者のCDラックにはCCCDは1枚もない。


...... 2003年 12月 09日 の日記 ......
■[ NO. 74 ]
沈没
晴れ。一段と冷え込む。

疲れが溜まって、風邪も良くならないが出社する。いろいろあって、くたびれた。

サイトの更新もしたいのだが、今夜は沈没。


...... 2003年 12月 10日 の日記 ......
■[ NO. 75 ]
忍び込むもの
曇り。冷え込む。

今日から、マフラー着用で出勤だ。それでも自転車で自宅と最寄り駅を往復すると、ちょっと寒い。そろそろコートも必要かな?




一昨日、「拙者のCDラックにはCCCDは1枚もない」と書いた。ところが、よ〜く探してみたら、1枚だけ見つかった。「CCCDは買うまい」と思っていたのに、いつの間にか侵入していたのだ。

CCCD、やはり気持ちが悪い。正直言ってCCCDは、厳密にはCDではない。音楽CDの規格(レッド・ブック)に従った仕様ではないからだ。しかも、CDプレーヤに悪影響を及ぼしたり、CDプレーヤーではCCCDの再生が保証されていないというではないか。これに関しては「こちらのサイト」が詳しい。是非、お読み頂きたい。

しかし酷い話である。レコード会社は自分たちが売っているCCCDが、どのCDプレーヤでも再生できることを保証していない。しかも再生できなくても返品には応じないという。こんな馬鹿な話はないだろう。買っても読めるかどうかわからない新聞や雑誌、書籍を売っているようなものだ。こんなことが許されて良いわけがない。おまけにCCCDを再生しようとしてプレーヤが壊れたとしても、誰も責任を取ってくれない。

CCCDが生まれたのは、ざっくり言えば著作権を保護するためだ。

著作権の保護。

これに関しては、全面的に賛成だ。著作権はきちんと守られなければならない。そして誰もがみな、著作権法に則った行動を取るべきだと考えている。拙者も仕事柄、著作権保護に関するニュースや解説記事を書いたり、著作権保護団体を支援する活動もしている。

しかし、それとCCCDのような「鵺(ヌエ)」のみたいなものをはびこらせていいのか…と言うのとは別物だ。折角買っても、自分のプレーヤで再生できない、最悪の場合プレーヤを破壊してしまうものを平気で販売する。こんな行為は許されるべきではないだろう。

皆さんは、CCCDについて、どのようにお考えですか?


...... 2003年 12月 11日 の日記 ......
■[ NO. 76 ]
沈没、総退却
雨。1日中降り続く。

風邪が、またまたぶり返す。激しい頭痛と発熱だ。体中が痛い。遂に出勤できなくなった。丸1日、眠って過ごす。完全に沈没、総退却だ。

日が暮れてから、ようやく起きあがり、インターネット経由で会社の掲示板にアクセスする。そうしたら「全社お知らせ」の項目で「診療所から」というのがあった。

「今年は、インフルエンザのワクチンを大量に確保しました。ところが接種希望者が多く、本日で在庫が尽きました。今後、確保できるかどうか、分かりません」

ああ、拙者が接種する前に、ワクチンはなくなってしまったのだ。先日「ワクチンは元気になってから受けよう」と思っていたのに。

何とも運の悪いことである。


...... 2003年 12月 12日 の日記 ......
■[ NO. 77 ]
体力が消えていく
雨、のち曇り

出勤前に、某医科歯科大学の病院に行く。例の「中心性漿液性網脈絡膜症」の治療のためだ。

検査を受けると、酷かった左目ももう、ほとんど水が溜まっていないとのこと。視野の歪みはまだ当分残るが、それほど心配することはないとのことだった。

10月〜11月にかけて、症状が悪化したのは、一時的なことのようだ。過労やストレスが溜まるとそうなるらしい。そういえば、10〜11月はちょっと忙しすぎたっけ。それがてきめんに出たようだ。

体調が良かったので、夕方、友人でジャーナリストの井田道範氏と、打ち合わせを兼ねて呑む。井田氏は博識なので、話しているととても楽しい。ところがやはり疲れていたのだろう。大して量は呑まなかったのに、あっという間に「回って」しまった。ビールを小ジョッキ1杯、日本酒を5合くらいだ。井田氏も同じ量を呑んだが、ピンピンしている。

まあ、「回った」といっても意識を失ったり、暴れたりするわけではないので、周囲に迷惑はかけないが。呑んでいて、疲れがどっと出たのである。何とか電車で最寄り駅までたどり着くことができた。

帰宅して、コンタクトレンズを外したら、そのまま完全に沈没してしまった。日記も付けず、どこにもメールを書かずに。こんなことは珍しい。

とにかく、アルコールが弱くなったことを実感した拙者であった。


...... 2003年 12月 13日 の日記 ......
■[ NO. 78 ]
目標があるから
晴れ。

8時に眼を醒ます。起きあがってみると、誰もいない。みんな「朝のお散歩」に出てしまったようだ。午前中は寝たり起きたりして、過ごす。

午後はピヤノの練習だ。

明日は、年に1度だけ、拙者たちが人前で弾く会がある。拙者と妻がやるのは技術的には易しい曲だが、最後の詰めをする。弾いても弾いても、完全にならないような気がするのは、いつものことだ。

拙者との練習が終わって、妻は松永教授とやるシューベルトのプリモをさらっていた。こちらも弾いても弾いても弾き足りないようだ。

人前で弾くのは、本当言うと好きではない。でも、こうした機会でもないと、目標を持って練習できないことも、また事実である。拙者たちにとって、この年に1度の機会は、まことに貴重なものなのである。

もちろん、自分たちが弾くだけではない。たくさんの方とお目にかかってお喋りできるのも、この会の魅力だ。この会に出るようになってから、もう9年になる。毎年恒例のお楽しみとなった。

拙者、音楽でも良い仲間に囲まれていると実感する次第である。


...... 2003年 12月 14日 の日記 ......
■[ NO. 79 ]
みんなで音楽
晴れ。

8時に眼を醒ます。昨日に続いて、もう誰も家にいない。「朝のお散歩タイム」である。

雨戸(シャッター)を開けて、しばらくぼーっとしていると、電話が鳴った。「誰だろう、こんな時間から」と受話器を取ると、何と5年ぶりに話す尺八奏者のTさんだった。

「今日は“望年会”がありますよね。出席してもよろしいですか?」。Tさんはしばらく米国勤務をしていたのだが、それまではこの会の常連だった。このTさん、本職は電機メーカーにお勤めなのだが、一方でNHK邦楽オーディションに合格し各地で演奏会をする著名な尺八ソリストなのである。拙者は「もちろん、喜んで! 是非出席して下さい」とお願いしたことは言うまでもない。

さあ、午後からはその「望年会」だ。

ここにはいろいろな人が集まる。プロの演奏家もいれば、アマチュアもいる。初心者レベルから、ソリストクラスまで、レベルも様々だ。こうした人たちが一緒になって、ピヤノを中心にして遊ぶのである。

しかも普段は飲食厳禁のホールなのだが、この日ばかりはワインやビールが炸裂する。みんなで呑んだり食べたりしながら、弾いたり歌ったりするのだ。

参加者のみなさんに演目を申告していただき、その場でプログラムを組んでの演奏だ。プログラムを組んで司会をするのは、ここ数年、拙者の役目になっている。いろいろ気を使うが、楽しい作業である。

毎年の常連もいれば、初めていらっしゃる方もいる。初めての方でも、みなさんにとけ込めるようにガイドするのも、拙者の役目。

今年は拙者の回りでいえば、よくメールを下さるYさんが友人のKさんを連れて初参加。妻に連弾のレッスンをしてデュオを組んでいるから、とピヤノ・デュオ研究の松永晴紀教授までいらして下さった。岐阜からわざわざ、拙者たちの演奏を聴きにきて下さった方もいらっしゃる。

尺八のTさんにも、演奏に参加していただく。

今年も、わいわいがやがやと楽しく会は進んだ。拙者はワインを飲みながらホスト役をしていたのだが、途中から完全に酔っぱらってしまった。

全部で60人以上が参加したであろうか。演奏も30組近くが参加した。なかなかの盛況であり、本当に楽しかった。

「望年会」の散会後、幹事連中が集まって新宿で呑みだした。拙者も参加したが、遅くなるからと、途中退出させて頂く。もう、完全に酔っぱらっていた。帰宅して、パソコンのキーボードもまともに打てなかったくらいである。

本当に楽しかった。来年も、また参加したいな。
みんなで音楽するって、楽しいね。

ご参加下さったみなさま、ありがとうございました。


...... 2003年 12月 15日 の日記 ......
■[ NO. 80 ]
大騒ぎの後遺症
晴れ。

昨日、「ヤマテピアノ商会」の「望年会」ではしゃぎすぎたらしい。朝から完全に「退却モード」である。さすがに朝7時からの勤務は辛かった。元々休日の翌日の出勤は辛いものがあるが、今日はものすごく辛かった。

夜、帰宅をしてブラブラしていたら、望年会の参加者のおひとりから、写真が届いた。会の雰囲気をちょっと皆様にお伝えしようと思う。

連弾



妻と松永晴紀先生の連弾だ。曲はシューベルト作曲・シェーンベルク編曲の「ロザムンデ・序曲」である。演奏の後に、この編曲の由来---シェーンベルクは編曲当時とても貧乏で、ウイーンのUniversal社から管弦楽や歌劇の連弾用編曲の仕事をいくつももらっていて、しかも貧乏だったので断りきれずに編曲をした…という小話をしたら大いに受けた。

別のところにも書いたが、シェーンベルクという人は、やはり天才だったのだろう。自伝などによれば、ほとんどピヤノが弾けなかったのに、彼の残した連弾編曲は、どれも実によく出来ている。本当に連弾のことを知り尽くしていないと出来ないような書法で編曲がなされているのだ。ことにこの「ロザムンデ」は、もしシューベルトが自分で連弾編曲をしたら「きっとこうなっていただろう」と思わせるほど、シューベルトの連弾書法を模倣しているのである。

これをお読みになってご興味を持たれた方、是非とも弾いて頂きたい。楽譜はUniversalから出ていて、容易に入手可能である。

なお、拙者と妻が連弾した写真も頂いたのだが、あまり綺麗に撮れていないので掲載を見送った。

何はともあれ、拙者が大はしゃぎするような楽しい会だったのである。来年もやる。ご興味を持たれた方は、拙者までご一報頂きたい。ピヤノだけでなく、管や弦、声の参加も大歓迎だ。


...... 2003年 12月 16日 の日記 ......
■[ NO. 81 ]
気持ちを解きほぐす
晴れ。

今日は準夜勤だ。仕事が終わったのは午前1時。疲れた。明日は朝7時から勤務である。沈没モードだ。

でも仕事が終わったからと言って、即座には寝付けない。気晴らしに三遊亭円丈師匠の落語を聞きながら、アルコールを摂取する。円丈師匠の噺は、何度聞いても飽きないし、面白い。

拙者の性格に合っているのかも知れない。

ちなみに円丈師匠は、あのような有名人なのに、メールを差し上げると必ずご本人からお返事を頂ける。しかも、いつもとても謙虚な内容だ。感服する次第である。

今度は、直接お目にかかって、お話がしたいな。


...... 2003年 12月 17日 の日記 ......
■[ NO. 82 ]
判決の重み
雨のち晴れ。

一昨日からマフラーを着用していたが、あまりにも寒いので今日からコート着用である。考えてみれば、12月ももう半分過ぎた。コート着用には遅いくらいである。眠い眼をこすりなが、7時から仕事。

夕方は業務を同僚に替わってもらって、ファイル交換サービスに関する著作権侵害訴訟の取材だ。詳細は「こちらの記事」を参照されたい。

判決文を読み、弁護士の先生方ともお話ししたが、ごく当然の判決が出たと思う。むしろ損害賠償算定額が少ないと感じたくらいだ。もっとも日本の民事訴訟は、損害賠償額がとても低く抑えられてしまうのが実情である。

この判決の「キモ」は、サービスを提供する側が違法行為をしなくても、そのサービスによって違法行為が行われる、あるいはそれが予見できる場合には、サービス提供者も違法行為の予防をしなければならない、そしてそれを施さない場合は違法行為の当事者になると裁判所が認定したことにある。これは実に画期的な判断だ。

被告側(サービス提供者)は、いろいろな詭弁を使って、自分の法的責任を逃れようとした。判決文を読んで、非常に見苦しいと感じた拙者である。また判決を巡っては「新しいビジネスモデルを潰そうとするもの」との意見もある。しかし、それは間違っている。どんな革新的なビジネスモデルであっても、現行法を犯すようなものを手がけていいはずがない。この判決では、そのあたりを徹底的に批判している。

ポピュラーであれ、クラシックであれ、ミュージシャンは一所懸命になって音楽を作っている。その創造行為に対する対価がきちんと得られなくて何であろう。今回の裁判の対象になったファイル交換サービスを始め、インターネットを通じてのピア・ツー・ピアでの楽曲ファイル交換など、ミュージシャンの創造行為を踏みにじることになる。拙者はそうしたことは許せない。違法行為までして、音楽を聴きたいのだろうか?

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、こうした違法行為に対して厳しく接するという声明を出した。拙者もジャーナリストとして著作権保護に関わる立場なので、微力ながら何らかの協力ができれば良いと思っている。

著作権法を守らない奴など、音楽を楽しむ資格などない。野蛮人と同じである。


...... 2003年 12月 18日 の日記 ......
■[ NO. 83 ]
沈没
晴れ。

週も半ばになって、だいぶ疲れもたまってきた。しかし、弱音を吐くことは許されない。仕事、仕事、仕事! 帰宅すると、沈没するだけである。音楽など聴く気も起こらない。

おっと、沈没する前にも仕事。午前1時近くに仕事が終わり、2時に沈没。


...... 2003年 12月 19日 の日記 ......
■[ NO. 84 ]
気合い
晴れ。

やっと1週間の仕事が終わった。サイトを更新したいのだが、気力がない。困ったものだ。

アルコールを呑みながらあちこちのサイトを探索していて、またやってしまった。「お買い物」である。もう今年の「音楽予算」はないのだが、「どうせ、決済は来年だ」と、行きつけの「amazon.de」で、170ユーロも使ってしまった。酔っぱらってオンラインショッピングなどするものではない。つい気が大きくなって、いろいろ買い物をしてしまう。何度反省しても懲りない。

先般ある方から、「そちらのサイトのCD紹介で、購入できるサイトとしてドイツのamazonが頻繁に紹介されますが、どうしてですか?」とのお問い合わせを頂いた。

簡単なことである。ピヤノ・デュオのCDの品揃えでは、「amazon.de」が世界でいちばん多いからだ。大変に豊富な品揃えである。まだご覧になったことのない方、是非ともアクセスしてみて頂きたい。素晴らしい品揃えに驚かれることであろう。

しかしながら拙者、別にドイツ語ができるわけではない。オンラインで楽譜やCDを買うのに、特段ドイツ語の知識は必要とされないのだ。ごく簡単な単語が分かればいい。分からなければ、辞書を手元に置けばいい。ただそれだけのことだ。フランス語や英語にしても同じこと。必要なのは「気合い」だけである。拙者など情けないことに、英語すらおぼつかないのであるよ。だけど「気合い」で何とかしてしまう。

そうやって、いろんなことを乗り越えて来た、拙者であった。

外人に向かい合うにあたって、とにかく必要なのは「気合い」である。


...... 2003年 12月 20日 の日記 ......
■[ NO. 85 ]
犬のお洗濯
晴れ。

疲れが溜まっていて、昼近くまで寝る。

午後からは、ぱぐたちの洗濯だ。もう1カ月以上洗っていない。そろそろ洗わないと臭いがするのだ。パグ犬の臭い、結構臭いのである。拙者は、もう8年もパグたちと一緒にいるので慣れてしまったが。しかし臭いものは臭い。洗うに限る。

先月も書いたが、きれいに見える毛皮でも、結構汚れているものだ。洗うとドブ水のような色の水(正確にはお湯)が流れ落ちる。

ただし、冬だとお湯で洗ってきれいに乾かさないと風邪をひく。これは犬でも馬でも同じだ。結構大変な作業なのである。

パグ犬を2つ洗って、お風呂もぴかぴかに磨いたら、それだけで疲れた。あとは、ぱぐぱぐして過ごす。要は沈没である。

妻がR.R.Benettの「4つの小品組曲」の第2ピヤノを練習しているのが聞こえた。


...... 2003年 12月 21日 の日記 ......
■[ NO. 86 ]
あなたもウミヘビを…
晴れ。

どんどん寒くなっていく。風も強い。ようやくぱぐたちの散歩だけした。あとはぱぐぱぐして過ごす。

夕食は行きつけの鮨屋ではなく、回転寿司に行った。金(月々の予算)がなくなってきたからである。ただし、ここは比較的良心的な店で、いわゆる「まがい物」を使っていない。いろんなところから「業界」の評判は伝わってくるから、そのあたりのことはある程度分かるのである。

諸兄諸嬢、御存知であろうか。多くの回転寿司では、ネタに「まがい物」を使っていることを。特に「激安」をうたいものにしている店に「まがい物」が多い。適当な名前を使って、深海魚なんか出しているところはいくらでもあるし、酷いところは「ウミヘビ」を「アナゴ」として出している。

諸君、あなたが回転寿司で食べている「アナゴ」は、「ウミヘビ」かも知れないのだよ。ご注意あれ。まあ、毒にはなりませんけどね。ちなみにそれは「マルアナゴ」という和名で流通している。しかし歴としたウミヘビであるのだよ。だから拙者は、よほど信頼できる鮨屋でない限り、アナゴは食さない。

やっとのことで、サイトを更新した。それで、これを書いて沈没である。


...... 2003年 12月 22日 の日記 ......
■[ NO. 87 ]
わたしの死の後に
晴れ。典型的な冬晴れである。

例によって、1日中、ゴタゴタと仕事をしていたが、もはや経済界/産業界は年末だ。ニュースが“薄く”なる。ニュースが薄くなっても、拙者たちオンライン・ニュース・サービスは、ニュースを配信し続けなければならない。ニュースが山のようにあって大混乱するのも問題だが、“空っぽ”なのも別の意味で困る。仕方がないので、あちこち突っついて、ニュースを探す。




遅い昼食を食べながら---つまり休憩しながら---ある古書店のサイトを見ていたら、某国某都市の中古楽譜屋さんで、「管弦楽曲の連弾用編曲」の楽譜が大量に持ち込まれていたことを発見した。普段なら昼食時にもロイターや人民日報などからのニュース配信を監視したり、よそのニュースサイトを回って「特落ち」がないかチェックするのだが、先に書いたように“ニュース空っぽ状態”なので、昼食時には珍しく“完全休憩モード”に入ったのだ。普段の拙者には「昼休み」なるものはない。そして発見したのである。

どうやらピヤノ・デュオ演奏家か研究者、あるいはその家族(遺族かも知れない)が、大量の楽譜を処分したような気配なのである。でなければ、こんなに大量のピヤノ・デュオ譜---それも管弦楽曲の連弾用編曲---が一度に同じお店に出ることは考えられない。それは凄い量だった。

みんな欲しかったが、全部を買うことなど、とてもできない。いろいろ考えた末、10点ほど購入した。何を購入したか。現物が到着してからご報告することにしたい。大半がピヤノ・デュオ関係者の間では有名なものばかりだ。あまり期待はなさらないでいてほしい。

ただ、どうしても欲しかったが諦めたのが何点かあった。中でもシューベルト「未完成交響曲」をライネッケが連弾用に編曲したものがあったのだが、USドル換算で150ドルもしたので諦めざるを得なかった。今の拙者には、こんな高価な楽譜を購入する余裕などないからだ。「未完成交響曲」がライネッケ(シューマンの交響曲第3番を連弾用に編曲している)が、どれほどお洒落に編曲しているか、是非見てみたいと思うのだが。いかんせん高すぎて手が出ない。

で、びっくりしたのは英国の楽譜屋さんにあったワーグナー「ラインの黄金」(全曲)の連弾編曲楽譜が売れてしまったことだ。長いこと買い手がつかなくて、それなら拙者が原稿料が溜まったら購入しようと思っていた代物だ。USドル換算で200ドルちょっとした。「こんなもの、買う奴はいないだろう」と油断していたのが敗因だった。世の中には拙者と同じ“馬鹿”がいるのである。“デュオ馬鹿”が。

…今回の“コレクション大量処分”を見て思ったこと。拙者が死んだら、手元にあるピヤノ・デュオ楽譜のコレクションはどうしよう。拙者は、国公立の図書館か、大学・短大の図書館にまとめて1カ所に無償で引き取って頂こうと考えている。そこで「不肖かずみ文庫」みたいなものを設けて頂いて、どなたにでも必要な楽譜を自由に閲覧して頂けたらいいな、と思う。




夜。「ピアノ・デュオ作品事典」の著者・松永晴紀先生、ピヤニストの豊岡正幸さん、拙者、妻で、ささやかな忘年会。この1年間のデュオ演奏会やCD録音、音楽界の動きについて振り返る。会話の中で、日本ではまだまだピヤノ・デュオは音楽界に於ける市民権を得ていないことを実感。しかし、日本でもいくつもの素敵なデュオや、デュオに関する熱心な動きが高まっていることも感じた。

こうした熱心な動きに、少しでも拙者の活動が役立てば…と思った次第である。それから改めて実感したのは、松永先生のデュオ紹介にかける情熱だ。非常な勉強家で、日々大変なご努力をされて研究に邁進されていらっしゃる。今回も、たくさんの新鮮なお話を伺うことができた。ピヤノ・デュオ研究界で、米国のモーリス・ヒンソンやカーメン・マックグロウに対抗できる日本の研究者として松永先生は世界に誇れる方であろう。

早めに店を出たのだが、松永先生をお送りして帰宅したら午前0時過ぎ。あまり呑まなかったので全然酔っぱらっていない。お風呂に入って、上がってアルコールを再注入だ。

午前3時に沈没する。


...... 2003年 12月 23日 の日記 ......
■[ NO. 88 ]
年賀状
晴れ。ただし、寒くない。

朝8時に目が覚めた。だけど、お布団から出るのが、何となく辛い。暖かいお布団は気持ちが良いものだからだ。お水を飲みに階下に下りて(拙者の寝室と書斎は2階にある)、便所に行って、またお布団に潜る。今日は珍しく「ぱぐ」が来ない。普段だったら階段を上がって拙者の布団に潜り込んで来るのだが。階下で遊んでいたか、ぱぐぱぐしていたかであろう。

午後からは年賀状作りだ。

デザインは凝らなかったので1時間ほどでできたが、印刷が大変だった。文面を刷るのに1枚1分30秒かかる。宛名をするのに30秒だ。これだけで午後---といってもぱぐたちの散歩に行った後だから、午後4時過ぎだけど---から夜の時間を使ってしまった拙者である。

でも、考えて見れば、年賀状を出すお相手がたくさんいらっしゃるというのは良いことだ。拙者たちはこうした方々に囲まれて、幸せな毎日を送っているからである。


...... 2003年 12月 24日 の日記 ......
■[ NO. 89 ]
沈没
晴れ。

朝、起きると、何となくイヤな予感がする。それでも「まあ、いいか」と出勤。

しかし、予感は当たった。通勤電車の中で座って眠ってしまったのだが、下車駅の1つ前で目が覚めると、猛烈に気分が悪かった。悪寒はするし、吐き気もする。でも「ここまで来たのだから」とオフィスへ出頭。

仕事を始めるが、気分は悪くなるばかり。昼食に、やっと「むすび」を2つ食べた。しばらくして、もう座っていられなくて診療所に駆け込む。案の定、熱がある。風邪薬と鎮痛解熱剤と胃薬をもらい、即座に飲む。丁度、病室が1つ空いていたので横にならせてもらうことにする。

1時間半ほど眠った。多少気分が良くなったので、オフィスへ戻る。しかし相変わらず調子は良くない。午後6時。帰宅を決める。この日は部署の忘年会だったのだが、そんなものにはとても出ていられる状態ではない。会費だけ徴収された。

帰宅して軽く食事をして、薬を飲んで沈没。サイトを更新したいのだが、それどころではない。

ああ、情けない。



...... 2003年 12月 25日 の日記 ......
■[ NO. 90 ]
続・沈没
晴れ。

熱がある。起きあがれない。早くも病欠を決め込む。ほとんど丸一日眠っていた。

こんなことになったのは、今月に入って2回目。自分でも信じられない。そもそも拙者はスポーツ・パーソンで、からだは至って丈夫だ(ったはずである)。この10年以上、具合が悪くなって休んだという経験は、ほとんどない。1回だけインフルエンザにやられただけだ。忘れもしない、スビャトスラフ・リヒテルが横浜でリサイタルをやったときだ。ホールを出てすぐに具合が悪くなった。帰宅したら9度5分の熱だ。まあ、具合が悪くなって動けなくなったのは、そのくらい。

その前といえば、十数年前に調子が悪いのに無理をして肺炎になり、2週間ほど病院のお世話になったくらいなものである。それが、何という体たらくであろう。健康管理はきちんとしているのに、この様だ。まったくみっともない限りである。やはりからだが弱くなっているのであろうか。だとしたら、何とかせねばならぬ。

そろそろ、乗馬復帰をまともに考えなければならないかも知れない。

・・・というわけで、今日も沈没だ。


...... 2003年 12月 26日 の日記 ......
■[ NO. 91 ]
お引っ越し
晴れ。のち曇り。夜になって雨。

熱は下がったが、まだ本調子ではない。しかし、何としても出勤しなければならないのだ。部署の引っ越しがあるからである。こんな体調になるとは思わなかったし、今日も仕事があるので、荷物などまとめていない。仕方がないので出勤する。

何だか面倒くさくなったので、思い切って所有物を半分捨てた。古い書類の中から、以前雑誌をやっていたとき、取材先から頂いた内容証明郵便など抗議文がいくつも出てきた。これは面白いのでとっておく。大量にあった訴訟関係の資料も本当に残しておかなければならないものを除いて、みんな捨てた。これは担当弁護士を押さえてあるので、いざとなれば資料の再入手が可能だからだ。その他、いろいろ捨てた。おかげでだいぶすっきりした。

引っ越し業者が来る前に、部署のみんなで麦酒を呑む。途端に気分が悪くなった。便所へ直行だ。戻ってきて、胃薬を浴びるように飲んで、早々に帰宅する。

今日は、サイトの更新ができるかどうか分からないが、更新用のデータ整理だけはやることにする。更新したい情報は山のようにあるからだ。少しでもやっておかないと、後が苦しくなる。せっかくサイトにいらして下さった皆様にも申し訳ない。

さて、どこまでできるかな。


...... 2003年 12月 27日 の日記 ......
■[ NO. 92 ]
半日睡眠
雪。のち、晴れ。

本来ならば、大掃除をして年賀状の裏書きをしなければならない、しかしいずれもやらず半日眠っていた。何だか疲れが一気に出たのだ。おそろしく生産性の低い1日。

ぱぐたちの散歩の後は、家電量販店に行く。この前から固定電話機の調子が大変に悪くなっていたからだ。電話がかかってきても親機では取れなかったり、子機は通話が終わって充電器に戻しても通話が切れなかったり。しばらく様子を見ていたのだが、もう我慢も限界だった。そこで新しい電話機を買いに出たのである。

電話機を買うついでに、ノート・パソコンも見る。仕事でどうしても必要になったのだ。しかし、どうも気に入る機種が店頭にない。通販で買うことにする。

とにかく疲れた。夜になって、また眠る。これも一種の沈没だろう。


...... 2003年 12月 28日 の日記 ......
■[ NO. 93 ]
やはり土鍋に限る
晴れ。

年賀状を書き終えた。うまく元旦配達に間に合うと良いのだが。

夕方からは、乗馬クラブOBの集まり。出席者はTさん、Hさん、拙者、妻。ささやかな集まりだ。拙者たち3人は、かつて同じクラブに所属していたが、ある事情で3人以外にも複数名が一気に退会した。こうしたメンバーのうち何人かが退会後も年に2回は集まって、お喋りを楽しむことにしている。

拙者たちの結束は、とにかく固い。毎週、練習後には1杯やりながら反省会をしたり、県大会・社会人大会も一緒に戦ってきた。なぜか杉並区民大会にも毎年出ていた。みんなで外乗に出たこともある。それもブラブラ戸外で乗るのではなく、「富士山樹海8時間コース」のような上級者向けの難コースに出たりするのである。それだけに乗馬生活はもちろんのことプライベートでも助け合ってきたので、結束が固いのである。

さて今回は「みんなで河豚を食べよう」・・・とTさんが探してきた、トラフグが安く食べられる「玄品」というチェーン店に入った。コースと単品をいくつか頼む。

刺身類は、なかなか行けた。唐揚げもなかなか良い。しかし、唖然としたのは、鍋が「紙鍋」だったことである。

おそらく読者の皆様は「紙鍋」を御存知であろうが、念のため説明しておく。ざるのようなものに紙を敷き、これを鍋とするのである。写真にとっておけばよかったのだが、デジカメを持っていくのを忘れてしまった。携帯電話のカメラは、未だに使えないし(情けない)。

しかも熱源はコンロではなく電磁調理器具だ。電磁調理器具だと急速な加熱ができない。せっかく出汁が熱くなっても、具を入れると鍋の中にある物体が持つ熱の総和が一気に低くなる。そして具が「出来上がる」までに時間がかかるのだ。具はコンロでの加熱にくらべて、ゆっくりと温められることになる。

これでは、旨い鍋などできない。特に、雑炊の出来が悲惨であった。やはり鍋料理は、土鍋とコンロに限る。紙鍋では、見た目も何とも頼りないのであるのよ。

ま、安いからいいか。


...... 2003年 12月 29日 の日記 ......
■[ NO. 94 ]
仕事納め
晴れ。

今日は仕事だ。朝からニュースの監視をする。ただ、もう年末なので、余程大きなニュースを落とさなければいい。もっとも、まだ市場は動いているので気は抜けない。

リビングでは妻が、R.R.ベネットの「4つの小品組曲」を練習している。拙者も大好きな曲なので、「こう弾いたら?」と言ったら、「余計なことは言わなくて良い」と言われてしまった。

しかしこのベネット、日本のデュオ業界(?)で流行っているね。もう、あちこちで演奏されている。とても良いことだ。頑張れ、妻! …って、誰とやるのだろう?

仕事を終えた後、今年最後の「今週の1枚」を更新して沈没。


...... 2003年 12月 30日 の日記 ......
■[ NO. 95 ]
人生は悲しい
晴れ。

午前中で市場も閉まった。余程のことがない限り、年始は5日まで働かなくても良いであろう。何事も起こらないことを祈るばかりである。

妻の誕生日が近いので何かプレゼントをと思い、午後「銀座のティファニーにお買い物に行きましょう」と誘うが、「面倒くさい、ヤダ」と断られる。「日本橋三越の宝飾品売場は如何だろう?」「ヤダね、めんどっちいわ」。「エルメスはどうかね?」「めんどっち。いらんわ」。

どうやらプレゼントはいらないらしい。ビンボな夫の財布を考慮しているのだろうか。ああ何という心優しい良い妻であろう。もっとも「ティファニーのものだったら、ヤフオクあたりで売り飛ばせるな」と妻がつぶやいたのを聞き逃さなかった拙者であったが。

さすがに今日あたりになると、我が連弾庵のピヤノも鳴らない。やはり年末なのであろう。夕方から、拙者のシステム手帳の「中身」を買いに行く。行った先で、小さな「パグ犬の人形」を8割引で売っていた。実質250円である。妻にプレゼントした。そしたら「これは、パグ犬の恰好をしていない。北極熊みたいだ」と文句を言われた。いやはや、なかなか大変なものである。

サイトでは、今年最後の更新をした。いろいろ調べるのに手間取って、予想外に時間がかかってしまった。

明日は大晦日だ。…といっても、何も良いことがあるわけではない。

拙者の大好きなある映画で、キーワードに「life is wonderful...」という言葉が出てくる。何が「wonderful」じゃ。

人生は悲しいのである。


...... 2003年 12月 31日 の日記 ......
■[ NO. 96 ]
ロメオとジュリエット
晴れ。

身の回りを、掃除する。ささやかながら新年を迎える準備だ。拙者の寝室に陣取っている縫いぐるみ共をひとつひとつ、丁寧にはたく。もっともプレミアムもののティディ・ベアは1体を除いてガラス・ケースの中に入れてあるので、その必要はないのだが。何故、1体だけケースに入れていないって? あまりにも巨大だからだ。拙宅を訪れた方は、一様に驚かれる。「ああ、こんな巨大な縫いぐるみがあったのか」と。いつか皆様にお目にかけよう。

夕方からは、連弾庵の弾き納めだ。マーラー、アレンスキー、ブルックナー…いろんな曲が鳴る。いろんな曲が鳴るのはいいのだが、妻が「あれ、弾こうよ」と言って、ついに出て来なかった楽譜がいくつかあった。これでも楽譜の管理はしっかりしている拙者である。それでも「行方不明者」が出たのだ。楽譜を入手したらデータベース化してあるので…まだ登録していないものもあるが…DBにあるなら家にあるはずなのだ。それが見つからない。いったいどこへいったのだろう?

年越し蕎麦を食す。神田の「Y」に行こう、という話も出たのだが、面倒くさいのでやめる。昨年同様、近所の手打ち蕎麦屋が、店の前で蕎麦と汁を売っているので、それを購入することにした。なかなか旨い蕎麦である。蕎麦を食しながら「久保田・千寿」を舐める。それで家族(といっても2人だが)年越しの儀式は終わりだ。

妻は「紅白歌合戦」なるものを観る。拙者は昔からの習慣で、それを観ることはない。子供の頃から、テレヴィを殆ど見せてもらえなかったからだ。そんな拙者に「紅白」は似合わない。「久保田」の瓶を抱えて書斎にこもる。

「久保田」を頂きながら、ひとり静かにビートルズを聴く。拙者にはそれが似合いだ。世間の喧噪に巻き込まれるより、ひとりで懐かしい曲を聴いていた方がいい。「久保田」の瓶が空く頃には、ひとしきりビートルズも聴き終える。何せケチったので「久保田」も720mlの瓶だ。あっという間になくなって当たり前である。

「久保田」が空いた後、アイリッシュの「Black Bush」を脇に据えて、本格的に呑み出す。曲もピヤノ・デュオに変える。アレンスキー、チャイコフスキー、スクリアビンなど、なぜかロシヤものが並んだ。2003年の「締め」はチャイコフスキー「ロメオとジュリエット」(連弾版)。

「ロメオとジュリエット」を聴きながら、この1年を振り返った。世界では様々なことがあったが、拙者にとっては、なかなかの1年だった。

皆様。ありがとうございました。